循環器チームは、6名の常勤専門医と4名の専攻医にて、急性期治療から亜急性期治療を中心に、365日24時間体制で、最高の医療を提供しています。
虚血性心臓病、不整脈、心不全、高血圧、心臓弁膜症、心筋症、先天性疾患、 末梢血管病(両下肢等)を診療対象としています。循環器センターとして、循環器内科と心臓血管外科が密接な連携をとりチーム医療を行っています。年間で900-1000人の入院患者、平均在院日数 8.1日で、70%以上の院内パス運用率で、入院期間短縮に努めています。病診連携を重視し、多くの紹介患者、逆紹介にて当科は支えられています。標準的医療から先進医療情報の提供も含め、up to dateな治療を行う activityの高い診療科です。
日本循環器学会認定専門医研修施設、日本核医学認定専門医教育病院、
日本不整脈学会認定不整脈専門医研修施設、日本心血管インターベンション研修施設群
日本超音波医学会認定専門医研修施設
医師/出身大学 | 資格・所属学会等 |
---|---|
副院長 臨床試験管理センター統括部長 中 村 政 彦 なかむら まさひこ 新潟大学 医学博士(不整脈研究) |
循環器画像診断、虚血、不整脈、心不全、高血圧、肺高血圧、ファブリー病の診断治療、臨床薬理 日本内科学会認定総合内科専門医、指導医 |
循環器センター統括部長 梅 谷 健 うめたに けん 山梨医科大学 |
循環器一般、不整脈非薬物治療(アブレーション 等) |
循環器内科部長 佐 野 圭 太 さの けいた 山梨医科大学 |
不整脈非薬物治療(アブレーション、デバイス等)、心血管インターベンション治療 |
主任医長 生理検査科部長 牧 野 有 高 まきの ありたか 山梨大学 |
循環器一般、心血管インターベンション治療 |
医長 入退院センター部長 矢 野 利 明 やの としあき 山梨大学 |
循環器一般、不整脈治療 |
医長 臨床研修センター副部長 清 水 琢 也 しみず たくや 山梨大学 |
循環器一般、心血管インターベンション治療 |
専攻医 市川 優真 |
循環器一般 |
専攻医 渥美 真生子 |
循環器一般 |
専攻医 鮎沢 晶 |
循環器一般 |
小児循環器病センター長 星 合 美 奈 子 ほしあい みなこ 山梨医科大学 |
小児循環器疾患全般、川崎病治療・後遺症、移行期医療、成人先天性心疾患 |
2015年 | 2016年 | 2017年 | 2018年 | 2019年 |
2020年 |
2021年 |
|
---|---|---|---|---|---|---|---|
冠動脈造影検査 | 495 | 417 | 429 | 420 | 411 |
362 |
342 |
冠動脈PCI | 200 | 177 | 204 | 227 | 207 |
223 |
203 |
緊急冠動脈造影 |
82 |
84 |
111 |
111 | 97 | 97 |
67 |
アブレーション | 91 | 139 | 203 | 300 | 314 |
296 |
309 |
内 心房細動 | 54 | 65 | 135 | 209 | 234 |
243 |
246 |
Pacemaker(新規) | 57 | 54 | 68 | 66 | 58 |
54 |
54 |
植え込み型除細動器 | 12 | 13 | 18 | 22 | 13 |
17 |
10 |
(内両心室pacing機能付) | 4 | 6 | 8 | 14 | 4 |
7 |
2 |
末梢血管ステント | 16 | 15 | 26 | 18 | 25 |
20 |
21 |
表1:冠動脈ステント治療は昨年に続き200例以上、アブレーション治療は300例前後で推移している。
2017年 | 2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | |
循環器内科入院患者(人) | 914 | 1009 | 1018 | 948 | 977 |
循環器内科死亡患者 | 25 | 23 | 26 | 21 | 27 |
表2:毎年1,000人前後の入院患者
図1:虚血性心疾患に対する冠動脈形成術(ステント治療)は2017年以降、年間200例以上で推移している。不整脈に対するアブレーション治療も2018年以降年間 300例前後で推移している。
図2:冠動脈治療:緊急冠動脈治療の比率が2019年以降低下してきている。
アブレーション治療:心房細動に対するアブレーション治療が2018年以降7割以上で推移している。
虚血性心臓病:
冠動脈形成術は年間200例以上の症例数で推移しています。主に薬剤溶出ステントを使用し、症例に応じて薬剤バルーンを使用し、ステント再狭窄率は3%以下になっています。冠動脈の石灰化病変に対するローブレータ治療も行っています。昨年の冠動脈治療203例中、緊急冠動脈治療は33%でした。24時間体制で虚血性心疾患の治療を行うために、緊急の症例に対する、もう1室の心臓カテーテル室を増築予定です。
冠動脈治療の適応を厳密に判断するために、心筋シンチ、冠動脈血流予備能評価(PFR, FFR)を行っています。カテーテル治療と同時に、最新の大規模臨床研究でも重視されている厳格な薬物療法(脂質異常・糖尿病・高血圧・抗血小板薬の増量・減量)、生活習慣の改善も積極的に行っています。コロナ感染症時代においても症例が減ることなく、地域での急性期循環器診療を維持できているのは、救命救急部、心カテ室(ope室看護師)、ME,放射線技師とのチーム体制がしっかりと構築されているためです。チームスタッフには感謝し、こんな状況でも”患者のために、早く、きれいに治す“を合言葉に奮闘しています。
不整脈治療:
カテーテルアブレーション治療を中心に、pacemaker, 植え込み型除細動器(ICD)、両室pacemaker(CRT) 治療を行っています。アブレーション治療件数は300例前後の症例数で推移しており、多くの紹介患者を受けています。中でも心房細動に対するカテーテルアブレーション治療は70%以上を占め、より安全で、短時間の治療を目指し、cryo-ablation (冷凍凝固焼灼)症例も増加してきました。
デバイス関連では、リードレスペースメーカー植え込み治療も順調に症例数が増加しています。昨年から、レーザーシースによるペースメーカーリード抜去も開始しました。リード抜去に関しては、外部講師の指導の下、症例を増やしていきたいと考えております。
図3:2021年のカテーテルアブレーション治療の対象疾患の内訳。
心不全:
高齢化、循環器治療の進歩による救命率の向上に伴い、心不全患者は増加しています。確実な薬物療法の徹底、両室ペーシングなどの非薬物治療、心房細動合併心不全に対するカテーテルアブレーション治療、在宅酸素治療などの治療法を組み合わせて最適な治療を積極的に行っています。心房細動に対するablation 治療が心不全治療に有用であることを学会にて発表しています。
増加する高齢者の心不全患者を確実に短期間で治療し、早期に外来、かかりつけ医と連携できるように看護チーム、医療連携室と連携を取りながら治療、早期転院リハビリ、在宅支援を行っています。心不全治療薬の全国治験にも参加しています。
2021年9月より、心不全リハビリ施設認定取得し、院内心臓リハビリを開始しました。毎週の多職種カンファレンス(医師、看護師、リハビリスタッフ)にて、より早期の社会復帰を目指した治療を行っています。
循環器画像診断:
超音波・核医学指導医が画像診断で,各種心疾患の診断や心機能,治療法を評価し,侵襲的なカテーテル検査や不要な手術を減らすことができます。診断・治療効果判定や心臓超音波、核医学、CT融合画像等に関する検討も各学会の総会等で有用性を発表しています。
末梢血管/動脈硬化:
骨盤内の血管はじめ、大腿部の狭くなった血管へのステントやバルーンによる治療、最近では薬剤バルーンも使って血行再建を行っています。心臓血管外科、形成外科とも連携して、それぞれの特性を生かしたハイブリット治療を行っています。
研修医教育:
毎年1年目、2年目の初期臨床研修医を受け入れ、実臨床を通して、急性期、慢性期の循環器疾患の重要性を教育しています。診察、clinical chart記載、返書、診療情報作成をルーチン業務として行ってもらっています。心臓カテーテル検査、アブレーション、緊急カテーテル治療にも参加し、様々な経験をしています。2021年度の院内学術発表会では循環器内科部門で1名の2年目研修医の研究発表、3名の1年目研修医の症例発表がありました。
学会発表:
論文:
Constrictive pericarditis following atrial fibrillation catheter ablation with cardiac tamponade. Kohki Fukasawa , Ken Umetani , Toshiaki Yano , Keita Sano. HeartRhythm Case Report. 2021
【スタッフ紹介】
星合美奈子 小児循環器病センター長、感染対策室統括部長(平成2年卒)
【科の特色】
当センターは2017年4月に開設され、先天性心疾患、川崎病後、不整脈や心筋症などの小児循環器疾患診療を行なっています。乳児健診や学校検診の二次精査や心原性が疑われる胸痛や失神などの症状精査にも迅速に対応できるよう小児科外来で随時診察しています。
また循環器内科外来で成人先天性心疾患(ACHD)診療を行っており、増加し続けるACHD症例の多様な問題に各科・各部署の協力を得て対応しています。
当院は日本小児循環器学会の小児循環器専門医修練施設でもあり、当院での研修期間は同専門医取得に必要な修練期間として認定されます。現在、日本小児循環器学会専門医2名、修練医1名が在籍しています。
【診療実績・活動報告】
1)乳幼児検診、学校心臓検診等の二次精査
心雑音や心電図異常のため要精検となった乳幼児、児童生徒の精査、治療、経過観察を行っています。特に小学生以上では、学校生活管理票に基づき適正な管理指導を行っています。
2)先天性心疾患、不整脈、川崎病
上記疾患の診断、内科的治療、経過観察を行い、外科治療は当院心臓血管外科をはじめ山梨大学や近県の専門施設と連携しています。ペースメーカーやICD、カテーテルアブレーションが必要な不整脈疾患は、当院循環器内科と連携して診療にあたっています。また、産科、新生児内科とともに、胎児心疾患の診断、周産期・出生後の管理治療を行なっています。2021年1月から12月に、当院NICUで管理された先天性心疾患症例は19例でした。
2017年4月-2021年12月 診療実績 (日本小児循環器学会・年次報告より)
2017年4月-2021年12月 初診症例登録数 (日本小児循環器学会・年次報告より)
4)移行期・成人先天性心疾患症例
循環器病センターとして移行期や成人の主に先天性心疾患診療に取り組んでいます。残存合併症の評価や治療、妊娠・出産等への対応が必要な症例は急速に増加しており、症例に応じて多領域の医師、看護師など各専門スタッフが連携して診療にあたっています。
2022年3月現在、当外来フォロー中の症例数は合計92名に達しました。最近、特に心疾患合併妊娠・出産症例が増加しており、今後、当センターの役割も更に大きくなると考えられます。
循環器内科 成人移行外来 症例構成(2022年3月現在)
青:先天性心疾患 63
赤:不整脈 14
緑:心筋症 8
紫:Marfan症候群 7
合計 92名;
男性:女性 39:53 初診時年齢; 15歳〜71歳
当外来での妊娠・出産管理症例 (2017年4月-2022年3月)
総計;10例 (TOF 2,CoA 1,CoA+VSD 1,LCAPA 1,ASD 2,VSD 1,cardiomyopathy 2)
胎児合併症:1 例、新生児合併症:2 例、母体合併症:4例
【英文論文】
Hirose S, Murayama T, Tetsuo N, Hoshiai M, Kise H, Yoshinaga M, Aoki H, Fukuyama M, Wuriyanghai Y, Wada Y, Kato K, Makiyama T, Kimura T, Sakurai T, Horie M, Kurebayashi N, Ohno S : Loss-of-function mutations in cardiac ryanodine receptor channel cause various types of arrhythmias including long QT syndrome. Europace 2022; 24: 497-510.
Katsumata N, Harama D, Toda T, Sunaga Y, Yoshizawa M, Kono Y, Hasebe Y, Koizumi K, Hoshiai M, Saito T, Hokibara S, Kobayashi K, Goto M, Sano T, Tsuruta M, Nakamura M, Mizorogi S, Ohta M, Mochizuki M, Sato H, Yokomichi H, Inukai T : Prevention Measures for COVID-19 and Changes in Kawasaki Disease Incidence. J Epidemiol 2021; 31: 573-580.
【邦文論文】
星合美奈子 重症川崎病の特徴 川崎病学改訂第2版 日本川崎病学会編集 診断と治療社出版 2021年12月6日発行p105-107.(著書)
【学会・研究発表】
星合美奈子、内藤敦、勝又庸行、長谷部洋平、須波玲、内田雄三、中島雅人、梅谷健 当院における心疾患合併妊娠・出産の現状と課題―地方中核病院からの提言― 第57回日本小児循環器学会学術集会・シンポジウム 奈良県コンベンションセンター・WEB開催 奈良市(2021/7/10)
勝又庸行、加賀佳美、星合美奈子、中村幸介、須長祐人、吉沢雅史、河野洋介、長谷部洋平、犬飼岳史、戸田孝子 ガンマグロブリン不応川崎病に対するインフリキシマブの神経学的中長期予後 第57回日本小児循環器学会学術集会 奈良県コンベンションセンター・WEB開催 奈良市(2021/7/10)
勝又庸行、星合美奈子 川崎病冠動脈障害の遠隔期管理 バスキュラーボード 山梨県立中央病院 甲府市(2021/11/15)
藤原弘之、吉沢雅史、須長祐人、河野洋介、長谷部洋平、原間大輔、星合美奈子、犬飼岳史、戸田孝子 嗄声を契機に診断された特発性肺動脈性肺高血圧症(iPAH)の1例
第124回日本小児科学会学術集会 国立京都国際会館・WEB開催 京都市(2021/4/21)
【その他(座長・講演会・司会・報道等)】
座長 星合美奈子 研修医発表・小児 第47回山梨総合医学会 山梨県医師会館、山梨(2022/3/14)