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がんゲノム医療

いよいよ始まる「がんゲノム医療」

① はじめに

 先日「がん遺伝子パネル検査」が保険収載されたというニュースがありました。
 いままでのがん治療をさらに精緻に行う「がんゲノム医療」の中心となるもので、多くの患者の希望が叶えられるようになってきました。
 しかし、良く分からないということで折角のチャンスを失ってしまってはいけません。「がんゲノム医療の」あらましと当院での取り組みを御紹介致します。

② 山梨県立中央病院の取り組み

 将来のゲノム医療を見据えて、2013年にゲノム解析センターを開設し、臨床に直結したゲノム研究を開始(詳細は病院HP)、その後、より現実の治療に反映させるためゲノム診療部を設立し大きな成果を上げてきています。
 また、2018年から先進医療として東京大学と連携し「東大オンコパネル(がん遺伝子パネル検査)」の活用を行ってきています。

③ ゲノムとは

 ヒトは細胞からできており、それぞれの細胞の中にはヒトを作り動かすための設計図が組み込まれています。細かく見ていくと最後はA,T,G,C4種類のみの組み合わせになります。この組み合わせ(並び)をゲノムと言います。
 ヒトは30憶個のA,T,G,Cの情報から作られ、生活しています。
 この並びの中で特定の働きを担っているグループがおよそ2万4千か所知られておりこれを遺伝子と呼んでいます。

 

④ ゲノムとがんの関係

 ゲノムの情報が何かの原因(たばこ、紫外線、突然変異等)で書き換えられてしまう(=変異)とこの遺伝子の働きが強くなったり弱くなったりしてしまいます。
 ヒトは働きを(増えるのを)進める遺伝子と抑える遺伝子のバランスが整った状態で暮らしていますが、このどちらかの働きがゲノムの変異で強くなったり、抑える働きが弱くなったりすると、コントロールできずに勝手に増えてしまうことになり、がんになってしまいます。

⑤ ゲノムとがん治療

 従来は肺、胃、卵巣などの臓器ごとに別々の抗がん剤を用いて治療を行っていました。一定の効果はあるもののがん細胞と健康細胞のわずかな差をねらっての(殺細胞性)治療であるため健康細胞にも多くの障害を起こしていました。
 ゲノム情報に基づいた治療は変異を持っている腫瘍だけに効果があり、変異を持っていない健康細胞には影響が極めて少ないことが考えられます。また、がんの種類は違っても同じ変異を持っているがんは癌の種類を問わず効果のあることが予想されます。

⑥ がん遺伝子パネル検査

 上で述べた内容の「がん遺伝子パネル検査」が2019年に保険収載され、当院でもFoundationOne® CDxとOncoGuide™NCCオンコパネルシステム2種類の「がん遺伝子パネル検査」が実施可能となっています。
 具体的内容の概略をお伝えいたします。
 対象となる方は標準治療がない固形がん(希少がん)、標準治療が終了あるいは終了が見込まれる固形がんとされています。
 また、過去に手術ないしは生検で腫瘍組織を十分量採取保管されているものを検体として用いますので、これらについては主治医と御相談下さい。
  国内で行う全検査・臨床データは国立がん研究センター内にあるがん「ゲノム情報センター(C-CAT)」に集められ、更に「がんゲノム医療中核拠点病院(当院においては東京大学)」 においてエキスパートパネルと呼ばれる専門家委員会(当院スタッフも参加)にて討議され、変異に基づく治療薬剤の有無などのレポートが作成され、当 院主治医より御説明させて頂きます。

⑦ 検査後の治療薬選択

 国内先進医療や国外臨床結果によると、何らかのがん化に関係すると思われる変異は60%前後の方で検出されており、変異に基づいた治療が15%程度で行われ、臨床試験・治験の対象となった方は5%前後とされています。
 本検査により治療の対象となる方は多くはありませんが、現在新薬の開発は全世界で進んでおりまた、患者申出療養制度の改善も検討されています。がん治療は急速に進んでいるためがんゲノム情報を知ることは極めて重要であると考えています。

⑧ 費用

 検査費用はトータル56万円です。
【内訳】
 検体提出時:44万円のうち保険に応じた額
 結果説明時:残り12万円のうち保険に応じた額 をご負担いただきます。
(これは検査のみの金額ですので、その他受診等に関わる費用が生じます)
 また、保険診療ですので高額医療費制度がご利用いただきます。

⑨ 問い合わせ

 各診療科担当医
 がん相談支援センター
 代表電話 055-253-7111

パンフレット・動画

がんゲノム情報管理センター

山梨県立中央病院は
がんゲノム医療を推進しています。

(第2版 文責 ゲノム解析センター長・消化器内科 望月仁)

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