オススメの本

自分を傷つけずにはいられない 自傷から回復するためのヒント
著:松本俊彦
出版社:講談社

 リスカがどうしてもやめられないという人が身近にいらっしゃいますか。本書は、第Ⅰ部「自分を傷つける生き方を理解する」、第Ⅱ部「自分を傷つける生き方から回復する」の2部からなり、 「自傷」というストレス対処行動の全貌が解説された読みやすく実用的な本です。自傷が自殺とは意味合いの異なる行為であること、本人にとって自傷は、つらい状況を変えようとして繰り返される切実な行為であって、 自傷すると、つらい気持ちや対人関係に(一時的にではあれ)好ましい変化が生じることも語られています。しかし自傷を続けることの弊害についても率直に語られています。
 自傷する人によく見られる(自分を否定される、誰かに支配される、相手に本当のことを言えない)対人関係についての洞察は的確で、自傷のトリガー(引き金)を発見する方法や回復に役立つ方法も具体的に紹介されていますので、 自傷に苦しんでいる本人はもとより、そのご家族や精神保健関連のスタッフにも是非読んで欲しい本です。
 著者の松本先生は、精神科病院・クリニックの医師やスタッフが自傷をやめられない本人にどんな思いでのぞんでいるのかを代弁してくださっており、回復をどう応援していけばよいのか、私も本書から多くの示唆をいただきました。
(精神科医局 宮田量治)

自分を傷つけずにはいられない 自傷から回復するためのヒント


ボクのことわすれちゃったの? ―お父さんはアルコール依存症―
著:プルスアルハ
[<お話と絵>細尾ちあき/<解説>北野陽子]
出版社:ゆまに書房

 お酒を飲んだお父さんが家で毎晩暴れる・・。こんなつらい体験をしている子どもが沢山います。この絵本では、つらい体験を重ねると子どもがどんな気持ちになりやすいのか、少ない言葉とやさしい絵で、切々と語られています。 誰にも相談できずひとりで耐えるしかないボク。お父さんへの複雑な思いを抱えつつも、ボクはお父さんに手紙を書き、お父さんは、酒がやめられないと言って泣きながらお酒を飲み続けましたが、ついにお酒をやめる決心を固めました。
 本書は、子供向けの疾患教育の絵本ですが、読んだ大人はたぶん、ボクのことが可哀想で泣いてしまうことでしょう。まわりの大人は、秘かに傷ついている子ども達にも気持ちをくだき、安心感を与えられる存在であってほしい。 巻末には子どもへの対応のポイントや相談先も記載されてあり、指導の際、参考になります。本書はシリーズ化され、お母さんがうつ病になったの、統合失調症になったの(前編・後編)も読むことができます。
(精神科医局 宮田量治)

ボクのことわすれちゃったの? ―お父さんはアルコール依存症―


『不登校・ひきこもりが終わるとき:
     体験者が当事者と家族に語る、理解と対応の道しるべ』
著:丸山康彦
出版社:ライフサポート社

 全国に100万人以上いると言われている不登校・ひきこもりはきわめて深刻な問題です。本書は、「ごかいの部屋」というネットで人気のコンテンツをもとにしており、不登校やひきこもりに悩む本人の状況や気持ちに寄り添った内容です。 不登校・ひきこもりが起こる原因や家族の対応法、そして、本人が不死鳥のように生まれ変わり、不登校・ひきこもりが終わるときの様子までが語られており、明るい展望もみえてきます。
 自分自身、不登校・ひきこもりの長い経験がある著者の丸山によると、不登校・ひきこもりとは、「今の生き方では、いずれ行き詰まる」という違和感や不安を感じた本人が、その場所から「いったん退却して自分を創り直して再出発する」までのプロセスです。 本人に関わる家族は、出口の見えないトンネルを歩く思いの本人に寄り添い、(先導するのではなく)後方から(家族の思いを押し付けずに)支援した方がよいと書かれています。
 ともすると、すべての人に、社会復帰(つまり仕事につくこと、学校へいくこと)を最終的なゴールとして求めてしまいがちな医療機関。実は支援の本質をはずしてしまっている可能性があることを私たちも反省しなければなりません。
(精神科医局 宮田量治)

不登校・ひきこもりが終わるとき:体験者が当事者と家族に語る、理解と対応の道しるべ


『「ひきこもり」経験の社会学』
著:関水徹平
出版社:左右社

 自室に閉じこもっているのは、ひきこもり事例のわずか3%に過ぎないことなど、私たちはひきこもりの実態についてあまりにも知らない。 若手研究者による本書は、上山和樹氏、勝山実氏(いずれもひきこもり当事者)の著作や著者がインタビューしたひきこもり当事者のコメントが多数紹介されており、 一般の読者にはやや難しい部分もあるものの、ひきこもりについて深く理解するための最良の一冊である。
 ひきこもり当事者は、長い間、「学校を出て働く」という日本社会の多数派の価値観に沿って生きられないつらさを感じ、他のひとと同じようにできない自分を責める自問自答に窮している。 しかし当事者が追い込まれるのは、人の多様性を余りにも許容しない日本の社会にも原因があるという。 個人が自分の人生について自分なりの見解(語り)を持てるようになることがひきこもりからの脱却につながるのであって、一様にひきこもり当事者を就労へ向かわせようとする国の施策には弊害もある。 曲折の末、社会的価値観に復帰する者もあれば、切実な自分自身のオルタナティブ・ストーリーに思い至る者もある。 そのどちらでも素晴らしいのだということが本書により実感できる。
(精神科医局 宮田量治)

福音ソフトボール:山梨ダルクの回復記


『福音ソフトボール:山梨ダルクの回復記』
著:三井ヤスシ
出版社:ミツイパブリッシング

 覚醒剤やシンナーや市販薬等を含めたあらゆる薬物依存状態からの回復をめざすリハビリ施設・ダルク(DARC:Drug Addiction Rehabilitation Center)。 その一支部である山梨ダルクのメンバーと山梨県警ソフトボールクラブの交流試合を縦糸にして、山梨ダルクを開いた佐々木さんの奮闘ぶりやメンバーさんの回復の一端が紹介されている本です。 薬物依存症に苦しむ人に向けての「人は変われる」という強いメッセージ。巻末には用語解説やダルクの12のステップも掲載されています。
 作者の三井さんは、山梨県出身のプロのイラストレーター。今や、ダルクの講演会ポスターなども作成されていますが、 あるとき偶然目にした山日の新聞記事(薬物依存症者のソフトボールチームということで対戦相手が見つからないダルクの窮状に山梨県警が名乗り出て交流試合がはじまった)に感動して、 どうしても本にしたいと思ったそうです。捕まる側と捕まえる側の奇跡のドリームマッチ。この記事を読み過ごさないところもすごい。 私は、この本が世に出されてこうして手に取ることができることもまた奇跡のように思えてなりません。
(精神科医局 宮田量治)

福音ソフトボール:山梨ダルクの回復記


『ぼくが前を向いて歩く理由』
著:中村成信
出版社:中央法規出版

 前頭側頭型認知症にかかった市役所職員・中村さんの体験をつづった本です。 地元の茅ヶ崎海水浴場を「サザンビーチちがさき」に改称し、茅ヶ崎市のまちおこしに貢献するなど、やり手の職員だった中村さんが唐突にスーパーで万引きして逮捕され、公務員を免職されてしまいました。 この事件後、はじめて精神科にかかり、50代の若さにして認知症と診断されたことへの混乱や葛藤から中村さんの再生の物語ははじまります。 認知症の受容、認知症の家族会との出会い、公務員職の復権、そして家族や支援者の支えとともにある充実した日常。
 わたしは、北病院でご指導をいただいた故吉田芳子先生が中村さんの主治医として登場する箇所を何度も読みました。 「あなたのほうは大丈夫ですか。」付き添いのご家族にもそのような優しい言葉をかけられ思いをくだかれる吉田先生の温かい言葉をもう直接聞くことはできませんが、 わたしはこの本を読むたび、吉田先生のように頼りにされる主治医になりたいと切に思います。
(精神科医局 宮田量治)

ぼくが前を向いて歩く理由


『統合失調症がやってきた』
著:ハウス加賀谷 松本キック
出版社:イースト・プレス

 100人に1人は発症すると言われている統合失調症。統合失調症は以前よりも治りやすい、社会復帰も可能な病気という認識が行き渡りつつある。 今回題名に惹かれて読んでみた。当事者本人の発症から受診・入院・退院・そして復帰への思いが赤裸々に書かれている。 病気は予定された出来事ではない。あとで考えてみると変化に気づくこと、思い当たることがある。 だからといってすぐ受診するとは限らない。病気に対する不安や恐れ、医療に対する不信感、あるいは羞恥心から受診をためらう人は少なくない。 精神科の治療は、治療者・患者の関係性のなかで成り立つ行為である。 当事者である筆者は居場所を失いたくない思いで薬を自己調整したことで具合が悪くなり閉鎖病棟、保護室入室となっていった。 ひとりの主治医との出会いによって、自分の気持ちを正直に伝え、積極的に治療に参加することができ、回復につながった。 継続治療の大事さも書かれている。この本を読むことで、病気の理解・当事者の辛さが理解でき、 地域に住む住人としてどう接していけばよいかが広まるとよいと思う。
(社会生活支援部 訪問担当 清水美津子)

統合失調症がやってきた

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