身体に生じた組織の異常や変形、欠損、あるいは整容的な不満足に対して、あらゆる手法や特殊な技術を駆使し、機能のみならず形態的にもより正常に、より美しくすることによって、みなさまの生活の質 “Quality of Life” の向上に貢献する、外科系の専門領域です。
日々の外来で『形成外科って整形外科とどう違うんですか?』『紹介されたんですが、何を見てくれるんですか?』というやり取りを患者さんと交わすことがあります。
形成外科は専門とする臓器もなければ疾患も多種多様ですので、同じ医療者から見てもイメージを持ちにくい診療科だといわれたことがあります。
言葉では『機能だけでなく形態を重視する』といってもなかなか伝わりにくいので、最近では症例写真をお見せしながらなるべく分かりやすいインフォームドコンセント(≒手術説明同意書)を心掛けています。
無事に手術を終えた方が笑顔で『形成外科を受診してよかったです』というお声をいただけることが形成外科医としての励みとなっています。
当科は山梨県内の地域医療を担う一方で、高度救命救急センターを擁する基幹病院の側面から、以下の通り幅広い疾患を対象に診療を行っております。
なお、美容外科の手術は、原則として行っておりません。
形成外科全般にわたり治療していますが、治療前に患者さんと十分に話し合い、手術の必要性や方法、副作用や合 併症について患者さんに理解と納得を得た上で手術を行うというインフォームド・コンセントに基づいた治療を行っています。 他科と密接に連携しながら、より高度な治療を行い、患者の整容的改善を目指すとともに社会復帰を促しています。
こども病院のない山梨県において、当院の形成外科はこれまでも長らく小児先天性外表異常に対する診断・治療機能を担っておりました。
しかしながら、小児形成外科領域では『症状のない外見だけの問題なので治療対象ではない』と誤解されてしまう疾患も多くあります。
「治せるものか分からない」「どこで観てもらえば分からない」という県民の皆様の声にお応えすべく、こどもの形成外科外来を立ち上げました。
以下の疾患に対して手術・矯正・レーザーなどを使って治療しています。
〈対象疾患〉
こどもの形成外科外来は水曜AMに初診枠を設けています。
ヤケドや関節部分のケガ等が目立つ、あるいは症状の有無にかかわらず“キズアト”で悩んでおられる患者様は少なくありません。
また、内視鏡手術やロボット手術の普及により大きな手術跡をもつ患者様は少なくなってきましたが、“キズアト”がなくなったわけではありません。
「キズ・キズアト専門外来」では傷・傷跡の正しいケア方法の指導から、症状や受傷時期に応じた適切な治療までの一連の診療を専門に行うを開設し、治療を行ってまいります。
「キズを早く治したい」「キズアトが目立つ」「キズアトがひきつれる、痛い」という方は受診をご検討ください。
〈対象疾患と治療法〉
キズを早くきれいに治すためのケアをご指導させていただきます。
また、ケロイド・肥厚性瘢痕に対して以下の治療を行っています。
口唇口蓋裂は新生児から思春期に至り成人してからも治療が必要となることのある疾患です。
成長と発達に合わせた適切な医療介入をすべく長期フォローしてまいります。
大規模な外科手術ののちに上肢・下肢の重度なむくみをきたす方がいます。
それはリンパ浮腫と呼ばれる状態で、リンパ管の閉塞・断裂が原因かもしれません。
発症早期であるほど治療効果は高くなりますので、『手術の後で腕(足)が重苦しくなった』と感じるようになった方は受診をおすすめいたします。
主治医の外科先生に一度ご相談されてから診療情報提供書を持参いただけますとスムーズです。
木曜日の午後に初診・再診枠を設けています。
形成外科は臓器に特化しない分、さまざまな疾患に対応可能です。
切断指の再接合
足趾移植による手指の再建
遊離神経血管柄付筋肉移植による顔面・四肢の 機能的再建
遊離血管柄付骨移植による骨欠損の再建
遊離(筋)皮弁移植による皮膚軟部組織欠損の再建
遊離空腸移植による食道再建
四肢のリンパ浮腫に 対するリンパ管再静脈吻合
新しい技術を積極的に取り入れて治療を行っています。