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Q&A

Q1 腎生検とはどういう検査ですか?
A1  腎臓の組織の一部を取り出し、様々な角度から顕微鏡で観察する精密検査です。 当科では、7 日間の腎生検入院とし、病室で超音波ガイド下の針生検を行っています。 患者さんにうつ伏せになって頂き、超音波で腎臓の位置を確認します。 局部麻酔を行った後、腎臓に針(鉛筆の芯ほどの太さ)を刺して腎組織を採取します(腎臓に針が刺さるのは一瞬)。 検査時間は準備を含めて30~60分程です。 検査後は仰向けになり、24時間はベッド上安静が必要となります。 検査の結果は、病理標本の完成を待って、数週間後にお話ししています。

腎生検
腎生検(暗い部屋で超音波装置の画面を確認しながら実施します)

Q2 IgA腎症についてもう少し教えてください。
A2  腎臓の糸球体に免疫グロブリンのIgAという蛋白が沈着している慢性の糸球体腎炎です。 慢性糸球体腎炎の中では一番多い病気で、10代から40代の人が発症し易い傾向があります。 明らかな原因は不明ですが、病気の成り立ちにIgAが何らかの形で関与していることは間違いありません。 学校検尿および職域検尿で主に血尿で発見される場合が多く、初期は無症状です。 診断には腎臓の組織を顕微鏡で調べる検査(腎生検)が必要です。 従来は腎機能が低下しにくい経過良好な腎炎と考えられていましたが、最近の調査で、20年後には4割近くの人が重い腎不全に移行することがわかり、より積極的な治療が望まれるようになりました。

 治療は薬物療法、食事療法と運動制限を行います。 薬物療法は通常は抗血小板薬を使いますが、病気の活動性の高い人には副腎皮質ステロイドを使います。 高血圧の人には降圧薬を積極的に使い血圧の管理を行います。 腎機能の低下した人は食事療法(減塩、蛋白制限)と運動制限が必要です。 過激な運動や過労を避ける必要があります。 上気道感染を繰り返す人については扁桃腺摘出術を施行しています。 近年、扁桃腺摘出術と副腎皮質ステロイ大量衝撃療法を組み合わせた積極的な治療が、IgA腎症の活動性を強力に抑え込むことが出来るのではないかという報告があり、現在腎臓学会を中心に検証が進んでいます。

 IgA腎症を悪化させる原因としては高血圧、蛋白尿、感染症などがあり、例え自覚症状がなくても定期的な受診が必要です。

蛍光抗体法
蛍光抗体法(IgAの沈着が観察されます)
光学顕微鏡
光学顕微鏡(糸球体内の増殖性病変)
Q3 食事療法について教えてください。
A3  血清クレアチニンという検査数値がわずかでも上がり始めたら、腎機能の低下(腎不全)が始まっていると考えます。 透析療法を必要とするような進行した腎不全になる前の、早期腎不全の時期から、腎不全の進行を遅らせるための食事療法を始めることが推奨されています。

 食事療法の基本は、蛋白制限・塩分制限、およびエネルギー確保です。 一言で言うと簡単ですが、この、相反する要求を実現するのはかなり難しいことです。 まずは、かかりつけの先生に相談し、自分の病状に適した食事療法を行う必要があります。 そして、管理栄養士の指導を受け、特殊栄養食品を取り入れ、調理の工夫を重ねながら、目標を達成していきます。

 なお、当院では、年に3回、腎臓病教室を開催していますので、お気軽にご参加ください。 また、本格的に食事療法を勉強していただくために、10日間(月曜日~翌週水曜日)の 「慢性腎不全教育クリニカルパス入院」を実施しています。

食事療法と腎不全の悪化速度の関係

Q4 透析療法について教えてください。
A4  透析療法は、大きく2つに分けられます。血液透析(HD)とCAPD(持続携行式腹膜透析)です。 日本では、血液透析が90%以上を占めています。 血液透析は、間欠的に血液を体外循環させて老廃物を取り除く治療で、標準で1回4時間・週3回、透析施設に通院して行います。 CAPDは、持続的に腹腔内に透析液を貯留させて老廃物をしみ出させる治療で、標準で1回30分・1日4回、自宅で透析液を入れ替えます。

 CAPDの立場から血液透析と比較してみると、CAPDの利点は、①治療に要する合計時間がやや少ないこと、②眠前・起床時などプライベートの時間帯に 治療を済ませることができること、③体の中の状態を短時間に変動させないで済むこと、④食事の制限がゆるめであることが挙げられます。 反対に、CAPDの欠点は、①平均3~4年に1回の頻度で腹膜炎を発症しその治療のために短期入院が必要となること、②次第に腹膜の透析能力が劣化するこ と、③CAPDが長期に及ぶと腹膜が硬化して腸閉塞を起こす危険性が高まることが挙げられます。 血液透析は「他力本願」、CAPDは「自力本願」ともいえます。  CAPD療法にはそれなりの良さがあるのですが、5年以上は続けない方が良いというのが現在の考え方です。 言い換えると、CAPD療法から開始して血液透析に移行するという「橋渡し療法としてのCAPD」という捉え方もできます。 当院では、血液透析・CAPDのどちらにも対応しており、十分な説明を行った後に患者さんご自身に治療法を選択して頂いています。 (透析の医療費については次項をご覧ください。)

腎不全が進行した場合の治療
血液透析
CAPD
Q5 透析療法にはどれくらいのお金がかかるのですか?
A5  透析療法の医療費は、血液透析・CAPDともに、1ヶ月当り約40~50万円ですが、7割は健康保険から支払われ、残り3割のほとんどは特定疾病制度により支払われます。 外来透析の患者さんの透析療法に関わる自己負担額は最高で月20,000円です。詳細は、当院患者支援センターにお尋ねください。

 

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