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検体検査科

ここでは患者さんの血液や尿、喀痰、便といった体の中を流れているものや体から排泄されたものを用いて、様々な検査を行っています。 こういった検査をすることにより、そのときどきの体の状態を知ることができます。 血液などの検体を使った検査で、体の状態をつかむことはできますが、それで病気の全てがわかるわけではありません。 お一人お一人の病気については、主治医の先生にお問い合わせください。

それでは、血液や尿を用いてどのような検査が行われ、それによってどのようなことがわかるのか、中央病院の検体検査科はどのような仕事をしているのか、といったことについて紹介したいと思います。

採血管には検査の種類により、様々なものがあります。 採取された血液は、検査の目的により、適正な容器に入れられます。

血液を遠心分離すると、血清成分(黄色い部分)と血球成分に分かれます。 おもに、血清成分を用いて、様々な検査が行われますが、血液を遠心分離しないで、そのまま行う検査もあります。 また血液が凝固しないようにして遠心分離した検体(血漿成分)で検査するものもあります。

中央採液室で採取した検体(血液、尿など)は2階の検査室へ運ばれ、直ちに検査が行われます。 特殊な検査については外部の大きな検査センターへ検査を依頼します。

ここでは、各検査室が行っている検査について、簡単に説明します。

生化学・血清検査

ここには大型の自動分析器が5種類9台あり、生化学・血清検査の項目を測定しています。 検体は、遠心分離後の血清を用いることが多く、他にも血漿・尿・髄液など様々です。 これらの検体は、搬送ラインから自動的に各分析器へ運ばれ、検査が実施されます。 生化学検査では、検体の成分を調べることにより、患者さんの病態を間接的に調べることができます。

[生化学・血清検査室で行っている検査項目]
蛋白質 総蛋白質、アルブミン、CRPなど
非蛋白窒素 BUN、クレアチニン、尿酸、ビリルビン、アンモニア
酵素活性 LDH、AST(GOT)、ALT(GPT)、γGTP、AMY、ALP、CK、CK-MB、リパーゼ
電解質・無機質 Na、K、Cl、Ca、Mg、無機リン、血清鉄、浸透圧
脂質 総コレステロール、中性脂肪、HDLコレステロール、LDLコレステロール
内分泌 甲状腺ホルモン、遊離サイロキシン、遊離トリヨードサイロニン
腫瘍マーカー αフェトプロテイン、CEA、PSA、CA19-9、CA125、CA15-3、SCC
血液ガス分析
血中薬物濃度 ジゴキシン、テオフィリン、バルプロ酸、アセトアミノフェンなど
自己抗体 リウマチ因子、抗DNA抗体、抗サイログロブリン抗体など
感染症検査 梅毒検査、B型肝炎ウィルス抗原・抗体検査、C型肝炎ウィルス抗体検査、ヒト免疫不全ウィルス(HIV)抗体、成人 T 細胞白血病ウィルス I 型抗体

主な検査項目の当院参考基準値は、別表をご覧ください。

新生児マススクリーニング検査

新生児の先天性代謝異常症や内分泌系の病気の中には、早期に発見して治療を開始すれば障害の予防や軽減が期待できる病気があります。このような病気に対して、 生後5日目頃の新生児を対象に希望者全員の検査が行われており、新生児マス・スクリーニング事業として昭和52年から開始されています。 従来は6種類の病気を検査対象としていましたが、近年では新しい検査法であるタンデムマス・スクリーニングといいます。 当検査部では、平成26年度より山梨県の委託を受け、タンデムマス・スクリーニング検査を実施しています。

血液検査

体の中を流れる血液中の白血球や血小板の数を調べたり、貧血の状態を調べたりします。 また、血液が固まりやすいかどうか、についても検査します。
 大型の分析器は、血球計数器2台と凝固・線溶検査に使用するもの2台です。

[血液検査で行っている検査]
血球計数 白血球数、赤血球数、ヘモグロビン濃度、血小板数、MCV、MCH、MCHC、網赤血球など
血液像 血液中の白血球分類、赤血球・白血球・血小板の形態観察
凝固・線溶検査 プロトロンビン時間、活性部分トロンボプラスチン時間、フィブリノゲン、FDP、Dダイマー、アンチトロンビン、プラスミノゲン、アンチプラスミン、トロンビンアンチトロンビン複合体、プラスミンアンチプラスミン複合体
骨髄像検査 血液細胞を造るもととなっている骨髄の状態を見る検査(骨髄液標本作製後、染色し、細胞分類と形態観察を行ないます)
細胞表面マーカー検査 Tリンパ球・Bリンパ球比率、CD4/CD8リンパ球、CD34定量
特殊染色 主に白血病の病型分類のために行う特殊な染色(アルカリフォスファターゼ染色、ペルオキシダーゼ染色、エステラーゼ染色など)
溶血検査 赤血球抵抗試験、砂糖水試験
赤血球沈降速度 主に炎症性疾患の指標に用いられる検査
鼻汁好酸球 花粉症の検査のひとつ(鼻水中の好酸球を顕微鏡で観察します)

一般検査

おもに、尿の成分(蛋白質、糖など)の定性分析と尿中の細胞成分の分析を行います。 そのほか、妊娠反応や便検査なども行います。

尿一般定性検査 尿中の蛋白や糖などの有無を試験紙で検査します。(蛋白、糖、ウロビリノーゲン、ビリルビン、潜血、比重など)
尿沈渣 尿中の細胞成分(白血球・赤血球・上皮細胞・円柱など)を分類します。腎臓や膀胱などの状態をみることができます。
便潜血検査 便の中に血液が混じっているかどうかの検査。ヘモグロビンとトランスフェリンを測定します。
便塗抹検査 主に寄生虫や寄生虫の卵の有無を調べます。
髄液検査 髄液中の成分検査
穿刺液検査 腹水や胸水、関節液などの成分検査
妊娠反応 妊娠の有無を調べます。
羊水検査 羊水中の成分検査

微生物検査

発熱・咳・のどの痛みなどの炎症症状がみられる時や、皮膚や傷口に膿(うみ)がある時などに微生物に感染しているか調べる検査です。 喀痰・尿・便・膿・血液・腹水・胸水・咽頭ぬぐい液など様々な検体を検査しています。

【培養検査】

「微生物」は大きく分けて、細菌・ウイルス・真菌があります。肉眼では見えないほど小さいので、 細菌・真菌は検体にいるかどうかを顕微鏡で観察します。
  微生物が発育するのに必要な栄養が入っている寒天で作られた培地で菌を育てると、菌の集落ができるので、 その集落から菌の種類を同定します。また、その菌がどんな抗生物質に効くのかも検査しています。

【抗原迅速検査】

微生物に感染したと疑われたときに、ウイルスや細菌が持つ「抗原」が検体にあるか調べる検査です。 抗原があればウイルスや細菌に感染しているということになり、15分程度の時間で検査結果がわかります。
  当院では、インフルエンザ、RSウイルス、hMPVウイルス、アデノウイルス、ノロウイルス、ロタウイルス、 A群溶連菌、肺炎球菌、レジオネラ、O-157、C.Difficile毒素、クラミジアの検査を実施しています。

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