仕事休んでうつ地獄へ行ってきた
日テレの人気アナウンサーだった丸岡さんは、職業柄か、もともとのキャラなのか分かりませんが、洒落た都心のカフェでコーヒーでも飲みながらお友達と歓談しているような感じで「うつ地獄」へ行ってきた壮絶な体験を語られています。表紙の丸岡さんは、バラ色のワンピースにサンダル、コロコロの付いた白い旅行カバン。まるで海辺のリゾート地へ取材に行くような出で立ちなのですが、訪れた「うつ地獄」とは一体どんな場所だったのでしょう。
発病(2011年8月中旬頃)前の丸岡さんは、タフでなければこなせない大仕事の連続。3月に東日本大震災があり、震災直後から2週間の現地取材など相変わらず激務が続いていました。頭に発疹が出たりしても忙しさのせいだと思って気にしませんでしたが、食欲や睡眠に不調を来たすようになり、知人に紹介された男性とのデートのあと本格的なうつ病を発病しました。
体育会系だった丸岡さんはまさか自分がうつ病になるとは思ってもおらず、実家の徳島に帰っても療養に悲壮感はありませんでした。自分を狙う週刊誌記者のことを警戒したり、精神科医に処方された薬は飲まず「こころの風邪」なら自力で治すとばかりに頑張っていました。ところが病状は次第に悪化。うつ病のどん底を味わうことになります。睡眠や食事がまったく取れず、気力や体力もなくなり、悲観的にしかものごとを考えられない。大好きな家族にも被害妄想を抱くようになりました。精神科の入院治療でようやく回復に転じた丸岡さんは、自分のそれまでの生き方を見直し、日テレをあっさり退職してしまう。人生行路の切り替えの速さには本当にほれぼれとします。
ポジティブで、華やぎのある丸岡さんのような方がうつ病体験を臆せず公表してくれたことがなによりもうつ病回復への力強い応援メッセージになっています。悠々と人生の新たなステージに立たれた丸岡さんの今後が楽しみです。
(精神科医局 宮田量治)