【科の特色】
整形外科は、2020年4月より医師11名(日本整形外科学会専門医7名)の体制で、整形外科のほぼ全分野に対応しています。2020年4月からは、骨・軟部腫瘍の専門医も常勤となり、原発性骨・軟部腫瘍および転移性骨腫瘍にも対応可能となりました。
また、当院には3次救急を担う救急救命センターがあるため、外傷患者の受診が多く、年間入院患者数の約62%、手術件数の約60%を外傷症例が占めています。これらの症例の多くは重症例や多発外傷例であり、緊急手術にも数多く対応しています。
加えて、高齢化に伴い変性疾患の手術症例も増加傾向にあります。
外来診療では、一般外来に加え、スポーツ外来、リウマチ専門外来、運動器腫瘍外来を設置しており、再診患者については原則予約診療を行っています。
認定学会名(施設認定) | 日本整形外科学会施設認定 日本リウマチ学会施設認定 |
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主な診療対象疾患 |
各種外傷,変形性関節症,関節リウマチ,脊椎疾患,スポーツ外傷・障害,末梢神経障害,運動器腫瘍(骨軟部腫瘍、転移性骨腫瘍)、先天性疾患,その他 |
提供できる検査内容 | 単純 X 線検査,CT 検査( 3次元 CT 含む),MRI 検査,RI 検査,関節造影検査,脊髄造影検査,神経根造影検査, 椎間板造影検査,骨塩定量検査,超音波検査、運動器腫瘍生検 等 |
最新状況は外来診療担当表でご確認ください。
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | |
初診・予約外再診 |
千野 |
交代制 | 岩瀬 江口 東 |
佐久間 |
定月 伴野 |
予約再診 | 佐久間 | 定月 | 千野 | 岩瀬 | |
スポーツ外来 | 定月(午後) | ||||
リウマチ外来 | 佐久間 (午後) | ||||
運動器腫瘍外来 | 赤池(第2,4週午前) | 赤池(午後) |
令和6 年1月から令和6年12月までの手術件数は1,195件(図1)で、うち定期手術は593件と、いずれも過去最多となりました。緊急手術(受診当日に手術を要した症例)は162件で、前年と大きな変化はありませんでした。
定期手術枠に収まりきらない症例や、緊急・準緊急手術が増加していますが、麻酔科医・手術室スタッフの協力のもと、可能な限り時間内に手術を実施し、安全な手術の遂行に努めています。
人工関節置換術については、膝関節47件、股関節81件と、いずれも増加傾向にあります(図2)。
脊椎手術は162件(外傷65件、変性疾患91件、感染4件、腫瘍2件)であり、特に変性疾患に対する手術が増加しています。高齢者に対する脊椎手術では、多椎間固定や椎体操作を伴う高侵襲手術が必要となるケースも多く、他科と連携しながら全身管理にも十分留意して実施しています。
【骨折リエゾンチーム活動】
大腿骨近位部骨折患者に対し、二次骨折予防のための骨折リエゾンサービス(FLS:Fracture Liaison Service)チームを立ち上げました。多職種(医師、薬剤師、病棟・外来看護師、理学療法士、放射線技師、栄養士、医師事務、医療ソーシャルワーカー)協働により入院中の骨粗鬆症治療の取り組みと治療、退院後の二次骨折予防継続に対する効果が期待されます。
【経皮的椎体形成術(VBS:Vertebral Body Stent)の開始】
骨粗鬆症性椎体骨折(OVF)の約 36%に進行性の椎体圧潰を来たし、約 14%で偽関節に至ると報告されています。その結果、腰背部痛遺残、椎体骨折後の脊柱後弯変形、神経障害などを来す症例も少なくありません。近年の高齢化に伴い急増している胸腰椎椎体圧迫骨折に対する 低侵襲な手術加療として、経皮的椎体形成術の需要が高まっています。骨折椎体を風船で一旦膨らませた後に、ステントで空隙を内側から補強し、骨セメントを注入する手技です。臨床成績は良好です。
ステントを入れてからセメントを入れる
【専門外来】
<リウマチ外来>佐久間先生担当
毎週月曜日と木曜日に専門外来を行っている。現在、薬物療法で通院している患者は150名程度、それ以外に他院や院内のリウマチ膠原病内科から手術目的に紹介される患者がいる。2024年度のリウマチ膠原病関連の手術は、人工股関節置換術7例、人工膝関節置換術7例、上肢の手術3例、足趾の手術2例、骨折10例、脊椎2例となっており、整形外科の強みを生かして、薬物療法と外科的治療のタイミングを計りながら診療に取り組んでいる。
<スポーツ外来>定月先生担当
スポーツ外来は一般外来とともに主に水曜日の午後に行っている。2024年のスポーツ外来の総受診者数は1013名で、近年のスポーツの普及とともに新規患者数は増加傾向にある。2011年からサッカーJリーグヴァンフォーレ甲府のチームドクターとして活動し2024年も継続している。
2019年から導入した再生医療の多血小板血漿(PRP)療法は、主にスポーツ選手の早期競技復帰や痛みの早期改善を目的に治療を行っている。2024年のPRP療法症例数は約200例で、これまでにのべ約600例以上の治療を行った。治療を行ったほとんどの症例でその効果を確認し(痛みの改善や組織の修復)、感染症や有害事象の発生はこれまで1例も認めていない。これからも引き続き、あらゆるスポーツ外傷や障害などに対応していく予定である。
<運動器腫瘍外来>赤池先生担当
令和2年4月より、運動器(骨、軟部組織)に発生する全ての腫瘍を対象とする外来を開設した(原発性骨軟部腫瘍、転移性骨腫瘍)。隔週(第2・4)火曜日午前、毎週木曜日午後に外来を行っている。令和6年1月-12月までの間、院内・外より良性骨軟部腫瘍・腫瘍類似疾患95例、原発性悪性(中間型含む)骨軟部腫瘍16例、転移性骨・軟部腫瘍88例の紹介があり、各症例数は昨年よりも増加した。また、令和6年の骨軟部腫瘍手術件数は56例(生検を含む)であった。
医師名 | 専門分野 大学卒年 |
資格・所属学会等 |
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副院長 千 野 孔 三 ちの こうぞう |
脊椎外科 一般整形外科 |
日本整形外科学会専門医 |
(昭和61年卒) | ||
救急業務統括部長 岩 瀬 弘 明 いわせ ひろあき |
外傷整形外科 スポーツ整形外科 |
日本整形外科学会専門医 |
(平成7年卒) | ||
リハビリテーション統括部長 佐久間 陸 友 さくま みちとも |
リウマチ 関節外科 |
日本整形外科学会専門医 日本リウマチ学会評議員・指導医・専門医 中部リウマチ学会理事・評議員 日本リウマチ財団登録医 日本整形外傷学会 |
(平成7年卒) | ||
災害対策センター部長 江口 英人 えぐち ひでと |
脊椎外科 外傷整形外科 一般整形外科 |
日本整形外科学会専門医 |
(平成18年卒) | ||
リハビリテーション科部長 定 月 亮 さだつき りょう |
スポーツ整形外科 一般整形外科 |
医学博士 |
(平成20年卒) | ||
整形外科副部長 赤池 慶祐 あかいけ けいすけ |
骨・軟部腫瘍 転移性骨腫瘍 一般整形外科 |
医学博士 |
(平成22年卒) | ||
専攻医 小林 慎二郎 こばやし しんじろう |
一般整形外科 | 日本整形外科学会 緩和ケア研修会終了 日本ラグビーフットボール協会セーフティアシスタント講習会終了 |
(令和2年卒) | ||
専攻医 東 浩輔 あずま こうすけ |
一般整形外科 | 日本整形外科学会 緩和ケア講習会終了 |
(令和2年卒) | ||
専攻医 伴野 太亮 ばんの だいすけ |
一般整形外科 |
日本整形外科学会 |
(令和3年卒) | ||
専攻医 弦間 崇 げんま たかし |
一般整形外科 |
日本整形外科学会 |
(令和3年卒) | ||
専攻医 |
一般整形外科 |
日本整形外科学会 |
(令和3年卒) |