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平成29年度 病院指標

平成29年度 病院指標

  1. 年齢階級別退院患者数
  2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
  4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
  5. 脳梗塞の患者数等
  6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)
 

医療法における病院等の広告規制について
↑ 【厚生労働省のページ】

  1. 年齢階級別退院患者数

当院の入院患者さんの合計は昨年度とほぼ同じであり、60歳以上の患者さんが65%を占めています。また、当院は厚生労働省の定める総合周産期母子医療センターの指定を県内で唯一受けている医療機関として新生児特定集中治療を行っているため、0~9歳の患者さんの割合が高くなっているのが特徴です。

2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)

肺がん・呼吸器病センターでは、呼吸器外科と協力し、患者さんが安心して治療を受けられるように努めています。肺の悪性腫瘍に対する検査入院として主に気管支鏡検査件数は増加しています。苦痛や不安を軽減するために適切な鎮静を行い、安全に検査を行い、早期の治療導入に努めています。また、手術不能肺がんの化学療法導入や術後補助化学療法導入に伴う入院件数も年々増加しています。肺炎、間質性肺炎に対する急性期の治療や、特発性肺線維症に対する抗線維化薬の導入治療も積極的に行っているほか、呼吸不全診療の充実や抗酸菌感染症診療にも取り組んでいます。

消化器内科で最も多いのは閉塞性黄疸の患者さんです。多くは内視鏡を用いて治療しています。癌の場合はステントという形状記憶合金性のメッシュや樹脂性の筒を挿入し黄疸の軽減を図ります。胆石の場合は鉗子で把持して直接除去しています。次に多いのは肝臓癌の患者さんです。カテーテルを用いた塞栓術やエコーガイド下でのラジオ波焼灼術などで治療しています。早期胃癌の内視鏡的切除も全国一短期間の入院で行っています。出血を伴う胃十二指腸潰瘍患者さんも積極的に受け入れ内視鏡的に止血しています。食道癌に対する治療も早期癌に対する内視鏡的切除から進行癌に対する放射線化学療法まで幅広く行っています。

循環器内科では冠動脈疾患、不整脈、心不全など循環器疾患のすべてに対応しております。冠動脈インターベンション手術は年に約200例施行し、不整脈に対するアブレーション治療も年々増加の一途をたどり、昨年度は203例施行し、本年度は250例をこす勢いです。ペースメーカ挿入はもちろんのこと、治療施設に限りのある植込み型除細動器や両心室ペーシング植込み、リードレスペースメーカ植込みも施行しております。

糖尿病(1型糖尿病・2型糖尿病)、内分泌疾患(甲状腺疾患、副甲状腺疾患、視床下部・下垂体疾患、副腎疾患)、二次性高血圧を中心に診療を行っています。症例数の最も多い2型糖尿病では、教育入院に力を入れ、糖尿病専門医だけではなく、保健指導科の保健師・病棟看護師をはじめ栄養相談科の管理栄養士・検査部の検査技師・薬剤部の薬剤師・リハビリテーション科の理学療法士で構成されたチーム医療で生活習慣の改善指導を積極的に行っています。また糖尿病の合併症の診断と治療は、眼科、腎臓内科、循環器内科、泌尿器科、産科などとの緊密な連携のもと行っています。

腎臓病の原因は多岐にわたり、治療法も異なる為、血液検査、尿検査、超音波検査、腎生検などにより、原因を診断したのちに適切な治療を計画しています。発症初期から透析期まで、腎臓病の全病期を一貫して担当している当科の特徴を活かし、長期的な展望に立った診療を行っています。

当院の血液内科では、急性白血病は入院で、悪性リンパ腫や多発性骨髄腫は外来治療を中心に行い、入院はできるだけ短期間とし、患者さんが日常生活に早く復帰できるよう努めています。血液疾患の治療は薬物療法が中心となりますが、薬物療法で治癒が困難な場合は、造血幹細胞移植に切り替え治癒を目指します。造血幹細胞移植については、血縁、非血縁、臍帯血、自家移植等から最適な移植法を選択し、最適なタイミングでの移植を行います。当院で診断から移植、退院後の体調管理まで一貫して行うことで、患者さんの健康を責任持って管理いたします。

膠原病とは自らの身を守る免疫機能が誤って自己を攻撃してしまう病気であり、長期にわたって免疫を抑える治療が必要になります。発症時、治療経過中の病状悪化時、感染症などの合併症が出現したときなどに入院の必要性が生じます。特に発症時には、身体症状に加えて血液、画像、病理学的検査などを組み合わせて病気を診断確定し、その病状に合わせてステロイドや免疫抑制剤を組み合わせた治療を行いますので入院期間が長くなります。平均在院期間がやや長くなっていますが、今後とも必要な在院期間は十分保ちつつ、しかし可能な限り早く退院できるように一層努力していきたいと思います。なお、関節リウマチ患者さんは外来で加療することが多く、内科的に入院の必要がある例はとても少ないです。

当科は山梨県内唯一の感染症診療のスペシャリストです。総合診療科・感染症科の得意とするところは、感染症診療とその患者さんの退院後の生活を考えることです。80歳近い高齢者が多いため直接の自宅退院が困難な患者さんも少なくありません。当科で診療する疾患の多くは肺炎や急性腎盂腎炎、髄膜炎などの感染症ですが、感染症と紛らわしい膠原病、例えばリウマチ性多発筋痛症や血管炎といった疾病も多く見られます。病気の治療は十分に、しかし病院での入院期間は最小限にとどめ、自宅生活にできるだけ早く帰ることができるように努めていきます。

小児科では、地域の小児科開業医や県内全域の関連病院と連携して二次小児医療を展開しており、総合周産期母子医療センターと連携する中で脳性麻痺や先天奇形などのさまざまな基礎疾患を有するお子さんたちも支援しています。インフルエンザやRSウイルスなどのウイルス感染に起因する呼吸器系疾患や緊急搬送を要する熱性けいれん、専門外来ではてんかんなどの脳・神経系疾患や低身長や糖尿病などの内分泌/代謝性疾患の病児が多くなっています。

地域医療の観点から患者さんに安心していただける緊急手術にも対応していますが、多くの治療対象となる疾患は、消化器や乳腺の悪性腫瘍です。全国平均と比して当院の平均在院日数は短縮されています。今後とも治療が滞りなく行えるように努めてまいります。

呼吸器外科では、肺がんや気胸などの疾患に対して、外科的治療(主に手術)を施行しております。「肺の悪性腫瘍 手術あり」とは肺がんに対して手術を行った患者さんであり、県内最多の症例数です。平均在院日数も全国平均より大幅に短縮しています。気胸に対する手術症例も県内最多です。現在、当科は、国内有数の呼吸器外科high volume center(多数例を手術する施設)であり、術後治療成績(肺がん術後無再発率など)、術後合併症率、術後在院日数とも国内トップレベルの成績です。

心臓血管外科では弁膜症、大動脈瘤手術、虚血性心疾患(狭心症など)の手術をほぼ均等に幅広く行っています。大血管疾患では大動脈瘤手術をはじめ、解離性大動脈の緊急手術もほぼ同数行っており、常時緊急手術を施行可能な体制を整えています。いずれも在院日数は全国平均と同程度かやや短くなっています。

整形外科は四肢の骨折や変形性関節症、変形性脊椎症の手術を主に行っています。高齢者の大腿骨近位部骨折は寝たきりの原因となるため、準緊急手術として対応し速やかにリハビリが行えるようにしています。救命救急センターへ搬送される多発外傷患者・重度四肢外傷患者に対応するため、初療の段階から整形外科医がかかわり、適切なタイミングで治療を行っています。変形性関節症や変形性脊椎症に関しても合併症を伴った症例が多く、他科と連携を密にとりながら安全な手術を心がけています。

脳神経外科では脳卒中、頭蓋内腫瘍、頭部外傷、小児脳神経外科疾患を幅広く診療しています。脳卒中急性期症例が最も多く、手術の有無にかかわらずすべて脳神経外科で対応しています。脳梗塞、約100例、非外傷性頭蓋内血腫、約100例、その他含め約230例の脳卒中入院治療を行っています。先進的な脳梗塞に対する急性期血栓回収術も積極的に行っています。また、脳神経外科診療では一般的な慢性硬膜下血腫の手術治療を行っています。

小児外科は生まれたばかりの赤ちゃんから中学生までのこどもを対象に扱う疾患も肝臓・腎臓・腸などのお腹の臓器、肺・食道などの胸の臓器、首や皮膚の下の腫瘤(しこりやできもの)など多岐にわたる診療科です。臓器ごとの専門的な知識や技術が必要な疾患の場合は他の診療科の医師と連携をとりながら診断・治療に当たります。

皮膚科では蜂窩織炎、丹毒、帯状疱疹などの感染症や皮膚悪性・良性腫瘍、難治性皮膚潰瘍、アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬など皮膚疾患全般につき積極的に治療しています。皮膚科で最も多い入院症例は蜂窩織炎、丹毒などの細菌感染による皮膚の炎症性疾患です。抗菌薬の点滴注射による治療を行っています。また緊急を要する壊死性筋膜炎などでは抗菌薬の点滴注射治療に合わせ、迅速に皮膚切開術やデブドマンなどの外科的手術を行っています。次いで多い入院症例は帯状疱疹でウイルス感染による皮膚の炎症性疾患です。強い痛みを伴うことが多く、顔面に発症した症例では顔面神経麻痺や難聴、視力障害など合併することがあります。抗ウイルス薬の点滴注射や消炎鎮痛剤の内服で治療を行っています。また合併症が疑われる症例については耳鼻科、眼科と連携し治療を行っています。無汗症の患者さんにはステロイドの点滴治療を行っています。

膀胱がんを尿道から内視鏡を入れて削る手術は、どの病院でも多く行われています。当院では手術前日入院、手術翌日退院ですので、在院日数は短くなっています。結石を体外から砕く手術(ESWL)は1泊2日でおこなっています。腎盂・尿管がん(尿路上皮癌)の抗がん剤治療は、点滴が長時間かかる部分のみ入院(3泊4日)で行い、それ以外は通院加療がんセンターで行っています。その他、がん以外の尿路性器疾患も泌尿器科で担当します。

H29年の形成外科の手術件数(レーザー照射も含め)は総数843例、最多は皮膚皮下良性腫瘍(母斑・粉瘤・血管腫など)259例、ほかに眼瞼下垂56例、乳房再建 45例が多いものとして続きます。そのほかにも顔面骨骨折 42例(鼻骨 28例・ 頬骨7例・ 眼窩底 7例)、皮膚悪性腫瘍 22例、熱傷(植皮術)が 22例、口唇口蓋裂 12例、四肢外傷 27例、瘢痕拘縮・ケロイド 43例、耳・瞼その他の先天異常 22例、難治性潰瘍 28例(このうち褥瘡3例)、睫毛内反『さかさまつげ』 6例、四肢先天異常(多指・合指) 6例、顔面軟部組織損傷 19例、レーザー照射26例、と形成外科の疾患をほぼ全般にわたり行っています。

婦人科は子宮、卵巣の良性腫瘍、悪性腫瘍などを対象に傷が小さく、入院期間も短い腹腔鏡を用いた手術に力を入れており、症例数は昨年度より増加してきており、県内一番の件数となっています。悪性腫瘍に対しては遺伝子解析センターと共同で癌の早期発見、予防、治療へつながる研究を行っています。平均在院日数はいずれも全国平均に引けを取らず、昨年より入院期間は短縮しています。

地域医療の基幹病院としてあらゆる眼疾患の診断・治療に対応しています。対象疾患は白内障、緑内障、網膜硝子体疾患(網膜剥離、糖尿病網膜症、網膜色素変性、加齢黄斑変性、網膜前膜、黄斑円孔など)、角膜疾患、ぶどう膜炎、視神経炎、斜視、弱視などです。眼科の入院のほとんどが手術目的となり、2017年の手術件数は約900件でした。その中でもっとも多い症例は白内障で眼科手術の約85%を占めます。しかし白内障手術の入院は包括対象外のデータであるため、上記の表には挙げられていません。白内障以外で多いのが上記疾患であり、緑内障や網膜剥離は失明の危険性がある重篤な疾患であり、治療に力を入れています。

耳鼻咽喉科では耳、鼻、咽頭、喉頭、頸部など耳鼻咽喉科領域すべての疾患に対応し診療しています。頭頸部外科として、炎症性疾患は元より良性腫瘍、悪性腫瘍の系統的治療(化学療法、放射線治療、手術の三者の併用)や副鼻腔炎の鼻内手術を積極的に行っています。また突発性難聴、末梢性顔面神経麻痺などに対する薬物療法の治療実績も豊富です。

救急科は、山梨県唯一である救命救急センターを中心に診療を行っています。当科が担当しているのは、重症外傷や熱傷、急性心筋梗塞、脳卒中、心肺停止、薬物中毒などの重篤な方または緊急性の高い方、複数の診療科にわたる重症な方などです。また、当科はドクターカーやドクターヘリの運用を担っており、病院外へ医師が出向くことによって救命率の向上を目指しています。当科には年間約2,000人前後の方が救急搬送され、その内約1,400人前後の方が入院します。疾患別で搬送が多いのは重症外傷や心肺停止、薬物中毒などです。

3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数

当院のがんに対する治療の目標は、内視鏡治療、外科手術、化学療法、放射線療法といった従来の治療の上にさらにゲノム解析センターと協力してそれぞれの患者さまにより精緻な治療方針を分析、選択施行していくことです。    胃癌・大腸癌:早期がんを中心とした内視鏡治療や腹腔鏡下手術といった低侵襲手術から、進行がんに対する化学療法を併用した手術までを施行しています。消化器がんの治療では、消化器内科、消化器外科、放射線科、病理科、緩和ケアの各専門医、医療スタッフが互いに連携してチーム医療を行っています。                乳癌:乳癌症例は年々増加してきており、山梨県では最も多くの患者さまの治療を行ってきました。乳癌に対する外科手術、化学療法、放射線療法といった総合的な治療を行っています。治療成績も良好です。           肺癌:転移を認めるステージⅣの症例が多い状況ですが、外科手術をはじめ化学療法、放射線療法といった治療を積極的に行っています。                                           肝癌:肝胆膵領域においては、内科、外科の連携により再発症例に対しても根治治療を目指しています。

4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等

重症度は軽症~超重症に分けられており、当院で治療を行う患者さんは中等症の割合が高くなっています。肺炎の患者さんは高齢者が多く、年齢が高くなるほど重症度も高くなる傾向にあり、超重症・重症患者さんの平均年齢は80歳を超えています(高齢者は重症化予防のために肺炎球菌ワクチンの予防接種が推奨されています)。

5. 脳梗塞の患者数等

当院は救命救急センターを備えており、24時間体制で脳梗塞の急性期医療に対応しています。                                              脳梗塞の患者さんは高齢者が多く、当院での入院期間は平均で15日~19日間程度です。急性期病院である当院では、発症から3日以内に入院となる症例がほとんどです。発症から早期に当院での急性期治療を行い、その後はリハビリ病院等へ転院となる患者さんが約半数を占めています。

6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)

1番目に多い手術は主に癌による胆管閉塞に対して内視鏡を用いたステントと呼ばれる形状記憶合金性のメッシュや樹脂性の筒を挿入し胆汁の流れを改善する手術です。2番目は胃十二指腸潰瘍からの出血に対するクリップや高周波電流を使用して行う内視鏡的止血術です。24時間体制で対応しています。3番目は肝臓癌に対する塞栓術です。大腿の血管から癌の近くまでカテーテルを挿入し抗癌剤や塞栓物質を注入し壊死させます。4番目は総胆管結石に対する内視鏡的除去術です。胆汁の出口を高周波電流で切開し結石を取り出します。5番は大腸ポリープに対する内視鏡切除です。多くは日帰りで実施しています。

冠動脈疾患、不整脈、心不全など循環器全般を高度に、万遍なく網羅しているのが当科の特徴です。                      緊急/待機的な冠動脈治療はもちろんのことペースメーカ治療も多くおこなっております。心房中隔穿刺を伴ったカテーテル心筋焼灼は主に心房細動の予防・治療に施行するもので、年々増加傾向にあります。

内シャント設置術は、当科及び心臓血管外科の支援を得て実施しています。                     新規透析導入例のみでなく、血管閉塞例、他院で作成困難例や人工血管移植術についても積極的に行っています。経皮的シャント拡張術・血栓除去術の大多数は、通院で治療を行っています。

当院外科での治療は、さまざまな対象臓器に対する手術や多様な治療を実施しています。特に乳腺疾患においては乳房形成術や再建術を取り入れ整容性に優れた手術を心がけています。一般外科、消化器疾患においてはさらに低侵襲な鏡視下手術の導入を積極的に進めています。また入院後すぐに治療に移れるように術前日数の短縮をめざして外科外来、病棟、患者支援センターと共に努めてまいります。

呼吸器外科では、主に肺がんや気胸の手術を行っています。肺がん症例では、標準手術とされる肺葉切除術を中心に、早期がんに対する縮小手術、進行がんに対する拡大手術、などあらゆる手術を施行しています。気胸の手術においても当科独自の改良を加え、再発率は1%以下です(全国平均5-10%)。手術は胸腔鏡下手術が中心であり、独自の麻酔法の導入により術後疼痛は劇的に改善しました。

当院は山梨県唯一の総合周産期母子医療センターを併設しています。院内で出生した新生児はもちろん、他院・他施設で出生した新生児の救命のために往診搬送も行っており、24時間体制で重症新生児に対して必要な診療がおこなえる体制を敷いています。

心臓血管外科では弁膜症、冠動脈バイパス手術、大動脈瘤手術をほぼ均等に幅広く行っています。大動脈瘤手術は開胸、開腹法とステントグラフト法を症例によって選択して行っています。冠動脈バイパス手術は人工心肺を用いた心拍動下手術を基本術式にしています。緊急手術は常時受け入れ可能な体制を整えています。

高齢者の大腿骨近位部骨折・手関節骨折に対する手術が最も多くなっています。高齢者の大腿骨近位部骨折や救命救急センターへ搬送される多発外傷患者では、可及的早期に手術を行うことが大切とされています。麻酔科および手術スタッフの協力により、適切な時期に手術を行うことができています。それにより、予後の改善・スムーズなリハビリ病院への転院が可能となっています。

脳神経外科では慢性硬膜下血腫穿頭術が最も多い手術になります。次いで脳動脈瘤手術で開頭術を中心に行っています。脳動脈瘤手術総数は約40例です。脳腫瘍手術も積極的に行っており、ここ数年は年間10~20例の手術を行っています。

小児外科の手術は全国的に鼠径ヘルニアが最も多いです。鼠径ヘルニア手術は腹腔鏡での手術と、昔ながらの鼠径部(足のつけね)を切開して行う手術があり、当院ではどちらも行っています。ほかには停留精巣の手術、虫垂炎の手術、臍ヘルニア(でべそ)の手術が多くなっています。とくに、急性虫垂炎の治療には2つの治療方針をとっております。中等度以上の虫垂炎では準緊急的に手術治療を行うことで、最も確実に早期の回復を目指します。一方、軽症の虫垂炎や逆に進行して重症化した場合には抗生剤を用いながら保存的治療を行っています。重症の虫垂炎では炎症が強く手術が難航し術後の合併症も多くなるため、保存的治療で一旦軽快させておき腹部の炎症が消滞する約3ヶ月後を目標に待機的に虫垂切除を行うことを勧めています。                          いずれの手術でも、お子さんの長い将来のことを考えながら治療戦略をたてて診断・治療に携わっています。

当科では、膀胱がん、腎臓がん、前立腺がんの手術を非常に多く行っております。在院日数も全国平均と比べ、大変短くなっています。前立腺がんの手術は全例手術支援ロボットを使用しています。また、腎臓がんの手術もほとんどが腹腔鏡、もしくは手術支援ロボットを使用しています。このことにより術後早期に退院可能であり、在院日数は短くなっています。

眼瞼下垂症手術については、抗血栓薬などを服用している患者や、合併症のある患者については1泊入院で、それ以外の患者については外来通院で行っています。ゲル充填人工乳房を用いた乳房再建術については、6~10日の入院期間になっています。簡単な植皮術なども1週間以内の入院で行っています。小さな皮膚悪性腫瘍切除術や、眼瞼内反症手術などは外来通院で行っています。

若い女性が多く受ける子宮頸部円錐切除術は毎年80例を超える症例を行っています。良性の腹腔鏡下手術はもちろん、当院では先進医療である腹腔鏡を用いた子宮頸癌手術(広汎子宮全摘術)の実施施設として厚生労働省から認可を受けています。また、da Vinci Xiを用いたロボット手術を導入しており、手術をうける女性の選択肢をふやせるよう努力しています。

H29年の手術件数は約900件でした。その中でもっとも多い症例は白内障で眼科手術の約85%を占めます。上記の表は患者数であり、一度の入院で両眼手術の方もいるため、患者数と手術件数は異なる数字になります。次いで多いのが、糖尿病網膜症、網膜剥離、黄斑円孔、黄斑上膜などの網膜硝子体疾患対して行う硝子体茎顕微鏡下離断術です。次いで緑内障手術が多く行われています。

炎症を繰りかえす習慣性扁桃炎、IgA腎症などの病巣扁桃、睡眠時無呼吸症候群の原因となっている扁桃肥大に対しての口蓋扁桃摘出術を多く施行しています。また耳下腺や顎下腺などの大唾液腺にできる良性および悪性腫瘍の手術、甲状腺癌の手術を多く行っています。

救急科は、重症外傷に対する開胸、開腹手術やカテーテルを用いた血管塞栓術を行っています。重症外傷に対する救命のための手術を行えるのは当科の最大の特色と言えます。また、重篤な呼吸・循環不全の方には経皮的心肺補助法を積極的に導入しており、救命率の向上につなげています。救命された後の呼吸補助のために気管切開術を施行して、長期生存およびADL(日常生活動作)の向上を目指しています。

7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)

“敗血症”                                                             当院では救命救急センターにて24時間応需体制にあるため、敗血症や播種性血管内凝固症候群の重症例にも多く対応しています。入院後に敗血症を発症する症例もあり、重症例には治療薬の投与や血液浄化療法等の治療を行っています。

“手術・処置等の合併症”                                                           入院のきっかけとなった病名(入院契機病名)と「同一」の発生率が「異なる」に比べて高くなっており、入院中の手術・処置の合併症の発生率は低くなっています。なお、術後の創部感染等の他、透析患者さんが透析を行うために必要なシャントが血栓などで閉塞し使用できなくなるシャントトラブルが発生した場合は、経皮的シャント拡張術・血栓除去術等を行いますが、このような治療を目的とした再入院等もこの指標に含まれています。

 

掲載内容に関するお問い合わせ

地方独立行政法人山梨県立中央病院

医事課

電話番号
055-253-7111(代)

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