(旧)理事長挨拶(H25.7.6)
山梨県立病院機構(県立中央病院・県立北病院)
理事長 小俣 政男 (Omata Masao)
H25.7.16
平成24年度決算と今後の計画について
地方独立行政法人山梨県立病院機構は、平成22年4月1日の法人化以降、患者さんの求める質の高い医療の提供に応えるべく、 機動的な人員配置、業務の簡素化、そして何よりも病んだ患者さんの多様な願望に応えることこそが我々の任務である、 という意識の改革に取り組んで参りました。
経営基盤について
平成24年度も引き続き改革に取り組んだ結果、平成23年度と比べて収入は4億100万円増であった一方、 支出は1億1,800万円増にとどまり、経常利益は18億2,000万円となりました。 北病院の関東厚生局指摘に応じた自主返還額1億3,500万円を含む臨時損失1億6,800万円を差し引いた結果、 純利益は16億5,200万円となり、平成23年度の純利益8億9,000万円を大幅に上回りました。
尚、法人化3年での累計は、純利益28億5,200万円となり、中期計画における目標額(法人発足時当初の第1次3,100万円、 またその後の事業拡大による第2次14億300万円)を上回り、安定した経営基盤を築きつつあります。
医療の質改善について
平成24年度からはドクターヘリの運航を開始し、平成24年度末出動件数は382件(当初290件想定)、 救命率は92.7%に達しました。 また、ドクターカーの出動も平成23年度の119件から268件に増加し、謂わば、“ヘリは郡内、カーは国中”へと、従前に比し、 幅広く、かつ高度の救急医療を県民に提供できる体制が整備されました。
また、平成25年1月、がん医療の一層の強化の為に、通院加療がんセンター(ATCC-Ambulatory Therapeutic Cancer Center) を開設し、従来の入院中心のがん医療から、外来へと移行しました。 現在ATCC治療例は入院の倍となり、また当院全体のがん化学療法例は、法人化前の年間5,000例から、法人化後は7,000例を超え、 今後10,000例を想定しています。
さらに、平成25年4月にはゲノム解析センター(GAC-Genome Analysis Center)を開設し、 解析データをすみやかに臨床に活かして、副作用のない効果的ながんの診断治療法を提供していきます。 また小児遺伝性疾患或いは、乳がんのBRCA遺伝子等の遺伝子スクリーニングとカウンセリングサービスを提供します。
治験体制の確立を目指して、法人化後、がん、難病(C型肝炎ウイルス、潰瘍性大腸炎等)に対する治験が積極的に導入され、 中でも究極の治療と言われる飲み薬によるC型肝炎の治験が、中央病院において日本で最初の第一例に投与開始されました。 100%に近い駆除率と副作用の少なさにより、7,000人いると言われる山梨県のC型肝炎患者さんに、 大いなる福音をもたらすことを目指します。
一方、北病院においても、精神科救急の機能強化の為、病棟再編整備を実施し、8月より効率的な運用が可能となります。
若手医師の育成強化と総合診療科体制
平成24年度採用からは、従来12名であった初期研修医1年目枠を16名に増加させ、平成25年度採用でフルマッチになり、 自治医大等3名と合わせ全員国家試験合格、19名のスタートとなりました。 2年目初期研修医14名、後期研修医27名、合計60名の若き医師の集団の研修が開始されました。
若き専門医の育成を目指し、2017年度から、国主導の専門医制度改革により総合診療科新設など、 あらたな後期研修マッチング体制がスタートします。 この体制は地域医療に大きな変革を齎す可能性があるため、当機構は、個々診療科の横断的結合によるセンター化 (消化器病センター、循環器病センター)を図り、総合診療体制を強固にし、多くの若き医師集団に、 より幅広い研修の場を提供し、県民の健康を守る中核医師集団の育成を強化していきます。
以上、健全な財政状況、強靭な経営基盤の上に立ち、より良き医療人を育て、 県民の健康を守る基幹病院としての十分な使命を発揮するよう、弛みなき努力を続けて参りたいと存じます。
宜しくご支援の程、お願い申しあげます。