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私、パチンコ中毒から復帰しました! ギャンブル地獄から完璧に抜け出す方法

:本田白寿
出版社
:中央公論新社(中公新書ラクレ)

 パチンコは今から90年くらい前、昭和の時代に庶民の娯楽として登場したものだそうですが、いまや全国にくまなく存在し、その店舗数たるや10000店にものぼるそうです。
 本書は、深刻なパチンコ中毒になり、多額の借金をつくって離婚を経験した会社員男性が、過去を赤裸々に語り、人生最大の敵「パチエゴ」との熾烈な戦いに勝利するまでを語ったサクセスストーリーです。著者の本田さんは、離婚のあと、なぜパチンコが止められないのかを深く考えるうちに、自分の中に巣食う「パチンコをやりたい自分」に負けてしまう瞬間があることに気付きました。本田さんは、本来の自分から見たらまるで悪魔のような「パチンコをやりたい自分」のことを「パチエゴ」と呼び、外在化し、まるでゲームを攻略するかのようにパチエゴに勝つための戦闘方法をしぼり出していきます。
 ギャンブル地獄から抜け出し、本来の自分を再び取り戻すための本田さんの闘いは、実際の経験をもとにしているだけあって圧倒的なものです。パチエゴの弱らせ方には手加減も容赦もありません。この闘いには匿名参加のSNSで同じ悩みをもつ仲間とつながることも大切になるそうです。
 本田さんによると、精神科病院は「ギャンブル中毒」にまるで関心がなく、受診しても「病的賭博」とレッテルを張るだけで回復にはマイナス面があるとしています。わたしは、精神科の病院がギャンブルの問題にどう関わっていけるのかは今後の課題だと感じていますが、絶対にパチンコ中毒から抜け出せるという本田さんの力強いメッセージを、ギャンブルで困っている身近な方々へしっかり伝えて行きたいと思います。

(精神科医局 宮田量治)

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