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令和4年度 病院指標

令和4年度 病院指標

  1. 年齢階級別退院患者数
  2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
  4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
  5. 脳梗塞の患者数等
  6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)

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↑ 【厚生労働省のページ】

1. 年齢階級別退院患者数

 当院の一般病棟を退院した患者さんの合計は、前年度(2021年度)から146人増加しました。0、70、80、90代で増加しており、特に90代の患者さんの増加率が20.21%で最大でした。

 当院の患者さんは60代以上が全体の7割程度を占めており、中でも70代の患者さんの割合が28%で最も多く、次いで80代が20%、60代が15%となっています。

 一方で、当院は県内で唯一厚生労働省の定める総合周産期母子医療センターがあり、乳児の患者さんの割合が比較的高いのが特徴です。

(※ なお、本指標には新型コロナウイルス感染症治療及び正常分娩の患者さんは含まれておりません。)

2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)

 呼吸器内科では、呼吸器外科と協力し、患者さんが安心して治療を受けられるように努めています。最も多かったのは、間質性肺炎に対する急性期の治療や、特発性肺線維症に対する抗線維化薬の導入治療でした。例年総数として多いのは、手術不能肺がんの化学療法導入や術後補助化学療法導入に伴う入院で、薬剤の種類や合併症の有無で分類されますが、総数としては300件以上となっています。骨転移や脳転移に対する放射線治療の際にも通院で治療が困難な場合、当科で入院主治医となり治療を行っています。外来通院で化学療法を行う件数も免疫チェックポイント阻害薬を含めて増加しています。検査入院として気管支鏡検査を目的とした入院例が多く、苦痛や不安の軽減のため適切な鎮静を行い安全に実施しており多施設からの紹介もあります。肺炎、閉塞性肺疾患による呼吸不全にも呼吸器リハビリテーションを取り入れ対応しています。

 高齢化に伴う誤嚥性肺炎を主とする呼吸器感染症の増加、当院の姿勢として休日夜間を問わない発熱患者に対する救急対応の受け入れに反映して肺炎入院件数が増加しており、適切な診断、治療を開始し地域の病院への転院へ連携しています。また当科においては新型コロナウィルス感染症の中等症~重症の受け入れも救命救急科とともに積極的に行い適切な薬剤による重症化させない治療を念頭に診療にあたっています。

※コロナウィルス感染症による入院は包括評価ではないため、集計に含まれません。

 消化器内科で最も多いのは急性胆管炎の患者さんです。胆管結石をはじめとした良性疾患や胆膵癌により胆管が閉塞することで、胆汁がうっ滞し、感染や肝不全から致死的になります。このため、早急に内視鏡治療を行い、閉塞部にステントといわれるプラスチックのチューブを留置し、感染胆汁の排泄を排泄させ治療します。また、癌の場合には金属ステントという形状記憶合金性のメッシュや樹脂製のチューブを挿入し黄疸の改善を図ります。

 2番目に多いのは大腸ポリープの患者さんです。大腸内視鏡を用いて、今後大腸癌へと移行しうる大腸ポリープを切除しています。

 3番目に多いのは早期胃癌の患者さんです。内視鏡診断の進歩により、早期胃癌の発見機会が増えている一方で、胃癌の原因となるピロリ菌の除菌も普及していることから今後は胃がん自体が減少していく事が予想されます。早期胃癌に対し、内視鏡に装着した2mmのメスを用いて病変を切除しています。国内で最も短い入院期間で、低侵襲の内視鏡的切除を行っています。

 4番目に多いのは膵臓癌の患者様です。膵臓癌は近年増加の一途をたどっています。最近では、膵臓癌の病理学的な確定診断のために、先端に超音波の搭載された内視鏡を用いて、胃や十二指腸から膵癌の生検を行う処置を行っています。最近では、癌自体の治療にもつながり得る癌パネル検査に提出する検体としても用いております。当院では1泊2日の入院で行っています。5番目に多いのは膵臓癌による閉塞性黄疸に対して、内視鏡を用いて閉塞部位に金属ステントという形状記憶合金性のメッシュや樹脂製のチューブを挿入し黄疸の改善を図っております。

 循環器内科では冠動脈疾患、不整脈、心不全など循環器疾患のすべてに対応しております。冠動脈インターベンション手術は年に約200例施行し、不整脈に対するアブレーション治療も近年、コンスタントに300例程度施行しております。

 ペースメーカー挿入はもちろんのこと、治療施設に限りのある植込み型除細動器や両心室ペーシング、リードレスペースメーカー、皮下植込み型除細動器などの挿入も施行しております。

 今後も施設認定などを経て、多くの手技を可能にしていく予定です。

 糖尿病(1型糖尿病・2型糖尿病)、内分泌疾患(甲状腺疾患、副甲状腺疾患、視床下部・下垂体疾患、副腎疾患)、二次性高血圧を中心に診療を行っています。症例数の最も多い2型糖尿病では、教育入院に力を入れています。糖尿病教育入院は主に1週間入院のクリニカルパスを使用しています。糖尿病専門医だけではなく、病棟看護師、管理栄養士、薬剤師、検査技師、理学療法士で構成されたチーム医療で生活習慣の改善指導を積極的に行っています。そのほか、糖尿病患者の高齢化に伴い、感染症などの合併症治療や、血糖高値で手術ができない場合にインスリンで術前コントロールを行うことも増えています。1型糖尿病患者にインスリンポンプ療法の導入もしています。また、糖尿病の合併症の診断と治療は、眼科、腎臓内科、循環器内科などとの緊密な連携のもと行っています。

 腎臓病の原因は多岐にわたり、治療法も異なる為、血液検査、尿検査、超音波検査、腎生検などにより原因を診断したのち、適切な治療を提供しています。

 発症初期から透析期まで、腎臓病の全病期を一貫して担当している当科の特徴を活かし、長期的な展望に立った診療を行っています。

 血液内科では薬物療法を中心に、急性白血病は入院で、悪性リンパ腫や多発性骨髄腫は外来治療を中心に行い、入院はできるだけ短期間とし、患者さんの体力を落とさないようにQOLを保ちながら日常生活に早く復帰できるよう努めています。薬物療法で治療が困難な場合は、造血幹細胞移植に切り替え治癒を目指します。造血幹細胞移植については、血縁、非血縁、臍帯血、ハプロ、自家移植等から最適な移植法を選択し、最適なタイミングでの移植を行います。当院で診断から薬物療法・移植、退院後の体調管理まで一貫して行うことで、患者さんの健康を責任持って管理いたします。

 膠原病とは、自らの身を守る免疫機能が誤って自己を攻撃してしまう病気であり、長期にわたって免疫を抑える治療が必要になります。発症時、治療経過中の病状悪化時、感染症などの合併症が出現したときなどに入院の必要性が生じます。特に発症時には、身体症状に加えて血液、画像、病理学的検査などを組み合わせて病気を診断確定し、その病状に合わせてステロイドや免疫抑制剤を組み合わせた治療を行いますので入院期間が長くなります。また、感染症による入院では抗生物質の十分な投与期間を必要とするため、入院期間の短縮が難しいこともあります。

 本年度は全国平均よりやや長い入院期間との結果となっています。病状によりどうしても長期の入院加療が必要となる患者さんもおられますので、今後とも必要な在院期間は十分保ちつつ、しかし可能な限り早く退院できるように一層努力していきたいと思います。なお、関節リウマチ患者さんは外来で加療することが多く、内科的に入院の必要がある例はとても少ないです。

 当科の入院患者さんの主たる病気はさまざまです。急性腎盂腎炎を含む尿路感染症が44人と最も多かったですが、この病気は抗菌薬で治療可能です。転院率が低かったため平均在院日数も低めに出ていると思います。平均抗菌薬投与期間は7-10日です。皮膚感染症は褥瘡なども含むため、入院期間が長くなっています。

 当院小児科は、県内全地域の小児科開業医および小児地域支援病院と連携し、小児地域医療センター(二次)としての役割を担っています。また、当院は県内唯一の総合周産期母子医療センターを擁するため、脳性麻痺や先天性疾患など様々な基礎疾患を有する患者様の支援も行っています。新型コロナウイルスやRSウイルスなどに因る気道感染症と、それに伴う気管支喘息が多く入院しています。また、コロナ禍の終焉とともに拡大したウイルス性胃腸炎が多く入院しています。専門性の高い医療としてはアレルギー性疾患に対する食物負荷試験での一泊または日帰り入院、てんかんや筋ジストロフィーなどの神経・筋疾患、先天代謝性異常症や糖尿病などの内分泌・代謝性疾患の患者様の入院が多くなっています。

 外科では、悪性疾患に加え鼠径ヘルニア・胆石症などの手術も行っています。また地域医療の観点から患者さんに安心していただける緊急手術にも対応しています。当院での消化器や乳腺の悪性腫瘍の患者さんの平均在院日数は、全国平均と比して短縮されています。今後とも治療が滞りなく行えるように努めてまいります。

 呼吸器外科では、肺がんや気胸などの疾患に対して、外科的治療(主に手術)を施行しております。「肺の悪性腫瘍 手術あり」とは肺がんに対して手術を行った患者さんであり、県内最多の症例数です。平均在院日数も全国平均より大幅に短縮しています。気胸に対する手術症例も県内最多です。現在、当科は、国内有数の呼吸器外科high volume center(多数例を手術する施設)であり、術後治療成績(肺がん術後無再発率、気胸術後無再発率など)、手術合併症率、術後在院日数とも国内トップレベルの成績です。

 心臓血管外科では虚血性心疾患(狭心症など)、弁膜症、大動脈瘤の手術などを幅広く行っています。大血管疾患は増加傾向にあり、特にステントグラフト内挿術は症例数が増えて成績も安定し、入院期間も短縮しています。緊急手術は常時対応可能な体制を整えています。より低侵襲化をこころがけ特に高齢者手術などのさらに在院日数の短縮に取り組んでいきたいと考えています。

 整形外科は四肢の骨折や変形性関節症、変形性脊椎症の手術を主に行っています。高度救命救急センターへ搬送される多発外傷患者・重度四肢外傷患者に対応するため、初療の段階から整形外科医がかかわり、適切なタイミングで治療を行っています。その結果、術前待機日数が短くなり、平均在院日数も短くなっています。変形性関節症や変形性脊椎症に関しても合併症を伴った難治症例が多く、他科と連携を密にとりながら安全な手術を心がけています。

 脳神経外科では脳卒中、頭蓋内腫瘍、頭部外傷、小児脳神経外科その他脳神経外科疾患を幅広く診療しています。脳卒中急性期症例が最も多く、手術の有無にかかわらずすべて脳神経外科で対応しています。年間約300例の脳卒中入院治療を行っています。特にくも膜下出血、破裂脳動脈瘤の急性期治療、脳梗塞に対する急性期血栓回収術など専門的技術が必要な診療を積極的に行っています。

 小児外科は生まれたばかりの赤ちゃんから中学生までのこどもを対象に、肝臓・腎臓・腸などのお腹の臓器、肺・食道などの胸の臓器、首や皮膚の下の腫瘤(しこりやできもの)など多岐にわたる疾患を扱う診療科です。臓器ごとの専門的な知識や技術が必要な疾患の場合は他の診療科の医師と連携をとりながら診断・治療に当たります。また、治療は患児の成長を妨げないように計画を立てながら安心して治療を受けていただけますよう心がけていきます。

 皮膚科では帯状疱疹、水痘、単純ヘルペス、蜂窩織炎、丹毒、などの感染症や皮膚悪性・良性腫瘍、難治性皮膚潰瘍、アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬、水疱症、脱毛症など皮膚疾患全般につき積極的に治療しています。皮膚科で最も多い入院症例は脱毛症で全頭脱毛や多発脱毛など重症な症例にはステロイドの点滴治療を行っています。次に多い入院症例は蜂窩織炎、丹毒などの細菌感染による皮膚の炎症性疾患です。抗菌薬の点滴注射による治療を行っています。また緊急を要する糖尿病性壊疽や壊死性筋膜炎などでは抗菌薬の点滴注射治療に併せて、迅速に皮膚切開術やデブリードマンなどの外科的手術を行っています。

 次いで多い入院症例は帯状疱疹でウイルス感染による皮膚の炎症性疾患です。強い痛みを伴うことが多く、顔面に発症した症例では顔面神経麻痺や難聴、視力障害など合併することがあります。抗ウイルス薬の点滴注射や消炎鎮痛剤の内服で治療を行っています。また合併症が疑われる症例については耳鼻科、眼科と連携し治療を行っています。外来での手術が困難な腫瘍性病変については入院し、中央手術室での切除術を行っています。

 泌尿器科では尿路の悪性腫瘍や結石など積極的に治療しています。いずれも全国平均よりも短い在院日数です。膀胱がんを尿道から内視鏡を入れて削る手術は3泊4日で行っておりますが、状況により1日短縮できるよう調整します。結石を体外から砕く手術(ESWL)は1泊2日で行っておりますが、2回目以降はおおむね日帰りで行っております。腎盂・尿管がん(尿路上皮癌)の抗がん剤治療は、点滴が長時間かかる部分のみ入院(3泊4日)で行い、それ以外は通院加療がんセンターで行っています。

 形成外科では外来手術(眼瞼手術など)・他科入院患者の手術(乳房再建など)・労災(四肢外傷再建など)・自賠責(顔面外傷など)が多いため、実際の手術件数が上記診断群分類別患者数表に反映されていない点があります。

 2022年1月~12月における形成外科のかかわった全手術件数は865例でした。入院手術は350例、外来手術件数は515例で内訳については以下の通りです。

 最多が皮膚皮下腫瘍摘出288件(良性腫瘍234件・悪性腫瘍切除再建54件)、次いで眼瞼手術が107件(眼瞼内反26件、睫毛内反15件、眼瞼下垂66件)、四肢の外傷67件(上肢43件・下肢24件)、先天異常62件(口唇口蓋裂17件・四肢の先天異常5件・耳介10件・眼瞼17件・その他(体幹、顔面)の先天異常13件)、顔面骨骨折35件(鼻骨25件・頬骨6件・眼窩4件)、瘢痕拘縮・ケロイド30件、難治性潰瘍25件(褥瘡0件)、顔面軟部組織損傷18件、乳房再建18件、熱傷8件(植皮5件)でした。

 当院は県内唯一の高度救命救急センターを擁するため重症外傷症例が多い一方で、良性腫瘍・瞼手術も多く地域に根差した医療を提供しています。昨年度より“こどもの形成外来”“キズ・キズアト外来”を立ち上げました。小児やキズアトに悩む患者様への適切な手術提供が可能となりました。

 産科は、自費入院から保険入院に切り替わるケースや、保険入院中であっても一部に自費診療を伴うケースが多くあります。本集計では医科または歯科の包括請求のみ対象とするため、入院患者さんの多くが集計から除外されています。

 婦人科では子宮、卵巣の良性、悪性腫瘍ともに県内で多くの症例を行っております。悪性腫瘍にたいする化学療法は基本的に通院で可能であるため指標に入っておりません。良性、悪性腫瘍ともに積極的に低侵襲手術を取り入れています。加えて早期離床への工夫を行い、全国平均よりも入院期間は短くなっていることが特徴です。

 地域医療の基幹病院としてあらゆる眼疾患の診断・治療に対応しています。対象疾患は白内障、緑内障、網膜硝子体疾患(網膜剥離、糖尿病網膜症、網膜色素変性症、加齢黄斑変性症、網膜前膜、黄斑円孔など)、角膜疾患、ぶどう膜炎、視神経炎、斜視、弱視などです。眼科の入院のほとんどが手術目的となり、その中でもっとも多い症例は白内障で眼科手術の約85%を占めます。白内障以外で多いのが上記疾患です。

 耳鼻咽喉科では耳、鼻、咽頭、喉頭、頸部など耳鼻咽喉科領域すべての疾患に対応し診療しています。頭頸部外科として、炎症性疾患は元より良性腫瘍、悪性腫瘍の系統的治療(化学療法、放射線治療、手術の三者の併用)や副鼻腔炎の鼻内手術を積極的に行っています。また突発性難聴、末梢性顔面神経麻痺などに対する薬物療法の治療実績も豊富です。

 救急科は山梨県唯一である高度救命救急センターを中心に診療を行っています。当科が担当させていただくのは、重症外傷や熱傷、急性心筋梗塞、脳卒中、心肺停止、薬物中毒などの重篤な方または緊急性の高い方、複数の診療科にわたる重症な方などです。

 また、当科はドクターカーやドクターヘリの運用を担っており、病院外へ医師が出向くことによって救命率の向上を目指しております。当科には年間約2,500人前後の方が救急搬送され、その内約1,500人前後の方が入院いたします。疾患別で搬送が多いのは重症外傷や心肺停止、薬物中毒などです。

3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数

 当院のがんに対する治療の目標は、内視鏡治療、外科手術、化学療法、放射線療法といった従来の治療の上に、治療困難な場合には、がんゲノムパネル検査を実施して、それぞれの患者さまにより精緻な治療方針を分析し、選択施行していくことです。

 外科手術ではロボット支援下手術の導入が進み、すでに日常診療となった食道癌、胃癌、大腸癌、直腸癌に対するロボット手術のほか、肺癌に対するロボット支援下手術が増加してきています。

【胃癌・大腸癌】早期がんを中心とした内視鏡治療や腹腔鏡下手術といった低侵襲手術から、進行がんに対する化学療法を併用した手術までを施行しています。消化器がんの治療では、消化器内科、消化器外科、放射線科、病理科、緩和ケアの各専門医、医療スタッフが互いに連携してチーム医療を行っています。

【乳 癌】乳癌症例は年々増加してきており、本県では最も多くの患者さまの治療を行ってきました。乳癌に対する外科手術、化学療法、放射線療法のほか、ゲノム診療にも対応し総合的な治療を行っています。治療成績も良好です。

【肺 癌】転移を認めるステージⅣの症例が多い状況のため、ロボット支援下手術や鏡視下手術をはじめとする外科手術、化学療法、放射線療法を組み合わせた集学的な治療を呼吸器内科医、呼吸器外科医、放射線科医が積極的に行っています。

【肝 癌】肝胆膵領域においては、内科、外科の各専門医の連携のもと集学的治療を導入し、進行癌症例や再発症例に対しても根治的治療を目指しています。

4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等

 市中肺炎は病院外で日常生活をしていた人に発症する肺炎です。

 重症度は軽症・中等症・重症・超重症の4つに区分されますが、当院で治療を行う患者さんは中等症の割合が49.7%で最も大きく、次いで重症が30.3%です。

 肺炎の患者さんは高齢者が多く、年齢が高くなるほど重症度も高くなる傾向にあり、重症・超重症患者さんの平均年齢は80歳以上となっています(高齢者は重症化予防のために肺炎球菌ワクチンの予防接種が推奨されています)。

5. 脳梗塞の患者数等

 当院は高度救命救急センターを備えており、24時間体制で脳梗塞の急性期医療に対応しています。

 発症から3日以内に入院となる症例が93%を占めており、平均入院期間は16日程度です。また、発症から早期に当院での急性期治療を行った後は、5割程度の患者さんがリハビリ病院等へ転院しています。

6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)

 消化器内科で最も多い手術は、胆管結石や癌による胆管閉塞により、胆汁が感染した、いわゆる「急性胆管炎」に対し、内視鏡を用いて胆管にアプローチし、胆管閉塞部に胆道ステントといわれる樹脂製のチューブを留置し、感染胆汁を排泄させ黄疸を改善させています。急性胆管炎では致死的になり得る感染症のため、病態に応じて緊急で行っています。

 2番目に多い手術は大腸ポリープ、腫瘍に対する内視鏡的切除です。4-5cm程度の大きな腫瘍も切除しています。

 3番目に多い手術は早期胃癌に対する内視鏡的切除方法です。2mmのメスを用いて内視鏡で腫瘍を切除します。全国で最も短い入院期間で実施しています。

 4番目に多いのは消化管出血に対する内視鏡的に止血をする手術です。食道や胃、十二指腸の潰瘍などの出血に対し、クリップや高周波電流を使用した内視鏡的止血術です。

 5番目に多い手術は、2センチ未満の大腸ポリープに対する内視鏡的切除です。ここに示した数は入院患者数ですが、外来で約300件前後例年実施しています。必要に応じて入院とする場合もありますが、基本外来で行っている手術です。

 冠動脈疾患、不整脈、心不全など循環器全般を高度に、万遍なく網羅しているのが当科の特徴です。

 緊急/待機的な冠動脈治療はもちろんのことペースメーカー治療も多くおこなっております。心房中隔穿刺を伴ったカテーテル心筋焼灼は主に心房細動の予防・治療に施行するものです。コロナ禍にもかかわらず症例数は年々増加しております。

 内シャント設置術は、当科及び心臓血管外科の支援を得て実施しています。新規透析導入例のみでなく、血管閉塞例、他院で作成困難例や人工血管移植術についても積極的に行っています。

 造血幹細胞採取については、患者様の状態やご希望に合わせ末梢血、骨髄両方からの採取、移植を行っています。自家造血幹細胞移植においては、末梢血からの幹細胞採取、移植を行っています。骨髄バンクを介した非血縁ドナーからの末梢血、骨髄両方からの採取、移植を行っています。また、臍帯血の造血幹細胞を用いた臍帯血移植も行っています。

 外科での治療は、さまざまな対象臓器に対する手術や多様な治療を実施しています。乳腺疾患においては乳房形成術や再建術を取り入れ整容性に優れた手術を心がけています。一般外科、消化器疾患においては低侵襲な鏡視下手術を積極的に行っており、さらにロボット支援下手術の導入を積極的に行っています。術前入院日数・術後在院日数の短縮をめざして外科外来、病棟、患者支援センターと共に努めてまいります。

 呼吸器外科では、主に肺がんや気胸の手術を行っています。肺がん症例では、標準手術とされる肺葉切除術を中心に、早期がんに対する縮小手術、進行がんに対する拡大手術、などあらゆる手術を施行しています。気胸の手術においても当科独自の改良を加え、再発率は1%以下です(全国平均5-10%)。2015年より当院独自の麻酔法を導入し、術後疼痛は劇的に改善し、患者さんからも好評です。

 心臓血管外科では、弁膜症、冠動脈バイパス手術、大動脈瘤手術などを幅広く行っています。近年増加傾向にある大動脈瘤手術は開胸、開腹法に比較してより低侵襲なステントグラフト法を主に選択しています。成績は安定しており、さらに長期合併症を回避するため術式の工夫を行っています。冠動脈バイパス手術は人工心肺を用い確実な吻合を心がけています。僧帽弁逆流症は弁形成を第一選択とし、適応を選んで小切開低侵襲手術を導入しています。また急性大動脈解離症、大動脈瘤破裂、急性心筋梗塞後合併症など緊急手術は常時受け入れ可能な体制を整えています。

 整形外科は四肢の骨折や変形性関節症、変形性脊椎症の手術を主に行っています。高齢者の転倒に伴う骨折の症例が多く、特に大腿骨近位部骨折は寝たきりの原因となるため、準緊急手術として対応しています。それにより早期リハビリテーション介入、転院調整が行えるようになっています。変形性関節症や変形性脊椎症に関しても合併症を伴った症例が多く、他科と連携を密にとりながら安全な手術を心がけています。

 脳神経外科では慢性硬膜下血腫穿頭術が最も多い手術になります。次いで脳動脈瘤手術で開頭術の血管内治療を症例に応じて選択しています。脳動脈瘤手術総数は約40例です。脳腫瘍手術も積極的に行っており、ここ数年は年間10~20例の手術を行っています。

 小児外科の手術は全国的に鼠径ヘルニア根治術が最も多いです。鼠径ヘルニア手術は腹腔鏡での手術と、従来行ってきた鼠径部(足のつけね)を切開して行う手術があり、当院ではどちらにも対応しております。他には停留精巣の手術、さらに、臍ヘルニア(でべそ)、虫垂炎の手術が多くなっています。

 一方で、小児外科では出生後まもない新生児から中学卒業までのお子様に対して、とくに幅広い分野での手術を担当しています。臓器ごとの専門的な知識や技術が必要な疾患の場合は他の診療科の医師と連携をとりながら診断・治療に当たります。また、患児の成長を妨げないような治療計画を立てることが小児外科治療では必要と考えています。

 泌尿器科では、膀胱がん、腎臓がん、前立腺がんの手術を非常に多く行っており、在院日数も全国平均と比べ、大変短くなっています。前立腺がんの手術はほぼ全例で手術支援ロボットを使用しています。また、腎臓がんの手術もほとんどが腹腔鏡、もしくは手術支援ロボットを使用しています。膀胱がんに対する全摘術も多くが手術支援ロボットで行っております。このことにより術後早期に退院可能であり、在院日数は短くなっています。より低侵襲化をこころがけ在院日数の短縮に取り組んでいきたいと考えています。  

 県内唯一の総合周産期センターとして、年間に約100件の母体搬送を受け入れています。 NICUと連携し、妊娠高血圧症候群、切迫早産・前期破水、多胎妊娠、胎児発育不全といったハイリスク症例を中心に年間に約700件の分娩管理を行っています。 県内の双子の赤ちゃんのうち約80%が当院で産まれています。

 婦人科では良性疾患、悪性疾患ともに低侵襲手術を導入しており、入院期間は全国平均より短いことが特徴です。特にロボット(内視鏡手術用支援機器)手術の件数は全国で常に上位で、他県の医療関係者の方々も見学にくる有数の施設であり、安心して低侵襲手術を受けていただける体制になっておりますになっております。

 若い悪性腫瘍の方への、妊孕性を温存した手術も積極的に取り入れております。

 2022年の手術件数は937件で、その中で最も多い症例は白内障です。次いで多いのが、糖尿病網膜症、黄斑円孔、黄斑上膜、網膜剥離などの網膜硝子体疾患対して行う硝子体茎顕微鏡下離断術です。今年から導入した緑内障手術(水晶体再建術併用眼内ドレーン挿入術)は件数が増えてきております。

 炎症を繰りかえす習慣性扁桃炎、IgA腎症などの病巣扁桃、睡眠時無呼吸症候群の原因となっている扁桃肥大に対しての口蓋扁桃摘出術を多く施行しています。また耳下腺や顎下腺などの大唾液腺にできる良性および悪性腫瘍の手術、甲状腺癌の手術を多く行っています。

 救急科は、重症外傷に対する開頭、開胸、開腹手術やカテーテルを用いた血管塞栓術を行っております。重症外傷に対する救命のための手術を行えるのは当科の最大の特色と言えます。また、重篤な呼吸・循環不全の方には経皮的心肺補助法(ECMO)を積極的に導入しており、救命率の向上につなげております。救命された後の呼吸補助のために気管切開術を施行して、長期生存およびADL(日常生活動作)の向上を目指しております。さらにカテーテルによる治療として、発症早期の脳梗塞に対し経カテーテル的脳血栓回収術を脳神経外科と協働で行っております。

7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)

“DIC”

 重症例の治療を行っている当院では、入院後に発症したDICに対して治療を行う場合と、入院時より重症な状態を呈している患者さんの治療の双方に対して、リコモジュリンやアンチトロンビンⅢ製剤を投与した治療を行っています。

“敗血症”

 当院は重症症例が多く、なかには敗血症を発症する症例もあります。必要に応じて治療薬の投与や血液浄化療法等の治療を行います。

“手術・処置等の合併症”

 入院契機病名(入院のきっかけとなった病名)と「同一」の発生率が高く見えますが、入院中に手術・処置の合併症が発生することは少数です。術後の創部感染等の他に、透析患者さんのシャントトラブル(透析を行うために必要なシャントが血栓などで閉塞し使用できなくなる)治療(経皮的シャント拡張術・血栓除去術等)を目的とした再入院等も、この指標に含まれています。

掲載内容に関するお問い合わせ

地方独立行政法人山梨県立中央病院

医事課

電話番号
055-253-7111(代)

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