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ダンナが会社やめたいと言いだしまして

:「会社やめたいダンナ」の妻の会
出版社
:PHP研究所

 「やめダン」とは、会社を辞めて第二の人生をスタートした旦那さん達のこと。本書はやめダンさんをもった奥様たちの9通りの体験談が収録されたコミックです。巻末には専門家によるやめダンさんへの関わり方も収録されています。
 やめダンさんとは、つまるところ、妻の不安や怒りをよそに、自分に合わない仕事や続けたくない仕事を辞めてしまえた人たちのこと。本書に登場する奥さん方は、何の相談もなく仕事を辞めてきたご主人のことを手放しで応援したわけではありませんし、極端な例では1年間、ご主人とまったく口をきかなかった奥さまもいらっしゃいました。夢物語に終わってしまうかもしれない旦那さんの新たな挑戦。そこに悲喜こもごもの反応があったのは当然でしょうが、奥さん方が苦境(安定的な収入がなくなることによる先行き不透明な生活への不安感など)の中にさえ、それまで仕事が忙しくて出来なかった家族そろっての食事など、新たな生き甲斐を見出したことが頼もしいのです。苦しいとき、楽観的であることが大きな力となり、生きる支えにもなることが実感されます。
 『会社やめたい』 もしダンナさんが突然言い出したらあなたならどうしますか? 本書冒頭に投げかけられた問いは、日本の社会で男性が働くことを前提とした質問です。本書には、仕事のストレスから自律神経失調症になったやめダンさんも登場しますが、精神科医としての私が気になるのは、世の中にいらっしゃる調子を崩しても仕事を辞めない真面目な旦那さんたちのことです。無理なときは無理と言ってしまえる勇気のことをそういうときこそ思い出して欲しいのです。

(精神科医局 宮田量治)

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