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どうして造血幹細胞移植で白血病やリンパ腫が治るの?

白血病や悪性リンパ腫などの悪性腫瘍は抗がん剤を大量に使えば治癒することがありますが、通常の化学療法 では正常の骨髄も破壊してしまう副作用があるため抗がん剤を一定の量より増やすことはできません。造血幹細胞移植では通常の5~10倍程度の抗がん剤投与 や致死的な放射線照射を全身に行い強力に悪性腫瘍をたたきます。そのとき正常骨髄も回復不能なまでに破壊されてしまいますが、新しい骨髄の素(造血幹細 胞)を補ってやることで骨髄は回復することができます。大量の抗がん剤投与や放射線治療を行い通常の化学療法より強力な治療が可能となり治癒へと導くこと ができます。

さらに同種造血幹細胞移植の場合、GVL効果という独特の作用が見られます。ドナーさんからもらった血液 の細胞は患者さんの体を他人と認識し攻撃します。このとき患者さんの正常な体の部分(皮膚や肝臓、肺、腸など)を攻撃してしまう状態をGVHD(後述)と いいますが患者さんの病気の細胞(白血病細胞やリンパ腫細胞)を攻撃する作用をGVL効果といいます。GVL効果は長期にわたってもとの病気の再発を抑え る有効な作用と考えられています。

GVHD(移植片対宿主病)とは

同種造血幹細胞移植(前述)を受けた場合見られる合併症です。皆さんは心臓移植や腎臓移植などで「拒絶反 応」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。「拒絶反応」とは患者さんの免疫力によりもらった心臓や腎臓に対し拒絶する反応です。人の体は自分の体 の一部でないものは攻撃し体の外へ排除しようとする免疫の働きがもともと備わっています。臓器移植を行う場合この反応を抑えるために免疫抑制剤というお薬 を使います。造血幹細胞移植の場合は患者さんの免疫力は大量の抗がん剤や全身放射線照射により非常に弱っています。そのため他人の造血幹細胞を移植されて もほとんど拒絶反応は起きません。しかし、健常人の造血幹細胞を移植すると同時にその人のリンパ球(免疫力を担当)も患者さんの体に入り込み患者さんの体 を他人と認識し攻撃をします。この移植したリンパ球が患者さんの体を攻撃する現象をGVHDといいます。「拒絶反応」と「GVHD」は攻撃する側と攻撃さ れる側が逆の関係にあります。

GVHDの治療には拒絶反応と同じ免疫抑制剤を使います。症状は様々ですが移植後100日以内に起こる急 性GVHDと100日以降に起こる慢性GVHDがあり下痢、黄疸、皮膚炎、呼吸不全、口内炎など様々な症状が見られます。重症になるとかなり厄介になり移 植後の死亡の原因となることもあります。しかし、GVHDがある程度見られたほうがもとの病気の再発も少ないといわれており、適度なGVHDは逆に好まし いといわれています。

GVHDとGVTの関係
急性GVHD2 急性GVHD3

急性GVHD

急性GVHDは、白血球が増えてくるday10~14頃からday100頃まで

皮膚、肝臓、腸管が標的臓器

急性GVHD1
慢性GVHD1 慢性GVHD2
慢性GVHDによる口内炎
慢性GVHDの標的臓器:目(眼球乾燥、角膜糜爛)、口腔(口内炎、う歯、口腔乾燥)、肺(間質性肺炎)、肝、皮膚(色素沈着、皮膚乾燥)、消化管(下痢、食欲不振)

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