呼吸器外科

ご挨拶

呼吸器外科のホームページへ、ようこそお越し下さいました。

ご自身あるいはお身内の方が肺の手術を受けるにあたり、分からないこと、不安なことが多々あるかと推察します。 このホームページは少しでも皆様のお役にたてればという思いで作りました。 私たちの科の特色だけでなく、皆様と一緒に治療を行っていくうえで、是非知っておいていただきたいことについても記載しました。

当科は、2014年度より呼吸器外科専門医が常勤し、現在は専属スタッフ3名で診療しています。 例年、当院の呼吸器外科手術症例は年間50例程度でしたが、2014年4月、呼吸器外科の開設とともに、 症例数は飛躍的に増加し、2014年度は年間150例、2015年度は234例、2016年度は311例の手術を行いました(図1)。 特に、肺がんに関して、2016年度、年間178例の手術を行い、国内有数、県内随一の呼吸器外科high volume center(多数例を手術する施設)となりました(図1)。 2015年4月、気胸ホットライン(24時間)を導入した結果、気胸手術件数も飛躍的に増加しました(図2)。また、当科は日本呼吸器外科学会、 日本呼吸器内視鏡学会から施設認定を受け、県内唯一、両学会から施設認定される診療科となりました。 皆様に最良の治療を受けて頂けるよう、私たちの持てるすべての技術と知識をもって診療に当たりますので、 どうぞ安心して治療を受けてください。なお、当科は慶應義塾大学医学部呼吸器外科の関連施設です。

外科_図1

外科_図2

当科担当医師一覧(平成29年4月1日から)

医師 資格
センター長
後 藤 太 一 郎
ごとう たいちろう




慶應義塾大学医学部
(平成9年卒)
慶應義塾大学医学博士 慶應義塾大学医学部外科客員准教授
日本外科学会専門医・指導医
呼吸器外科学会専門医
気管支鏡専門医
がん治療認定医
肺癌CT検診認定医
日本移植学会移植認定医
日本組織移植学会認定医
日本呼吸器外科学会評議員
肺癌学会評議員
日本呼吸器外科学会ガイドライン委員会委員
専修医
中 込 貴 博
なかごみ たかひろ

山梨大学医学部
(平成25年卒)
 
専修医
樋 口 留 美
ひぐち るみ

山梨大学医学部
(平成27年卒)
 

外来担当医

 
午前 手術 中込 後藤
/中込
後藤
/樋口
手術
午後 気管支鏡 手術 気管支鏡

当科の特徴

対象となる疾患

当科では肺およびその他の胸部臓器の疾患を扱っています。

肺がん、縦隔腫瘍をはじめとして、転移性肺腫瘍、気胸、胸壁腫瘍、肺非定型抗酸菌症、膿胸、胸膜中皮腫、 胸部外傷に対する手術も 行っています。扱う疾患は多岐にわたり、あらゆる呼吸器外科の手術が可能です。

1.肺がん
     肺や気管支に発生する悪性腫瘍で、現在、がん死亡数では胃がんを抜いて最も多く、 将来的にさらに肺がん患者さんは増加すると予想されています。 以前は、喫煙に伴う扁平上皮がんというタイプの肺がんが多かったのですが、最近では腺がんというタイプが急増しており、 非喫煙者や女性の肺がんが増えています。
   症状は、咳嗽、血痰、胸痛などがありますが、自覚症状がない場合も多く、 検診での早期発見が重要です。近年は人間ドックなどの胸部CT検診で胸部異常陰影を指摘され、 早期肺がんが発見されるケースが増えています。50歳以上の方、重喫煙歴のある方は、CT検診を年に1回程度受ける事をお勧めします。昨今、手術可能な早期の段階で肺がんが発見できれば、手術により約70%の方が完治すると言われています。
   精密検査として、気管支鏡検査、胸部CT、PET、脳MRなどを行い、肺がんの病理学的診断を行い、 その拡がり(病期)を評価します。
   治療方法は、手術、抗がん剤、放射線治療がありますが、肺がんの組織型(種類)や進行度、 あるいは、患者さんの全身状態、合併症、年齢、希望に応じて治療方針は異なります。 当院では、呼吸器内科、放射線科とも相談しつつ、患者さんに最も適した治療を提供いたします。
   当科では、肺がん手術において、安全性(手術合併症や手術死亡を防ぐこと)と根治性 (がんを完全に治すこと)が最重要と考えています。また、個々の患者さんに対して、 安全性・根治性の高い手術を行うのはもとより、小開胸、短時間手術、無痛法開発(傍脊椎ブロック)などの術式改良を加え、 低侵襲の手術を心がけています。
2. 転移性肺腫瘍
     大腸がん、子宮がん、乳がん、腎がん、骨肉腫など多くのがんが肺に転移をします。しかし、肺転移巣の個数が経時的に増加せず、原発巣など肺転移以外の病勢が制御されている場合は、肺転移の切除により治癒する、あるいは、余命が延長すると報告されています。そのため、「肺転移をしたからもうだめだ」とあきらめないで、肺転移巣が切除可能か受診・相談するようお勧めします。
3. 縦隔腫瘍
     胸の中で左右の肺に挟まれた領域を縦隔と言います。縦隔腫瘍とは縦隔にできる腫瘍のことで、胸腺腫、胸腺がん、先天性嚢胞、胚細胞腫瘍、神経原性腫瘍などがあります。多くの場合、術前に診断を確定するのが困難なので、診断と治療を兼ねて切除をします。胸骨正中切開、または、胸腔鏡下での手術が可能です。
4.気胸
     肺に孔が空いて、胸の中に空気が漏れる病気です。肺がつぶれた状態になるため、呼吸困難や胸痛を自覚します。通例、空気の逃げ道として局所麻酔で胸にドレーンという管を入れる必要があります。空気漏れが持続する場合や再発する場合は手術の適応です。ほぼ全例、胸腔鏡下での手術が可能です。 胸腔鏡を用いて自然気胸を手術すると、全国平均では5〜10%程度の気胸再発率があります。一方、当科では、独自開発した胸膜癒着術を嚢胞切除とともに行っており、再発率を1%以下に抑えることに成功しています。
5. 胸膜中皮腫
     アスベストが原因と言われていますが、はっきりとした暴露の経歴がない場合もあります。胸に水が溜まってくることが多く、症状としては胸痛や呼吸困難を生じます。診断には組織生検が必要です。胸腔鏡下に胸水と組織を採取し検査を行います。治療については、肺がんと同様、全身を評価した上で外科治療、化学療法、放射線治療を組み合わせた治療を行う必要があります。

  ☆ これらの病気と診断、あるいは、疑いと言われたら・・・
    まずは専門医の診察と検査を受け、治療方針について、
    ご自身が納得されるまで十分相談してください。

外来から退院までの流れ(肺がんに対する手術の場合)

1. 《外来受診》 外来で診察の上、病状、手術について説明→当日、術前検査、入院案内を行います。
2. 《術前説明》 手術の1-3日前に手術の内容や合併症などについてご家族とともに説明を聞いていただきます。ご本人が十分納得された上で、手術同意書にご署名いただきます。通例、手術の前日に入院いただきます。
3. 《手術当日》 肺がんの手術は、平均して1.5時間程度で終了します。 手術が終了したらご家族に肺がんの肉眼的所見や術中の経過につき説明致します。
4. 《術後経過》 術後は集中治療室または個室にて術後管理を行います。 術後疼痛に対しては傍脊椎神経ブロック法を行い、出来るだけ患者さんが疼痛を感じないよう努めています。 ご高齢の方も含め、手術翌日より、歩行と食事を開始し、無気肺や肺炎などの合併症を予防します。
5. 《退院》 通通常、術後6日間程度で退院が可能であり、平均入院日数は約8日です。肺がんで手術を受けられた場合、病理検査の結果により術後補助療法(抗がん剤治療)を行うことがあります。退院後の初回外来で病理検査結果と今後の方針について 説明させていただきます。術後5年間、再発がないことを確認できれば、肺がんは完全に治っていると判断でき、外来通院は終了となります。

☆基礎疾患や合併症により術後入院期間は延長する場合があります。
☆肺がん以外の疾患では、入院治療期間は異なります。

手術待機日数

患者さんにとって、手術を待機する日々は不安と焦燥に悩まされ、また長期の手術待機は治療(完全切除)の観点からも不利となります。当科では、手術待機日数を出来る限り短縮する努力を行ってきました。肺がん患者さんの手術待機日数(手術施行決定から手術実施までの日数)は、現在、平均10日です。

総合病院の中の呼吸器外科

当院は各科の揃う総合病院であり、肺がんのほかに様々な併存疾患(透析導入中、狭心症、慢性動脈閉塞症、糖尿病、自己免疫疾患など)を有する患者さんに対しても対応可能です。院内の各専門医と連携し、患者さん一人一人の病状に合った治療・手術を施行します。周術期の予期せぬ合併症に対しても、各分野の専門医と協力し、迅速に治療を開始いたします。

進行肺がんに対する集学的治療

進行肺がんでは、抗がん剤、放射線治療を術前・術後に行い、完全切除、予後の改善を目指します。このように手術・抗がん剤・放射線治療を組み合わせる治療を集学的治療と呼びますが、近年、この治療により進行肺がんの治療成績は向上しつつあります。当院では、呼吸器内科、放射線科、病理診断科との合同カンファレンス(キャンサーボード)で集学的治療の適応を十分に検討し、各科連携のもと治療を計画・実施いたします。

拡大手術

肺がんが横隔膜、胸壁、脊椎、心臓などに食い込んでいる(浸潤している)場合、周囲臓器を含めて合併切除することにより、肺がんの根治が期待できます。手術難易度は増し、身体に負担のかかる手術となりますが、全身状態やがんの浸潤程度に応じ、根治を期して行うことがあります。心臓血管外科、整形外科、形成外科などとの協力体制、外科医の技術的習熟が必要です。当院では各科間の良好なチームワークのもと、1年に20件程度、拡大手術を行い、重篤な合併症なく、良好な治療成績が得られています。

気管支形成手術、血管形成手術

気管支や血管を一度切り離して、がん部を完全に切除した後、気管支や血管を再縫合する手術を気管支形成術、血管形成術と言います。肺がんなどの悪性病変が肺の中枢近くに発生した場合、肺機能を温存しつつ、病巣部を切除するという観点から、大変有効な手術技術となります。当科は、県内唯一、肺移植認定医が常勤する診療科であり、このような高難度の手術に関しても積極的切除を行い、良好な治療成績を残しております。

無痛手術への取り組み

手術を受ける際、術後の疼痛に対する不安が強いと思います。当科では、2014年10月以降、術後疼痛のコントロール目的に傍脊椎神経ブロック法を導入しています。手術終了時に胸の中(脊椎近傍)にカテーテルを留置し、術後、持続的に局所麻酔薬を注入して痛みをブロックします。術後疼痛が大幅に緩和され、患者さんからも好評です。

気胸ホットライン(24時間)

2015年4月より、気胸の患者さんを365日24時間、当科で受け入れ、診療する体制を整えました。お近くの医院/病院で気胸と診断された方、あるいは、気胸の再発を自覚された方など、気胸ホットライン(24時間)をご利用ください。
  気胸ホットライン:055-253-7111(夜間、休日も同じ番号)
  呼吸器外科医師が直接電話対応致します。

最先端機器の導入

2016年4月より、手術支援ロボット・ダヴィンチXiシステムを院内に導入しました。ダヴィンチXi (da Vinci Xi)は手術支援ロボット の最新モードであり、県内では当院のみが同システムを採用しています。呼吸器領域においても、今後、希望者に対して、ロボット支援手術を行う予定です。また、リンパ節診断をより確実にするため、2016年4月より、縦隔鏡(じゅうかくきょう)を導入しました。 従来、診断できなかった縦隔(じゅうかく)のリンパ節が安全に採取でき、正確な病態把握や治療選択が可能となります。これらの機器を用いた診断・治療をご希望の方は当科までご相談ください。

外科的生検

手術不可能な進行肺癌の場合でも、免疫療法、分子標的治療など新たな治療の開発・進歩により根治が期待できる時代になりました。免疫療法や分子標的治療では、肺癌の特徴に応じて治療効果が異なるため、肺癌の一部を採取することが重要です。腫瘍の一部を採取し、詳細に検査することを医学用語で生検と言います。通例、肺癌の生検は気管支鏡検査で行いますが、腫瘍の部位によっては、EBUS(特殊な気管支鏡)、縦隔鏡(前述)、手術などを行う場合があります。当科では、患者さんのご希望に応じて、外科的生検を随時施行しております。

ステント治療

気道狭窄(空気の通り道が狭くなり、呼吸が苦しい状態)、気管支食道瘻(気管支と食道がつながり、肺炎を繰り返す状態)の病態に対して、ステントを挿入する治療法があります。当科では、病態に応じて、様々なタイプのステントを挿入することが可能です。治療をご希望の方は当科までご相談ください。

セカンドオピニオン外来

呼吸器外科の病気に関する診断、治療について他の医師の意見も聞いてみたいという方は遠慮なくご相談ください。呼吸器外科専門医が、専門的に、詳しく、説明致します。他院で手術不能と言われても、当院で手術可能な場合があります。セカンドオピニオン希望の方は地域連携センター(TEL: 055-253-7900)までご連絡の上、セカンドオピニオン希望とお伝え下さい。

医療関係者の皆様へ

患者さんのご紹介や相談については地域連携センター(TEL: 055-253-7900)にお気軽にご連絡いただければ幸いです。

当科の研究について

医学を一歩でも前進させるべく、世界へ情報を発信することも私たちの重要な業務です。以上の診療活動に加えて、より良い診断法、治療法を開発するために以下の研究を行っています。当院ゲノム解析センターと共同して、多数の斬新な研究を行っており、結果を学会や論文で発表しています。

  1. 肺がんの血漿中遊離DNAの遺伝子変異解析、特に体内分布の検討
  2. 多形がん発症に関する遺伝子学的検討
  3. 浸潤性粘液腺癌に関する遺伝子学的検討
  4. 肺がん胸膜播種の発症機序に関する遺伝子学的検討
  5. 微小浸潤腺がんの病理学的検討、および、術中診断法の開発
  6. ドレーン抜去部二層埋没縫合法の開発
  7. 低肺機能肺がん手術患者における気管支拡張剤吸入の効果に関する無作為化比較試験
  8. 傍脊椎麻酔と硬膜外麻酔の併用による胸部外科手術後鎮痛効果の検討
  9. 胸腺腫・胸腺癌の遺伝子変異解析
  10. 胸膜中皮腫の遺伝子変異解析
  11. 縦隔胚細胞腫瘍の遺伝子変異解析
  12. 放射線治療、化学療法に伴う肺癌遺伝子変異プロファイルの変化の検討
  13. 多発肺腫瘍に対する原発/転移の判別法_遺伝子変異解析による新法
  14. 気管支鏡下検体の遺伝子変異解析_肺がん診断の新法
  15. 原発不明癌の原発部位に関する遺伝子学的検討
  16. 気胸再発の機序に関する多施設共同研究

研修医・医学生の皆様へ

当科は慶應義塾大学医学部呼吸器外科の関連施設です。2018年度より開始される新専門医制度に対応すべく、当院消化器外科も慶應消化器外科の関連施設となりました。したがって、当科で修練した後、慶應呼吸器外科に入局することで外科専門医および呼吸器外科専門医の取得が可能です。興味のある方はお気軽にご連絡ください。

臨床研修に関するお問い合わせ:
   〒400-8506
   山梨県甲府市富士見一丁目1番1号
   山梨県立中央病院 呼吸器外科
   TEL: 055-253-7111
   E-mail: chubyo@ych.pref.yamanashi.jp