上記のようなことにお悩みの方は“陥没乳頭”かもしれません。
女性の約20%は生まれた時に陥没乳頭の状態であるといわれています(=先天性陥没乳頭)。
陥没乳頭は、思春期以降に成長と共に自然軽快することもあります。
授乳するまで無症状であることも多いため、陥没乳頭により母乳育児がうまくいかなかった方が多いようです。
何らかの症状があったり授乳困難のある場合は保険診療で手術を行うことがあります。
最近では整容上の理由で矯正を希望される方も増えていますが、その場合は自費診療となります。
先天性の陥没乳頭は乳腺(母乳をつくる組織)と、乳管(母乳が通る管)の成長発達の不均衡によって生じるとされています。
線維状の索状物が短縮して乳頭を下方へ引っ張ることでも起こります。
このような先天性の陥没乳頭は、手術による矯正で乳頭を引っ張り出すことができます。
先天性の病因とは別に、乳房のたるみ、打撲による脂肪壊死、乳腺炎、乳がんなどでも先天性陥没乳頭と同様の症状を認めることがあります。
もともと陥没乳頭ではない方が、特に原因もなく乳頭が陥没してきた場合は、乳腺外科受診や乳がん検診をおすすめいたします。
マンモグラフィや超音波などにより、乳がんや乳房パジェット病、乳管内乳頭腫、乳管腺腫などを鑑別することが可能となります。
乳頭刺激でも先端が出ない中等度以上の陥没乳頭に対して外科的治療を提供しています。
指でつまみ出せるような軽度の陥没乳頭は市販の吸引機でも治療効果が見込めることもあります。
形成外科を受診されましたら、まずは陥没乳頭の程度を判断し保存療法を含めた治療法をご提案いたします。
後天性の陥没乳頭の場合は、前述のとおり乳がんの可能性もあるため乳腺外科を紹介させていただきます。
術式は個々の乳頭の状態によって変わりますが、原則として授乳機能を温存した陥没乳頭手術(酒井Ⅰ法)を第一選択としています。
術後の痛みは軽度ですが、1~2週間は再陥凹の予防のためのガーゼ保護処置が必要となります。
陥没乳頭に対する保険手術は以下の患者様に限定していますのでご注意ください。
そのほかの症例に対しては自費診療のため当院ではおこなっておりません。
陥没乳頭のご相談自体は保険診療で可能ですので、乳頭の形が気になる方は外来担当医にご相談ください。