当院は、県内唯一の三次救急施設であり、手術室業務には24時間365日いつでも対応しています。また、高度な知識と技術を必要とする医療機器の操作や管理を行い、安全で安心な医療の提供を心掛けています。2016年の手術支援ロボットの導入をきっかけに手術室での業務は拡大傾向にあります。
心臓手術の際、心臓や肺に代わる働きをする体外循環装置(人工心肺)を操作・管理します。その装置の周辺には多いときには数十台もの医療機器が同時に使われます。すべての機器の操作や使用前の点検などの仕事を臨床工学技士が受け持ちます。(日本臨床工学技士会ホームページより抜粋)
チーム医療を念頭に心臓血管外科医、麻酔科医、看護スタッフと日々、安全な手術を心がけております。また、MICS(Minimally Invasive Cardiac Surgery)を開始し、2024年度からはハイブリッド手術室の新設もあり、より業務の拡大が見込まれます。
写真1.人工心肺装置の操作
表1.人工心肺使用症例数
大動脈内ステントグラフト内挿術とは、大動脈瘤内に金属製のリングで裏打ちされた人工血管であるステントグラフトを留置し、大動脈瘤の破裂の危険性を防ぐ治療です。臨床工学技士の業務は、血管内超音波診断装置(IVUS)の操作、自己血回収装置の操作、患者さんのCT画像等を用いたプランニングをもとに、手術の際に用いる診療材料の準備等を行います。
写真2.大動脈内ステントグラフト内挿術シミュレーションとCT画像
表2.ステントグラフト内挿入術件数(2020年から業務開始)
心臓血管カテーテル検査室での業務は虚血性心疾患治療、不整脈治療を行う際に生体情報モニ ター等の監視・記録・解析を行います。また、2024年度は、血管造影室の増設、ハイブリッド手術室の新設、経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVI)を開始予定です。
主な使用器機
◇血管内超音波診断装置(IVUS)
◇スティムレータ3Dマッピングシステム
◇大動脈内バルーンパンピング (IABP)
◇経皮的心肺補助装置(ECMO)
◇不整脈治療植込みデバイスプログラマー
◇生体情報ポリグラフ
写真3.ポリグラフ操作と3Dマッピング装置の操作
表3.心臓血管撮影室での検査、治療件数
当院では、Intuitive社製の「da Vinci」とMedtronic社製の「Hugo」を所有しています。
2016年にda Vinciを導入、昨年11月にHugoを導入し、2024年5月末現在、約2000例ものロボット支援下での手術を行っております。
臨床工学技士の役割は、症例毎にロボットを配置、手術前の点検をし、手術の進行を手助けします。
最新の手術支援ロボット「da Vinci Xi」を導入 | 山梨県立中央病院 (pref.yamanashi.jp)
写真4.手術支援ロボットと手術支援ロボットチーム
表4.ロボット支援下手術件数
手術用ナビゲーション装置の業務指針 手術用ナビゲーション装置は近年の手術において,手術支援システムとして種々の領域 (脳神経外科,整形外科,眼科,耳鼻科,形成外科など)で使用されている。この手術用ナビゲーション装置は厚生労働大臣が定める高度先進医療に認定され導入された経緯から,施設 基準において臨床工学技士の配置が要件とされていた.更には,平成15年3月に示された「医療機器産業ビジョン」において,生命維持管理装置をはじめとした各種医療機器の更なる安 全確保のための専門家として臨床工学技士の活用があげられたことにより,臨床工学技士 が手術用ナビゲーション装置の操作及び保守管理業務に携わっている施設も多いのが現状であり、当院は2020年より臨床工学技士の新たな業務となりました。(臨床工学技士 手術室業務指針より一部抜粋)
写真5.手術ナビゲーション画像の作成とナビゲーション画像
表5.手術ナビゲーション手術件数
Nerve integrity monitor(NIM)は,電気生理学的メカニズムによる筋収縮を指標に運動神経の同定を行うための機器で,昨今頭頸部領域での手術に頻用されています。当院では主に耳鼻咽喉科の手術の際に使用し、術前準備や術中のトラブル等に対応しています。導入からの件数の推移
電気メス、超音波メス、輸液ポンプ、シリンジポンプ、除細動器、体外式ペースメーカ、ウォーミング装置、自己血回収装置、生体情報モニター、麻酔器、超音波診断装置など手術室内で使用される機器の操作、管理をしています。また、手術室内に常駐し、手術中のトラブル等にも迅速に対応できる体制をとっております。
写真6.生命維持管理装置の定期点検