輸血医療事故に関する報告

平成29年6月23日、山梨県立中央病院において、多発外傷出血性ショックから心肺停止状態になられた救急患者様の救命処置を行う過程で、ABO血液型不適合輸血を行うという重大な医療事故が発生しました。

お亡くなりになられた患者様には職員一同謹んで哀悼の意を表し、ご冥福をお祈り申し上げますとともに、御心痛・御労苦をおかけ致しましたご家族・ご親族に心よりお詫び申し上げます。
   また当院の患者様をはじめ、多くの関係者の皆様にもご心配をおかけしましたことを、重ねてお詫び申し上げます。

当院では、今回の事故原因を明らかにするとともに死因との因果関係を分析し再発防止に取り組むため、弁護士、大学教授を含む院外の有識者3名を加えた輸血医療事故調査委員会を立ち上げて検討して参りました。

この度、同委員会の調査が終了し報告書が完成いたしましたので、これを受け、あらためて当院としての振り返りと今後の対策の確認を行いました。 山梨県立中央病院としての輸血医療事故に関する報告書を、別紙のとおり、ご報告させていただきます。

別紙 「輸血医療事故に関する報告書」 pdf

今回のABO血液型不適合輸血事故は、極めて重篤な多発外傷患者の救急治療(心肺蘇生処置)の過程において発生しました。輸血直前のダブルチェックが行われていれば不適合輸血を防ぐことが出来たのは言うまでもありませんが、事故の背景として、輸血製剤の管理・運用システムの整備不足、チーム医療体制におけるコミュニケーションの不足、緊急輸血実施時のローカルルールの存在、緊急治療時のマンパワー不足等の問題が認められ、これらが複合的に関与したことが事故の要因と考えられました。

輸血医療事故調査委員会による検討では、患者様は治療前から重篤で救命困難な状態にあり、死因は多発外傷による外傷性出血性ショックとするのが妥当とされました。

しかし、ABO血液型不適合輸血は、あってはならない医療事故であることは言うまでもありません。再発防止に向けて、院内のシステムを見直し、職員の更なる教育・研修を実施するなどして、病院を挙げて、より安全な医療体制の構築に努めることが不可欠であります。

当院は、時代の趨勢と医療のニーズに応え、高度医療を遅滞なく実践して来たと職員一同自負しておりました。しかし、これからは、心の中に潜む油断や驕りを常に見つめなおし反省してゆくことが、今回の事故から私たちが得た大きな教訓であります。

そのことを礎として、これからも県民の期待と信頼に応え、安全で良質な高度医療を提供する県立病院の使命をしっかりと果して参ります。

山梨県立中央病院 院長  神宮寺 禎巳