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令和2年度 病院指標

令和2年度 病院指標

  1. 年齢階級別退院患者数
  2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
  4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
  5. 脳梗塞の患者数等
  6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)

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↑ 【厚生労働省のページ】

1. 年齢階級別退院患者数

 当院を退院した患者さんの合計は、前年度(2019年度)から632人減少しました。80代と90代ではそれぞれ3.57%、22.41%増加しましたが、70代以下の年代はすべて減少し、特に10歳未満の患者さんの減少率が33.5%で最大でした。

 当院の患者さんは60代以上が全体の7割程度を占めており、中でも70代の患者さんの割合が29%で最も多く、次いで80代が19%、60代が17%となっています。

 一方で、当院は県内で唯一厚生労働省の定める総合周産期母子医療センターがあり、乳児の患者さんの割合が比較的高いのが特徴です。

2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)

 呼吸器内科では、呼吸器外科と協力し、患者さんが安心して治療を受けられるように努めています。最も多いのは、手術不能肺がんの化学療法導入や術後補助化学療法導入に伴う入院で、薬剤の種類や合併症の有無で分類されますが、総数としては300件以上となっています。それに伴い外来通院で化学療法を行う件数も免疫チェックポイント阻害薬を含めて増加しています。検査入院として気管支鏡検査を目的とした入院例が多く、苦痛や不安の軽減のため適切な鎮静を行い安全に実施しており多施設からの紹介もあります。肺炎、間質性肺炎に対する急性期の治療や、特発性肺線維症に対する抗線維化薬の導入治療も積極的に行っている他、呼吸不全診療の充実や抗酸菌感染症診療にも取り組んでいます。

 高齢化に伴う誤嚥性肺炎を含めた呼吸器感染症の増加、当院の姿勢として休日夜間を問わない発熱患者に対する救急対応の受け入れに反映して肺炎入院件数が増加しており、適切な診断、治療を開始し地域の病院への転院へ連携しています。また当科においては新型コロナウィルス感染症の中等症~重症の受け入れも救命救急科とともに積極的に行い適切な薬剤による重症化させない治療を念頭に診療にあたっています。

※コロナウィルス感染症による入院は包括評価ではないため、集計に含まれません。

 消化器内科で最も多いのは急性胆管炎の患者さんです。胆管結石や癌により胆管が閉塞し、時に感染を伴います。内視鏡を用いて結石を除去したり、癌の場合にはステントという形状記憶合金性のメッシュや樹脂製のチューブを挿入し黄疸の改善を図っています。2番目に多いのは大腸ポリープの患者さんで、内視鏡を用いて切除しています。今回の集計では入院症例を対象としていますが、外来で年間約500例の大腸ポリープ切除を実施しています。3番目に多いのは早期胃癌の患者さんです。全国一短い入院期間で内視鏡的切除をしています。4番目に多いのは胃十二指腸の患者さんです。吐下血で救急搬送されることが多く内視鏡的に止血処置をしています。5番目に多いのは膵臓癌の患者様です。診断のために内視鏡を用いて、胃や十二指腸から膵癌の生検を行う場合や、抗癌剤の投与を行っています。

 循環器内科では冠動脈疾患、不整脈、心不全など循環器疾患のすべてに対応しております。冠動脈インターベンション手術は年に約200例以上施行し、不整脈に対するアブレーション治療も近年、コンスタントに300例程度施行しており、本年度も同程度に達する見込みです。

 ペースメーカ挿入はもちろんのこと、治療施設に限りのある植込み型除細動器や両心室ペーシング植込み、リードレスペースメーカ植込み、皮下植込み型除細動器挿入も施行しております。また、ペースメーカリード抜去術も、当院での治療を開始しております。

 糖尿病(1型糖尿病・2型糖尿病)、内分泌疾患(甲状腺疾患、副甲状腺疾患、視床下部・下垂体疾患、副腎疾患)、二次性高血圧を中心に診療を行っています。症例数の最も多い2型糖尿病では、教育入院に力を入れ、糖尿病専門医だけではなく、病棟看護師、管理栄養士、薬剤師、検査技師、理学療法士で構成されたチーム医療で生活習慣の改善指導を積極的に行っています。そのほか、糖尿病患者の高齢化に伴い、感染症などの合併症治療や、血糖高値で手術ができない場合にインスリンで術前コントロールを行うことも増えています。1型糖尿病患者のインスリンポンプ療法の導入も行っています、また、糖尿病の合併症の診断と治療は、眼科、腎臓内科、循環器内科、泌尿器科、産科などとの緊密な連携のもと行っています。

 腎臓病の原因は多岐にわたり、治療法も異なる為、血液検査、尿検査、超音波検査、腎生検などにより原因を診断したのち、適切な治療を提供しています。

 発症初期から透析期まで、腎臓病の全病期を一貫して担当している当科の特徴を活かし、長期的な展望に立った診療を行っています。

 血液内科では薬物療法を中心に、急性白血病は入院で、悪性リンパ腫や多発性骨髄腫は外来治療を中心に行い、入院はできるだけ短期間とし、患者さんの体力を落とさないようにQOLを保ちながら日常生活に早く復帰できるよう努めています。薬物療法で治療が困難な場合は、造血幹細胞移植に切り替え治癒を目指します。造血幹細胞移植については、血縁、非血縁、臍帯血、ハプロ、自家移植等から最適な移植法を選択し、最適なタイミングでの移植を行います。当院で診断から薬物療法・移植、退院後の体調管理まで一貫して行うことで、患者さんの健康を責任持って管理いたします。

 膠原病とは、自らの身を守る免疫機能が誤って自己を攻撃してしまう病気であり、長期にわたって免疫を抑える治療が必要になります。発症時、治療経過中の病状悪化時、感染症などの合併症が出現したときなどに入院の必要性が生じます。特に発症時には、身体症状に加えて血液、画像、病理学的検査などを組み合わせて病気を診断確定し、その病状に合わせてステロイドや免疫抑制剤を組み合わせた治療を行いますので入院期間が長くなります。本年度は全国平均と比較してやや入院期間が長いとの結果となってしまっていますので、今後とも必要な在院期間は十分保ちつつ、しかし可能な限り早く退院できるように一層努力していきたいと思います。なお、関節リウマチ患者さんは外来で加療することが多く、内科的に入院の必要がある例はとても少ないです。

 様々な疾患を見ていますが、感染症患者が一番多いです。急性腎盂腎炎については、初期は点滴で治療し内服抗菌薬に感受性があるとわかり、かつ退院可能な体調であれば、内服に切り替えて退院し外来で様子を見ていきます。実際には若い人だけではなく、施設入所者や体が十分動けない介護が必要な方もおり、その場合には治療が終わってもなお退院調整に時間がかかることがあります。髄膜炎、骨髄炎といった感染症以外に、リウマチ性多発筋痛症などの膠原病疾患、電解質異常、悪性リンパ腫の診断、肉腫の化学療法も行っています。

 小児科では、地域の小児科開業医や県内全域の関連病院と連携して二次小児医療を展開しており、当院の総合周産期母子医療センターと連携する中で脳性麻痺や先天奇形などのさまざまな基礎疾患を有するお子さんたちも支援しています。インフルエンザやRSウイルスなどのウイルス感染に起因する呼吸器系疾患や緊急搬送を要する熱性けいれん、専門外来ではてんかんなどの脳・神経系疾患や低身長や糖尿病などの内分泌/代謝性疾患の病児が多くなっています。

 外科では、悪性疾患に加え鼠径ヘルニア・胆石症などの手術も行っています。また地域医療の観点から患者さんに安心していただける緊急手術にも対応しています。当院での消化器や乳腺の悪性腫瘍の患者さんの平均在院日数は、全国平均と比して短縮されています。今後とも治療が滞りなく行えるように努めてまいります。

 呼吸器外科では、肺がんや気胸などの疾患に対して、外科的治療(主に手術)を施行しております。「肺の悪性腫瘍 手術あり」とは肺がんに対して手術を行った患者さんであり、県内最多の症例数です。平均在院日数も全国平均より大幅に短縮しています。気胸に対する手術症例も県内最多です。現在、当科は、国内有数の呼吸器外科high volume center(多数例を手術する施設)であり、術後治療成績(肺がん術後無再発率、気胸術後無再発率など)、手術合併症率、術後在院日数とも国内トップレベルの成績です。

 心臓血管外科では虚血性心疾患(狭心症など)、弁膜症、大動脈瘤の手術などを幅広く行っています。大血管疾患は増加傾向にあり、特にステントグラフト内挿術は症例数が増えて成績も安定し、入院期間も短縮しています。緊急手術は常時対応可能な体制を整えています。より低侵襲化をこころがけ特に高齢者手術などのさらに在院日数の短縮に取り組んでいきたいと考えています。

 整形外科は四肢の骨折や変形性関節症、変形性脊椎症の手術を主に行っています。脊椎を専門とする医師がスタッフに加わり、脊髄手術と脊髄造影検査入院が増加しています。高齢者の大腿骨近位部骨折は寝たきりの原因となるため、準緊急手術として対応し速やかにリハビリが行えるようにしています。高度救命救急センターへ搬送される多発外傷患者・重度四肢外傷患者に対応するため、初療の段階から整形外科医がかかわり、適切なタイミングで治療を行っています。変形性関節症や変形性脊椎症に関しても合併症を伴った症例が多く、他科と連携を密にとりながら安全な手術を心がけています。

 脳神経外科では慢性硬膜下血腫穿頭術が最も多い手術になります。次いで脳動脈瘤手術で開頭術を中心に行っております。脳動脈瘤手術総数は約40例です。脳腫瘍手術も積極的に行っており、ここ数年は年間10~20例の手術を行っています。

 小児外科は生まれたばかりの赤ちゃんから中学生までのこどもを対象とし、取り扱う疾患は肝臓・腎臓・腸などのお腹の臓器、肺・食道などの胸の臓器、首や皮膚の下の腫瘤(しこりやできもの)など多岐にわたる診療科です。臓器ごとの専門的な知識や技術が必要な疾患の場合は他の診療科の医師と連携をとりながら診断・治療に当たります。

 皮膚科では帯状疱疹、水痘、単純ヘルペス、蜂窩織炎、丹毒、などの感染症や皮膚悪性・良性腫瘍、難治性皮膚潰瘍、アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬、水疱症など皮膚疾患全般につき積極的に治療しています。皮膚科で最も多い入院症例は蜂窩織炎、丹毒などの細菌感染による皮膚の炎症性疾患です。抗菌薬の点滴注射による治療を行っています。また緊急を要する壊死性筋膜炎などでは抗菌薬の点滴注射治療に併せて、迅速に皮膚切開術やデブリードマンなどの外科的手術を行っています。

 次いで多い入院症例は帯状疱疹でウイルス感染による皮膚の炎症性疾患です。強い痛みを伴うことが多く、顔面に発症した症例では顔面神経麻痺や難聴、視力障害など合併することがあります。抗ウイルス薬の点滴注射や消炎鎮痛剤の内服で治療を行っています。また合併症が疑われる症例については耳鼻科、眼科と連携し治療を行っています。

 薬剤のアレルギーによる薬疹やウイルス、細菌感染などに伴う中毒疹に関しては原因の精査を行いステロイド剤の投与などの治療を行います。また重症な脱毛症症例にはステロイドの点滴治療を行っています。多型滲出性紅斑や結節性紅斑といった紅斑症に関しては発症原因を特定したうえで治療を行っています。

 泌尿器科では尿路悪性腫瘍をはじめ、尿路結石など良性疾患も含め、尿路性器疾患全般につき積極的に治療しています。膀胱がんを尿道から内視鏡を入れて削る手術は、どの病院でも多く行われていますが、当院では手術前日入院、術後2日目退院ですので、在院日数は短くなっています。結石を体外から砕く手術(ESWL)は1泊2日で行っています。腎盂・尿管がん(尿路上皮癌)の抗がん剤治療は、点滴が長時間かかる部分のみ入院(3泊4日)で行い、それ以外は通院加療がんセンターで行っています。

 2020年の形成外科の手術件数(レーザー照射も含め)は、790例で、入院手術件数が306例、外来手術件数が484例でした。最多は皮膚皮下良性腫瘍(母斑・粉瘤・血管腫・脂肪腫など)244例で、次に瘢痕拘縮・ケロイド 50例、耳・瞼その他の先天異常 50例、眼瞼下垂症 45例でした。そのほかにも皮膚悪性腫瘍 33例、四肢外傷 43例、顔面骨骨折 37例(鼻骨 26例・ 頬骨6例・ 眼窩底 3例、顔面多発骨折2件)、乳房再建 23例、顔面軟部組織損傷 29例、難治性潰瘍 28例、熱傷(植皮術)6例、口唇口蓋裂 10例、四肢先天異常(多指・合指)6例、眼瞼内反症9例・睫毛内反『さかさまつげ』 14例と形成外科の疾患をほぼ全般にわたり行っています。

 あざ専用のQスイッチ・ルビー レーザー照射の症例数は以下のとおりです。

 *扁平母斑・太田母斑・外傷性刺青・異所性蒙古斑: 27例 【保険診療】

 *老人性色素斑(しみ)・刺青(入れ墨): 28例 【自費診療】

 当院では子宮、卵巣の良性、悪性腫瘍ともに積極的に低侵襲手術を取り入れています。

 また術後の回復や痛みのコントロールなども工夫して早期離床を図っています。そのため平均在院日数は全国と比較しても短く、「早く、きれいに治す医療」が可能になっています。

 産科は、自費入院から保険入院に切り替わるケースや、保険入院中であっても一部に自費診療を伴うケースが多くあります。本集計では医科または歯科の包括請求のみ対象とするため、入院患者さんの多くが集計から除外されています。

 地域医療の基幹病院としてあらゆる眼疾患の診断・治療に対応しています。対象疾患は白内障、緑内障、網膜硝子体疾患(網膜剥離、糖尿病網膜症、網膜色素変性、加齢黄斑変性、網膜前膜、黄斑円孔など)、角膜疾患、ぶどう膜炎、視神経炎、斜視、弱視などです。眼科の入院のほとんどが手術目的です。その中でもっとも多い症例は白内障で眼科手術の約89%を占めます。白内障以外で多いのが上記疾患であり、緑内障や網膜剥離は失明の危険性がある重篤な疾患であり、治療に力を入れています。

 耳鼻咽喉科では耳、鼻、咽頭、喉頭、頸部など耳鼻咽喉科領域すべての疾患に対応し診療しています。頭頸部外科として、炎症性疾患は元より良性腫瘍、悪性腫瘍の系統的治療(化学療法、放射線治療、手術の三者の併用)や副鼻腔炎の鼻内手術を積極的に行っています。また突発性難聴、末梢性顔面神経麻痺などに対する薬物療法の治療実績も豊富です。

 救急科は、山梨県唯一である高度救命救急センターを中心に診療を行っています。当科が担当させていただくのは、重症外傷や熱傷、急性心筋梗塞、脳卒中、心肺停止、薬物中毒などの重篤な方または緊急性の高い方、複数の診療科にわたる重症な方などです。

 また、当科はドクターカーやドクターヘリの運用を担っており、病院外へ医師が出向くことによって救命率の向上を目指しております。当科には年間約2,300人前後の方が救急搬送され、その内約1,500人前後の方が入院いたします。疾患別で搬送が多いのは重症外傷や心肺停止、薬物中毒などです。

3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数

 当院のがんに対する治療の目標は、内視鏡治療、外科手術、化学療法、放射線療法といった従来の治療の上にさらにゲノム解析センターと協力してそれぞれの患者さまにより精緻な治療方針を分析、選択施行していくことです。

 2018年4月から消化器外科分野、呼吸器外科分野でロボット支援下手術の保険診療が可能となり、胃癌、食道癌といった手術に徐々に導入されつつあります。

【胃癌・大腸癌】早期がんを中心とした内視鏡治療や腹腔鏡下手術といった低侵襲手術から、進行がんに対する化学療法を併用した手術までを施行しています。消化器がんの治療では、消化器内科、消化器外科、放射線科、病理科、緩和ケアの各専門医、医療スタッフが互いに連携してチーム医療を行っています。

【乳 癌】乳癌症例は年々増加してきており、山梨県では最も多くの患者さまの治療を行ってきました。乳癌に対する外科手術、化学療法、放射線療法といった総合的な治療を行っています。治療成績も良好です。

【肺 癌】転移を認めるステージⅣの症例が多い状況ですが、外科手術をはじめ化学療法、放射線療法といった治療を積極的に行っています。

【肝 癌】肝胆膵領域においては、内科、外科の連携により再発症例に対しても根治治療を目指しています。

4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等

 市中肺炎は病院外で日常生活をしていた人に発症する肺炎です。

 重症度は軽症・中等症・重症・超重症の4つに区分されますが、当院で治療を行う患者さん中等症の割合が58.9%で最も大きく、次いで、重症が28.8%です。

 肺炎の患者さんは高齢者が多く、年齢が高くなるほど重症度も高くなる傾向にあり、重症・超重症患者さんの平均年齢は80歳以上となっています(高齢者は重症化予防のために肺炎球菌ワクチンの予防接種が推奨されています)。

5. 脳梗塞の患者数等

 当院は高度救命救急センターを備えており、24時間体制で脳梗塞の急性期医療に対応しています。

 発症から3日以内に入院となる症例が92.3%を占めており、平均入院期間は17日程度です。また、発症から早期に当院での急性期治療を行った後は、6割以上の患者さんがリハビリ病院等へ転院しています。

6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)

 1番目に多い手術は、急性胆管炎に対して胆管内の膿を排泄する目的や、胆膵癌による胆管閉塞を解除する目的で、胆道ステントといわれる樹脂製のチューブを内視鏡を用いて胆管に留置しています。急性胆管炎では基本的に全例緊急で行っています。2番目に多い手術は早期胃癌に対する内視鏡的切除方法です。2mmのメスを用いて内視鏡で腫瘍を除去します。全国で最も短い入院期間で実施しています。3番目に多いのは消化管出血に対する内視鏡的に止血をする手術です。食道や胃、十二指腸の潰瘍などの出血に対し、クリップや高周波電流を使用した内視鏡的止血術です。4番目に多い手術は大腸ポリープ、腫瘍に対する内視鏡的切除です。4-5cm程度の大きな腫瘍も切除しています。5番目に多い手術は、胆管結石を内視鏡を用いて除去するため、十二指腸側の胆管の出口を切開して広げるために行っています。

 冠動脈疾患、不整脈、心不全など循環器全般を高度に、万遍なく網羅しているのが当科の特徴です。

 緊急/待機的な冠動脈治療はもちろんのことペースメーカー治療も多くおこなっております。心房中隔穿刺を伴ったカテーテル心筋焼灼は主に心房細動の予防・治療に施行するもので、年々増加しております。

 内シャント設置術は、当科及び心臓血管外科の支援を得て実施しています。新規透析導入例のみでなく、血管閉塞例、他院で作成困難例や人工血管移植術についても積極的に行っています。経皮的シャント拡張術・血栓除去術の大多数は、通院で治療を行っています。

 外科での治療は、さまざまな対象臓器に対する手術や多様な治療を実施しています。特に乳腺疾患においては乳房形成術や再建術を取り入れ整容性に優れた手術を心がけています。一般外科、消化器疾患においては低侵襲な鏡視下手術を積極的に行っており、さらにロボット支援下手術の導入を積極的に行っています。術前入院日数・術後在院日数の短縮をめざして外科外来、病棟、患者支援センターと共に努めてまいります。

 呼吸器外科では、主に肺がんや気胸の手術を行っています。肺がん症例では、標準手術とされる肺葉切除術を中心に、早期がんに対する縮小手術、進行がんに対する拡大手術、などあらゆる手術を施行しています。気胸の手術においても当科独自の改良を加え、再発率は1%以下です(全国平均5-10%)。2015年より当院独自の麻酔法を導入し、術後疼痛は劇的に改善し、患者さんからも好評です。

 心臓血管外科では、弁膜症、冠動脈バイパス手術、大動脈瘤手術などを幅広く行っています。近年増加傾向にある大動脈瘤手術は開胸、開腹法とステントグラフト法を症例によって選択して行っていますが、より低侵襲なステントグラフト治療が増加、成績も安定しています。冠動脈バイパス手術は人工心肺を用いた心拍動下手術を基本術式にしています。僧帽弁逆流症は弁形成を第一選択としています。また大動脈解離症など緊急手術は常時受け入れ可能な体制を整えています。

 整形外科は四肢の骨折や変形性関節症、変形性脊椎症の手術を主に行っています。高齢者の大腿骨近位部骨折は寝たきりの原因となるため、準緊急手術として対応し速やかにリハビリが行えるようにしています。高度救命救急センターへ搬送される多発外傷患者・重度四肢外傷患者に対応するため、初療の段階から整形外科医がかかわり、適切なタイミングで治療を行っています。変形性関節症や変形性脊椎症に関しても合併症を伴った症例が多く、他科と連携を密にとりながら安全な手術を心がけています。

 脳神経外科では慢性硬膜下血腫穿頭術が最も多い手術になります。次いで脳動脈瘤手術で開頭術を中心に行っております。脳腫瘍手術も積極的に行っており、ここ数年は年間10~20例の手術を行っています。

 小児外科の手術は全国的に鼠径ヘルニアが最も多いです。鼠径ヘルニア手術は腹腔鏡での手術と、昔ながらの鼠径部(足のつけね)を切開して行う手術があり、当院ではどちらも行っています。

 他には停留精巣の手術、臍ヘルニア(でべそ)、虫垂炎の手術が多くなっています。

 特に、急性虫垂炎の治療には2つの治療方針をとっております。中等度以上の虫垂炎では準緊急的に手術治療を行うことで、最も確実に早期の回復を目指します。一方、軽症の虫垂炎や逆に進行して重症化した場合には抗生剤を用いながら保存的治療を行っています。重症の虫垂炎では炎症が強く手術が難航し術後の合併症も多くなるため、保存的治療で一旦軽快させておき腹部の炎症が消滞する約3ヶ月後を目標に待機的に虫垂切除を行うことを勧めています。

 いずれの手術でも、お子さんの長い将来のことを考えながら治療戦略をたてて診断・治療に携わっています。

 泌尿器科では、膀胱がん、腎臓がん、前立腺がんの手術を非常に多く行っており、在院日数も全国平均と比べ、大変短くなっています。前立腺がんの手術はほぼ全例で手術支援ロボットを使用しています。また、腎臓がんの手術もほとんどが腹腔鏡、もしくは手術支援ロボットを使用しています。このことにより術後早期に退院可能であり、在院日数は短くなっています。より低侵襲化をこころがけ在院日数の短縮に取り組んでいきたいと考えています。 

 当院では低侵襲手術が主流となっています。低侵襲手術は腹腔鏡とロボットがありますが、ともに行うことができる近県でも数少ない施設です。

 最も多い症例は白内障で眼科手術の約85%を占めます。次いで多いのが、糖尿病網膜症、網膜剥離、黄斑円孔、黄斑上膜などの網膜硝子体疾患対して行う硝子体茎顕微鏡下離断術です。斜視は小児の全身麻酔症例が多いため、前日からの入院になることが多く、術前在院日数が長くなっています。

 炎症を繰りかえす習慣性扁桃炎、IgA腎症などの病巣扁桃、睡眠時無呼吸症候群の原因となっている扁桃肥大に対しての口蓋扁桃摘出術を多く施行しています。また耳下腺や顎下腺などの大唾液腺にできる良性および悪性腫瘍の手術、甲状腺癌の手術を多く行っています。

 救急科は、重症外傷に対する開胸、開腹手術やカテーテルを用いた血管塞栓術を行っております。重症外傷に対する救命のための手術を行えるのは当科の最大の特色と言えます。また、重篤な呼吸・循環不全の方には経皮的心肺補助法を積極的に導入しており、救命率の向上につなげております。救命された後の呼吸補助のために気管切開術を施行して、長期生存およびADL(日常生活動作)の向上を目指しております。さらにカテーテルによる治療として、発症早期の脳梗塞に対し経カテーテル的脳血栓回収術を脳神経外科と協働で行っております。

7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)

“敗血症”

 当院は重症症例が多く、なかには敗血症を発症する症例もあります。必要に応じて治療薬の投与や血液浄化療法等の治療を行います。

“手術・処置等の合併症”

 入院契機病名(入院のきっかけとなった病名)と「同一」の発生率が高く見えますが、入院中に手術・処置の合併症が発生することは少数です。術後の創部感染等の他に、透析患者さんのシャントトラブル(透析を行うために必要なシャントが血栓などで閉塞し使用できなくなる)治療(経皮的シャント拡張術・血栓除去術等)を目的とした再入院等も、この指標に含まれています。

掲載内容に関するお問い合わせ

地方独立行政法人山梨県立中央病院

医事課

電話番号
055-253-7111(代)

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