漏斗胸のほとんどは健康診断などで見た目から指摘されることが多いです。
診断を受けたら形成外科や小児科を紹介されるかもしれません。
手術は形成外科で行うことが多いかと思います。
施設によっては呼吸器外科・一般外科でも施行していることがあります。
胸の中央部分がへこんでしまう病気です。
ときに左右差のある変形も認めることがあります。
約1000人に1人程度の割合で起こるといわれています。
からだの成長に伴ってひどくなってくることもあります。
原因ははっきりわかっていませんが、肋軟骨の成長が他より早く成長するために漏斗胸になると考えられています。
症状はない場合もありますが、人によっては「体育などで疲れやすい」「体重が増えにくい」「風邪を引きやすい」などを自覚される場合もあります。
身体的な特徴の違いを他人と比較してコンプレックスに感じたりする場合もあります。
漏斗胸による胸のくぼみの程度には個人差があります。
心電図の異常を指摘されることがありますが、心臓の機能に影響があることは稀です。
漏斗胸の変形は3歳くらいまでにはっきりしてきます。
5-7歳に行うと変形の再発が少ないという報告があります。
思春期以降でも漏斗胸手術は可能ですが、変形の再発のリスクがあります。
一度外来でご相談していただけますとより詳しく説明できると思います。
以前は「胸骨挙上法」や「胸骨翻転法」など軟骨と骨を切断して固定しなおす手術が行われていました。
この手術は何時間もの手術時間がかかり、胸部正中に大きな縦のキズアトを伸します。
最近では胸腔内からバーを挿入して上に持ち上げる「Nuss法」を施行する施設が増えてきました。
当院でも「Nuss法」を第一選択に行っています。
左右の側胸部の皮膚を1-2㎝程度切開して、チタン製のバーを胸腔内に挿入します。
内視鏡を入れながら直視下に行うことで手術の安全性を高めています。
手術時間は全身麻酔で2時間程度です。
痛みが軽減し歩けるようになる1-2週間で退院できます。
約3ヵ月程度で痛みがなくあんれば運動も再開可能です。
挿入したバーは2-4年後に抜去しますが、挿入されている期間は格闘技・接触するようなスポーツは避けていただきます。
大きな吸盤で胸を持ち上げる方法「バキュームベル」があります。
軟骨が柔らかい子供では効果があるといわれていますが、有効性を示す論文はまだ多くはありません。
また、自費診療となるため当院では施行しておりません。