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内科(消化器)

 2009年の小俣理事長赴任を機に消化器内科は望月を中心とした肝胆膵グループと小嶋を中心とした消化管グループに分け、各分野の充実を図っている。2021年は10名で診療している。

スタッフ紹介

消化器内科部長
廣瀬 純穂
ひろせ すみお
(平成19年卒)

胆道、膵臓領域の内視鏡治療
・日本内科学会(認定内科医)
・日本消化器内視鏡学会(指導医・専門医)
・日本消化器病学会(専門医)
・日本癌治療認定医機構(がん治療認定医)
・日本内科学会JMECCインストラクター
・日本救急医学会ICLSインストラクター
小俣政男 山梨県立病院機構理事長
小 俣 政 男
おまた まさお
東京大学名誉教授
元東大消化器内科教授
(昭和45年卒)
消化器内科学・肝臓病学
40年間、米国・千葉大・東大消化器内科で臨床・教育・研究に従事、数多くの俊英を世に送り出す
望月仁

ゲノム解析センター統括副部長
望 月  仁
もちづき ひとし

(昭和55年卒)

肝癌、胆道癌、膵癌、胆石の集約的治療
小嶋裕一郎 副院長
小 嶋 裕一郎
こじま ゆういちろう

(昭和58年卒)

食道、胃、大腸癌の内視鏡治療、炎症性腸疾患
・日本消化器内視鏡学会(評議員・指導医・専門医)
・日本消化器病学会(指導医・専門医)
・日本内科学会(認定内科医)
細田健司 消化器病センター長
通院加療がんセンター部長
細 田 健 司
ほそだ けんじ
(平成5年卒)

胃、食道、胃、大腸癌の内視鏡治療
・日本消化器病内視鏡学会(指導医・専門医)
・日本消化器病学会(指導医・専門医)
・日本内科学会(認定内科医)

鈴木洋司 非常勤医師
鈴 木 洋 司
すずき ようじ

(昭和62年卒)

胃、大腸癌の内視鏡治療

内視鏡科部長
浅 川 幸 子
あさかわ ゆきこ

(平成16年卒)

食道・胃・大腸癌の内視鏡治療
・日本内科学会(総合内科専門医)
・日本消化器内視鏡学会(指導医・専門医)
・日本消化器病学会(専門医)
・日本肝臓病学会(専門医)
・日本癌治療認定医機構(がん治療認定医)
・日本消化管学会(胃腸科専門医)
・日本医師会(認定産業医)
天野博之 専攻医
天 野 博 之
あまの ひろゆき

(平成28年卒)

 

専攻医
中 島 京 子
なかじま きょうこ
(平成30年卒)

 

専攻医
安 部 晃 規
あべ あきのり
(平成31年卒)

 

診療実績

診療体系の活性化のため、当科を肝胆膵(望月)と消化管(小嶋, 鈴木, 細田 )の2本立てに明確化した。紹介患者も積極的に受け入れ2017年は2238人を診療した。紹介患者も積極的に受け入れ2018年より2,554人を診療した。

2010年より毎週水曜日に病棟カンファレンスを新たに創設し、小俣理事長を中心に院内各部門(看護部、緩和ケア科、ゲノムセンター、医事課、病棟薬剤師、病棟DC)合同で電子カルテを用いたV & V( virtual & visual ) roundを行っている。

消化器内科は予定、緊急を合わせて週平均27人の患者を受け入れ、年1年間では1,394人の入院患者を診療した。平均在院日数は9.8日であった。上部消化管粘膜下層剥離術(ESD)パスは全国最短の4日間とするなど担当医、スタッフの努力により入院期間の短縮化を図り病院のスローガンである「早くきれいに治す」を実践している。

入院患者の内訳は悪性疾患と良性疾患がほぼ半々で推移しているが近年は悪性疾患、特に切除不可能な進行癌の割合が増加している。 消化器内科が扱う悪性疾患は食道癌、胃癌、大腸癌、肝臓癌、膵癌など多岐に渡るが、根治不可能であっても最後まで決してあきらめずに1日でも長くいい時間を過ごしていただけるよう全力を尽くすことを信条としている。また、問題となる心身の痛みに関しては緩和ケアスタッフとも綿密に連携している。

 内視鏡件数の推移 (図1)

 

過去17年間の内視鏡件数を(図1)に示した。最近の10年間総件数はほぼ6000-7000件前後で著変はないが、大腸内視鏡件数は3000件前後と全内視鏡検査における大腸内視鏡検査の割合が高いのが当科の特徴である。またポリープ切除術(粘膜切除術、ポリペクトミー)は2018年1年間で612件実施している。大腸内視鏡、特にポリープ切除術は穿孔、出血などのリスクが高いため一般の診療所や小規模の病院では敬遠する傾向にある。一方で検診受診率の向上や健康志向の高まりにより検査及びポリープ切除の需要は増加している。我々はこのような需要に応えているものと自負している。

 内視鏡的粘膜下層剥離術件数の推移 (図2)

 

近年内視鏡の早期癌に対する診断、治療の進歩は目覚ましく早期発見、早期治療が主流となっている。その根幹となっているのが内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)である。件数の推移を図2に示した。2002年に初めて実施して以来、2007年まで順調に件数を増やしている。2008年以降は年間120-140件程度を推移し県内でもトップクラスの治療実績を保っているが、特に当院は比較的難易度の高い大腸癌症例の多いのが特徴である。また、2015年度より麻酔科の協力が得られるようになったため、2016年は全身麻酔下での実施が推奨されている食道癌症例が飛躍的に増加した。今後は難易度の高い食道癌、大腸癌症例を増加させるべく近隣の病院、診療所とも連携を強化していきたいと考えている。
マンパワーの絶対的な不足により近隣の病院が二次救急を縮小するなか、消化管出血などの緊急内視鏡検査における当科の役割は大きく県内の救命救急医療に重要な役割を果たしている。2018年1年間で上部緊急止血術107件(クリッピング、静脈瘤結紮術など)、下部緊急止血術88件を実施している。

炎症性腸疾患

2018年末時点で潰瘍性大腸炎約420名、クローン病患者は約110名が通院しており、山梨県内の炎症性腸疾患患者の約70%を占めている。難治症例の紹介も多く実質的に山梨県の炎症性腸疾患センターの役割をはたしている。ステロイド抵抗性の難治症例には抗TNF-α抗体、免疫調節剤、更には最近使用可能になったβインテグリン阻害薬などを積極的に導入し、患者さんの1日でも早い日常生活への復帰を目指している。

消化管ステント

悪性消化管狭窄に対して我々は、積極的に内視鏡下でステントを留置している。2018年には32例施行した。内訳は食道が9例, 十二指腸4例、大腸が14例であり、緊急性の高い大腸癌による大腸イレウス症例が多いのが特徴である。

肝細胞癌

この分野の権威である帝京大学小尾俊太郎教授を招聘し外来診療の大部分を担っていただいている。ラジオ波治療波は2009年より開始した。正確で且つ苦痛の少ない治療を目標とし、2011年には186例に施行。治療数で全国ランキング15位になったが、2018年は17例であった。 腹部血管造影における肝動脈塞栓術( TACE )件数を( 図3 )に示した。今後も肝癌治療はTACEとRFAが主な治療法である。

 腹部血管造影動脈塞栓術 (図3)

 

 ERCP件数の推移 (図4)

 

ERCP関連手技はここ数年やや減少傾向であるが年間100-200件実施している(図4)。特に胆管癌による悪性狭窄に対する胆管ステント数が2014年度は総胆管結石に対する採石数を凌駕したことは特筆に値する。又、胆管癌や膵癌の閉塞性黄疸に対しての内視鏡的緊急ドレナージを加えると、採石総数をはるかに上回る傾向にある。ステントの中には治療手技に熟練を要するダブルステントも含まれている。近年夜間、休日時間外の胆嚢ドレナージも漸増しており、2014年より緊急時は積極的にPTGBAを導入し2018年は36例実施した。抗凝固薬や抗血小板薬を服用している合併症の多い超高齢者や出血しやすい患者などに比較的安全に急性期を乗り切れる手技と考えられ、当科原井が論文化し現在投稿中である。長年利用されてきた急性胆嚢炎のガイドラインに一石を投じ得る画期的な報告と考えられる。

超音波内視鏡

2018年4月から超音波内視鏡のスペシャリストである大山が着任したことに伴い2018年1年間で105件、FNAも32件実施した。既存のCT、MRCPでは発見困難な1cm以下の微小膵癌も2例発見し、いずれの症例も根治手術を実施した。

進行癌に対する化学療法

いわゆる手遅れ癌と呼ばれる進行癌に対しても積極的に化学療法を実施し、治療は可能な限り外来で実施し患者さんの負担を軽減すべく努力している。各種癌に対し分子標的薬などの比較的新しい抗がん剤も積極的に導入し予後の改善を目指している。2017年に胃癌に対し認可された免疫チェックポイント阻害薬(ICI)も積極的に使用し2018年1年間で計8名の患者に使用している。

治験,臨床試験への参加

治験臨床試験にも積極的に参加している。 過去に実施したC型肝炎に対するソバルディ、ハーボニーの治験成績はほぼ100%に近くウィルスを駆除できている。炎症性腸疾患に対する臨床試験も現在進行中である。

若手消化器医師の育成

当科の若手医師は、山梨大学第一内科からのローテーションが主であり本年までに17名の若い医師たちが当院で研修を行った。若干の例外はあるものの3年間のローテーション期間中に基本の上下内視鏡、ERCPだけではなく、ESD、採石術、消化管ステント留置、血管造影など消化器内科医に必須な手技を習得し大学へ戻っている。現在、当院で研修した若い医師たちが大学病院や山梨県の医療の中核を担っていることは我々にとってもこの上ない喜びである。また、芦澤、三浦、天野が論文を執筆すべく小俣理事長主宰の「寺子屋」で研鑚を積んでいる。

今後の目標

常に世界のトップを意識したうえで、技術の向上及び学会活動、臨床研究に励み、山梨県の枠にとらわれず日本を代表する病院となるべく研鑽を積んでいきたいと考えている。

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