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家族教室FAQ

家族教室FAQとは、

山梨県立北病院では、患者さんのご家族をサポートするために「家族教室」を開催しています。
家族教室の中でご家族から多く寄せられる質問に対する回答の一例を「家族教室FAQ」として掲載いたします。
1つの症状に対する共通の回答ではありません。症状は患者さんそれぞれ異なりますので、必要な場合は、医師や専門家、公的な相談窓口にご相談ください。

夜眠れないようです。どうしたらよいでしょうか。

すぐ不眠症と決めつけず、不眠症なのか、昼夜のリズムの乱れなのか確認することが大切です。健康的な眠りを得るには、まず生活のリズムを整えることが大切です。寝ようとしても寝られないということをよく耳にしますが、生活のリズムを整える大事なポイントは、毎晩、一定の時間に寝ることではなく、毎朝、一定の時間に起床することと言われています。ひとの睡眠覚醒のリズムは、起床時に明るい光を浴びることで毎日リセットされるため、起床時間がまちまちですと、脳自体が混乱してしまい、まるで毎日違う国へ海外旅行をしているような「時差ボケ」の状態になってしまいます。そうすると、寝たいのに寝れない、起きていたいのに眠気におそわれる、というようなことが起こります。起床時間を一定にそろえるためには、毎朝の習慣をつくるとよいでしょう。連続ドラマをみるとか、犬の散歩をするとか、起床したあと必ず行う習慣的な行動があると長続きします。また、昼夜のリズムが乱れがちな場合、土日でも、極端な朝寝坊はしないほうがよいのです。個人差はありますが、毎朝の起床時間がそろってくると、起床から15、16時間後に自然な眠気が襲ってくるようになります。それに合わせて寝るのが心身に負担のかからない生活となります。起床時間をそろえても自然な眠りがとれない時は「頓服薬」を活用して睡眠につなげることも一つの方法です。不眠症には、寝入りが悪いのか、途中一度起きてしまうと二度寝できないのか、起きたい時間より手前の早朝に起きてしまうのか、などの違いがありますので受診時に医師と相談するとよいでしょう。頓服薬を活用しても眠れないことが何日も続くときは、病状悪化の可能性が考えられます。そのような場合は、我慢するより担当医に相談してください。

退院すると薬を飲みません。どうしたらよいでしょうか。

入院治療でせっかく病状がよくなったのに、退院したとたん薬を止めてしまうとは残念ですね。お子さんのように、病院でもらった薬をすべて止めてしまうひともいらっしゃいますが、もらった薬の飲み残しが多く、きちんと飲めていないひとも多いと言われています。毎日のことですから、もらった薬を100%飲めなくても仕方ないのですが、飲み忘れがあったとしても、せめて8割9割くらいは飲んでもらいたいというのが病院の本音です。

薬を止めてしまったお子さんには、薬に対しての心配がひそんでいることもありますので、薬に対する本人の思いを聞いてみたり、ご家族が本人の病状悪化や再発を心配していると伝えてみましょう。薬の副作用で眠さやだるさがあったり、体重増加や性的機能低下を心配している方も多いといわれています。入院中はこのような副作用に気づきにくいのですが、退院して自宅に戻り、もとの生活が再開するとはじめて副作用に気づくかたもあるようです。

薬を止めることを「拒薬」と言いますが、拒薬する理由はさまざまで、単なる飲み忘れや毎日薬を飲むことが面倒という場合もあります。そのような場合は、お薬カレンダーを使うとか、ご家族などに声掛けしてもらうなど、お薬を飲み続けるための工夫が有効なこともあります。ただし、もっと明確な思いから拒薬が続く場合、ご家族が本人と一緒に受診(受診を拒む場合は、家族のみで受診)して主治医と相談するのもよいでしょう。「薬をいつまで飲まなきゃならないのかしら」「そんなにたくさん飲んでいるの」など、ご家族がなにげなく話している会話が本人に影響していることもありますので注意してください。こういう心配はもっともだと思いますし、家で心配するより担当医に質問したほうがよいと思います。

内服がどうしても困難な場合は、持効性注射による治療もあります。1か月から3か月に一度注射するだけで維持治療が行えるため、飲み忘れを防ぐ有力な手段となっています。再入院が減ることもわかっています。持効性注射については主治医と相談するとよいでしょう。さらに訪問など第三者(訪問看護や保健師の見守りなど)がご自宅を訪問し療養生活を応援してくれるサービスもあります。訪問スタッフが本人の健康管理にかかわってくれるため、本人の内服が中断しづらくなります。ご利用については担当医にご相談ください。

「私(俺)は病気じゃない」と言っている。どうしたらよいでしょうか。

ご家族からみたら精神的に心配な症状や変化があるのに、本人は、病気じゃないと言い張って認めないということです。本人とご家族の間に溝ができ、話がもの別れに終わってしまいそうですし、心配ですね。自分が病気であると認識できないことを「病識欠如」とか「病識がない」ということもありますが、統合失調症などの精神的な病気では、脳の機能変化が起こるため、病識を得づらいことも病気の特徴です。病識が得られるようになるタイミングはさまざまですが、各種プログラムや他患との交流の中で変わっていくことがあります。当院では、病気のことを勉強したり、治療の必要性を理解したり、困ったときは相談するなど、知識やスキルアップをめざした「心理教育」を行っています。「病気じゃない」という本人を力づくで説得しても、反発をまねき、本人に治療につながるような行動変化は期待できませんので、ご家族は焦らず、本人の言い分や心配、困りごとに根気強くかかわることが大切になります。それでも治療につながらない場合は、医師や専門家、公的な相談窓口へ相談するとよいでしょう。

引きこもり、生活が乱れています。どうしたら良いか悩んでいます。

それはご心配ですね。ひきこもりには、理由がわからない場合もありますが、県の相談窓口がありますし当院でも相談を受け付けていますのでご検討ください。ひきこもりや生活の乱れへの対応については、ご家族でもあらゆる方法を試してきたでしょうから、スクールカウンセラー、公的な相談窓口や専門家など、家庭外の誰かに相談したほうがよいと思います。

精神的な病状からひきこもりが起こる場合は、病状は悪く、生活の乱れ(例えば、昼夜逆転、ゲーム依存、イライラ、食事へのこだわりなど)は病気の症状かもしれません。具合の悪くなった時の症状を家族がメモをとり、病気が良くなった時、折をみて、本人と振りかえりをしておくとよいこともあります。悪かったとき、家族も心配していたことを伝えることも大切です。病院への受診のタイミングは、例えば体重減少がある場合は“体重が○○㎏以下になったら受診”などと約束しておくことも1つの方法です。受診の段取りも考えておく必要があります。当院では、受診したがらない本人の困りごとをあらかじめ家族相談で受診前にご相談いただくこともしています。詳しくは外来窓口までお尋ねください。

息子が治療中断しています。どうしたらよいでしょうか。

きょうは家族教室にご参加いただきましてありがとうございました。息子さんがお薬を嫌がり、治療中断しているのを見守っているご家族はさぞ大変だと思います。

治療中断につながる理由としては、「自分で治したかった」「病気だと思いたくなかった」など理由はさまざまです。患者さんの行動には理由があり、周りから見ていても理由かすぐには分からないこともあります。自分を守ろうとしている行動かもしれません。ご家族から息子さんに「どうして薬を飲みたくないのか」理由を聞いてみるのもひとつの方法です。そのとき、ご家族は、薬を飲ませようなどと意気込まず、本人の思いをただ知りたい、という気持ちで尋ねてみるのがよいでしょう。また、治療中断直後は副作用が先に消えても、薬の効果がしばらく続くため、副作用だけがなくなり治療を中断したほうが具合いが良いと誤解してしまう方もいます。しかし、薬の治療効果が次第に薄れてくると症状が再発し病状が悪化することもあります。病院に通院していても薬を飲んでいないような場合、ご家族から治療中断していることを主治医にも相談してみてください。

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