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小児外科

「子供達の明日に繋がる小児外科治療」をモットーに日々診療をしています。

小児は成人のミニチュアではなく、ひとつひとつの臓器の形態や働きも年齢や発達により大きく異なるため、小児外科では、外科の技術に加え小児の発達に対する知識や経験が要求されます。 また、患者さんご本人からの訴えが少なく、容態が急激に変化し易いという特徴もあり、きめ細やかな対応が必要です。

当院では昭和52年より小児外科が独立し、昭和62年に山梨県下で最初の日本小児外科学会認定施設として認定されました。 現在は小児外科学会認定指導医、専門医を含む小児外科専任のチームを構成し、早産児・新生児から中学生まで、疾患によっては成人期までの外科疾患の治療を行っています。

一般外来診療は手術日の火曜・金曜日を除く、月曜・水曜・木曜日の午前中に行っています。午後は手術前の患者さんなど、特殊外来とさせて頂いています。予約優先となっておりますのでご了承ください。 かかりつけ医の紹介状をお持ちいただけると助かります。 緊急の場合は、外来予約の有無にかかわらず対応いたしますので、まずご相談ください。夜間・休日の時間外診療は、必要に応じて対応し安全で専門的な診療を提供できるよう心掛けております。

【当科で扱っている主な疾患】

1. 日常よく見られる疾患
鼠径ヘルニア(脱腸)、停留精巣、包茎、臍ヘルニア、乳児肛門周囲膿瘍、便秘症など

  • 鼠径ヘルニア手術は3歳未満のお子さんは2泊3日、3歳以降は1泊2日のt短期入院で手術を行っています。手術法は鼠径部を切開する手術法(従来法)と、腹腔鏡下の手術法があります。 どちらの手術法でも手術時間は同程度であり、同等の安全性が確かめられています。 腹腔鏡下手術は、従来から行われている手術と比較すると、傷が小さいこと、反対側のヘルニアの観察と治療が同時にできることが利点です。左右片側の鼠径ヘルニアの患児でも反対側の鼠径ヘルニアを持っていることがあります。片側の手術を受けた人たちの10人に1~2人が、 手術後に反対側の鼠径ヘルニアを発症して2回目の手術が必要になっています。 腹腔鏡下手術では手術の際に反対側のヘルニアの有無もモニタ上で確認でき、ヘルニアを認めればその場で同時に手術を行うことができます。 なお、手術法は家族の自由意志で選択することができますのでご相談ください。
  • 停留精巣に対して通常6ヵ月以降に2泊3日の短期入院で全身麻酔による手術を行います。 腹腔内精巣や非常に高位の停留精巣の場合は腹腔鏡を用いたり二期的手術が必要な場合もあります。
  • 臍ヘルニアは生後半年未満の場合、外来で臍圧迫法を行っています。臍圧迫法で治癒に至らなかった患者さんなど、幼児期でも臍の突出が見られる場合には、ご家族に皆さんと相談の上、手術治療の適応を決めています。
  • 乳児肛門周囲膿瘍は外来で排膿処置を行い、ご自宅でのケアをお教えしています。必要に応じて補助療法に漢方薬も取り入れています。

2. 新生児の外科疾患
鎖肛、腸閉鎖症、腸回転異常症、食道閉鎖症、横隔膜ヘルニア、臍帯ヘルニア、腹壁破裂など

  • 当院は山梨県内唯一の総合周産期母子医療センターです。院内・院外で出生した外科手術を要する赤ちゃんに対してNICUで新生児専門医とともに治療を行います。 出生前に診断された外科疾患の場合、出生前に新生児科・産科の医師とともにご説明したうえで安心して出産し出生後の治療を受けていただけるような環境作りを目標としています。

3. 消化器疾患
急性虫垂炎、便秘症、肥厚性幽門狭窄症、胃食道逆流症、ヒルシュスプルング病、など

  • 腹痛で受診された患者さんは、必要に応じ小児科医師と一緒に診察いたします。急性虫垂炎は、来院後にすぐに手術治療を行う場合と、軽症の場合は抗菌薬を用いながら治療をする場合、虫垂が破れてしまい膿をつくり投薬で症状をおさえてから数ヶ月後に腹腔鏡手術を行う場合に分かれます。
  • 排便障害(便秘)で受診されるお子さんが増えています。 X線造影検査や消化管運動機能検査を行い、ヒルシュスプルング病であれば手術療法に移行します。 慢性便秘症や種々の肛門病変の場合は、投薬や浣腸、坐薬を使用し円滑な排便コントロールができることを目指します。
  • 嘔吐をきたす肥厚性幽門狭窄症は超音波検査で診断し投薬療法か手術療法を行います。 胃食道逆流症はX線造影検査で診断し、必要に応じて内視鏡や機能検査を追加します。 生活指導と服薬を行うことで改善する患者さんが大部分です。 重症の胃食道逆流症には手術を行います。 経口摂取が難しい患者さんは胃瘻をおくこともあります。

4. 肝臓・胆道・膵臓疾患

  • 胆道拡張症、胆道閉鎖症などの患者さんは手術を行った後も、長期にわたるフォローを行っています。

5. 泌尿器・生殖器疾患
水腎症(腎盂尿管移行部狭窄症、膀胱尿管移行部狭窄症)、膀胱尿管逆流症など

  • 専門的な外科的手術を要するお子様に関しては、小児泌尿器科医と連携を行いながら診療しています。

6. 二分脊椎症(膀胱直腸障害)

  • 出生前に診断された際には、脳神経外科医・産科医・新生児内科と連携した診療を行います。退院後は外来通院を通してお子様の成長・発達に合わせた対応を行います。

7. 腫瘍(良性・悪性)
リンパ管腫、血管腫、神経芽腫、ウィルムス腫瘍、肝芽腫、卵巣腫瘍、悪性リンパ腫など

  • 悪性腫瘍に関しては、小児科と連携して治療および治療施設を選択していきます。

その他、小児外科が担当する疾患について日本小児外科学会ホームページにも詳細な記載があります。こちらもご参照ください。
http://www.jsps.or.jp/disease-to-treat

【手術について】
定時手術: 小児外科指導医・専門医が行っております。
緊急手術: 麻酔科の協力のもと、時間外でも緊急手術に対応できる体制を整えています。

【鏡視下手術:腹腔鏡および胸腔鏡下手術】
鼠径ヘルニア、食道裂孔ヘルニア、虫垂炎、腹腔内睾丸、腫瘍、など
当科でも積極的に取り組んでいます。開腹手術では患者さんに負担をきたさぬようなるべく小さい創部で行うように心がけていますが、腹腔内の観察が十分に行えない場合には腹腔鏡を用いることで腹腔内の深部まで観察できる利点があります。

【麻酔について】
基本的に全例、全身麻酔で手術を行うため、麻酔科医師との協力が不可欠です。
専門の麻酔科医師が担当します。
手術前に、麻酔科医師からご家族の方に麻酔についての説明があります。

【短期入院治療の流れ】
短期手術で治療する疾患の場合、手術日前日の午前中に小児病棟へ入院します。麻酔科による手術前診察があります。手術当日(入院翌日)朝から順次手術を行います。手術後、小児病棟へ戻ります。夕食から食事がとれます。
鼠径ヘルニア根治術をお受けになった3歳以上の患者さんは、術後の症状が安定していれば手術日に退院が可能です。それ以外の疾患で手術をお受けになった患者さんは手術日翌日の退院となります。

スタッフ紹介

患者支援センター統括副部長・小児外科部長
大矢知 昇  Oyachi, Noboru
お子さんの成長・発達を援助できる外科治療をめざします。

山梨医科大学 平成8年卒
日本小児外科学会専門医・指導医・評議員
日本周産期・新生児医学会認定外科医
日本小児泌尿器科学会認定医
日本外科学会専門医・指導医
医学博士

 

小児外科医師
沼野 史典  Numano, Fuminori
お子様とご家族の笑顔に貢献できるように頑張ります。

山梨大学 平成24年卒
日本小児外科学会専門医
日本外科学会専門医

 

 

診療実績

  • 診療実績(令和3年)について
    入院総数: 213 例
    手術総数: 173 例(うち新生児手術 16 例)
  • 新生児症例の主な疾患と症例数
    食道閉鎖症 1 食道裂孔ヘルニア 1 鎖肛 2 総排泄腔遺残 1
    消化管穿孔 1 腸回転異常症 2 臍帯ヘルニア 1
    ヒルシュ・スプルング病類縁疾患 1 ヒルシュ・スプルング病 1
    他、動脈管開存 5、など(動脈管閉鎖術は山梨大学小児心臓血管外科医師と行っています)
    当院には県内唯一の総合周産期母子医療センターがあります。上記のほかの新生児外科手術も手広く行っております。
  • 乳幼児以降の小児症例の主な疾患と症例数
    鼠径ヘルニア 73 停留精巣(萎縮精巣含む)17
    臍ヘルニア  6 虫垂炎 14 精巣捻転 4
    他、肺切除術 3、膀胱尿管手術 2 など
    腹部手術以外にも多領域での小児外科手術を行っています。

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