発達障害
発達障害とは?
発達障害は先天的な脳機能の障害のこと。育て方や環境によっておこるものではない。外見からは障害があることがわかりにくいため、誤解されやすい。しつけの問題や過保護などの親の育て方に問題があると思われてしまったり、わがままや短気など性格の問題だと思われてしまうことが多い。
発達障害の分類
- 自閉症スペクトラム
自閉症
広汎性発達障害
アスペルガー症候群 - 注意欠陥多動性障害(ADHD)
- 学習障害(LD)
- 知的障害
自閉症スペクトラムとは?
脳の前頭葉が先天的に障害されている病気。前頭葉はヒトの進化の最終段階で発達したと言われていて、想像力などを司っている。つまり、前頭葉が障害されると「こう言ったら相手はどう思うか」などという想像ができなくなる。また、物事の見通しをたてることもできなくなる。
⇒相手がどう思うか想像できない病気
相手がどう思うか想像できないとは?
【軽症】
空気が読めない
思いやりがない
想定外の出来事に弱い
正しいと思ったことは譲れない
自己中心的
他人にどう思われるかという感覚がない
他人が自分と同じような“人”であると認識できない
ヒトと人形の区別がつかない
【重症】
具体的な特徴
- 社会性の障害
- コミュニケーションの障害
- 想像力の障害
- 単純な反復動作を好む
- 感覚の過敏と鈍感
治療
自閉症スペクトラムが完治する治療はない。特徴は一生続く。治そうとしたり、克服しようとすることでさらなる障害を招く危険がある。ただし、本人の特徴に合わせた環境を調整して、楽しく暮らせるようにすることで、特徴を薄くすることはできる。怒って行動を変えようとしてもうまくいかず、褒めていい行動を増やそうとする方が効果的。甘やかすことではない。
自閉症スペクトラム障害だからといって成長や発達がとまっている訳ではない。同年代と比べると幼く、できないことばかり目立ってしまうが、本人だけを見ると着実にできるようになったことが増えているはず。注意したり怒ったりするだけでは、なかなか成長しない。できるようになったことを認めてほめてあげることが大切。
ADHDとは?
注意欠陥多動性障害のことで年齢に不釣合いな不注意さや多動性、衝動性を特徴とする発達障害のこと。自閉症スペクトラム障害に合併することも多い。育て方やしつけの問題ではない。
ADHDの子どもの特徴
- 不注意
忘れ物が多く、ものをなくしやすい
気が散りやすく、集中力が続かない
片づけられない
行動がワンテンポ遅れる - 多動性・衝動性
落ち着きがなく、授業中立ち歩く
体を動かすことがやめられない
ささいなことで手を出してしまったり、大声を出したりする
乱暴で反抗的とみられる
ADHDの大人の特徴
- 不注意
仕事などでケアレスミスをする
約束や期日を守れない
片づけられない
時間管理が苦手
話を聞いていないと思われる
仕事や作業を順序だてて行うことが苦手 - 多動性・衝動性
落ち着かない感じ
貧乏ゆすりなど目的のない動き
思ったことをすぐ口にしてしまう
衝動買いをしてしまう
ADHDの治療
薬による治療法がある唯一の発達障害。ストラテラとコンサータという2種類の治療薬がある。18歳以上で診断のついたADHDの方でも薬が使えるようになった。学校や職場での悪循環が好転して自信を持って生活できるように環境調整をする。自分の特性を理解して、折り合いをつけて生活していくことが最も大切である。
発達障害の関わりで大切なこと
- 本人が楽しく、自信を持って生活できる環境を整えてあげること
- 困っていることは何かを理解すること
- 克服させようとしないこと!