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希少がん

希少(きしょう)がん

「希少がん」とは、『人口10万人あたり6例未満の「まれ」な「がん」、数が少ないがゆえに診療・受診上の課題が他に比べて大きいがん種』の総称です。

200種類近い悪性腫瘍が希少がんに分類されます。

(国立がん研究センターがん対策情報センター引用)

当院では、肉腫や原発不明がんなどの希少がんの診療を行っております。がん種や進行度に応じて、手術、薬物治療、放射線治療を行っております。また、他機関と連携を図り対応をしております。

受診をしていただき、主治医と相談をしながら治療を進めてください。ご希望に応じて、他機関へのご紹介もさせていただきます。

GIST

神経内分泌腫

原発不明がん

 

 

GIST(消化管間質腫瘍)(じすと(しょうかかんかんしつしゅよう))

「国立研究開発法人国立がん研究センター 希少がんセンター」HPより出典  
 https://www.ncc.go.jp/jp/rcc/about/GIST/index.html

 GIST(ジスト:Gastrointestinal Stromal Tumor)は、胃や腸の消化管壁の粘膜下にある未熟な間葉系細胞に由来する「肉腫」の一種です。消化管粘膜下にできる腫瘍はGISTだけではなく、良性の平滑筋腫、神経鞘腫や悪性の平滑筋肉腫などのこともあります。GISTの発症率は年間に10万人に対して1人から2人くらいとされ、まれな腫瘍です。発症には男女差がなく、胃に最も多く見られ、ついで小腸、その他の消化管になります。ほとんどの年齢層に見られますが、中高年に好発(60歳代でピーク)します。

 症状について

 吐き気や腹痛、下血・吐血やそれに伴う貧血などが起こることがあります。他の病気でもあらわれる症状ばかりで、GIST特有の自覚症状は特にありません。腫瘍が大きくなってからでないと症状が出ないことが多く、しばしば発見が遅れます。

 診断について

 CTやMRI、内視鏡などによる画像診断で大きさや転移・浸潤などを確認します。また、腫瘍組織を採取して検査し、免疫組織染色でKIT陽性あるいはDOG1陽性であればGISTと診断されます。

 治療について

 GISTあるいはGISTが強く疑われる腫瘍に対しては原則的に手術治療を行います。組織採取が難しい小さい腫瘍、無症状の場合は経過観察の方針となることもありますが、GISTと診断された場合は、現在の日本のガイドラインでは腫瘍の大きさなどに関わらず、手術による治療が勧められています。GISTが見つかった時点で主病巣以外の場所にも転移を起こしているような場合は、内科的治療(化学療法)の適応となります。化学療法の効果、経過によっては、改めて外科的切除を考慮することもあります。

 外科治療

 手術治療についてGISTは胃がんや大腸がんと比べ周囲の組織に及ぶこと(浸潤傾向)が少なく、リンパ節転移もまれなので、多くの場合は腫瘍の切除において切除臓器の機能温存を考慮した部分切除が行われます。さらに大きさが5センチメートル以下の胃や小腸のGISTであれば発生場所や発育形式を考慮して、腹腔鏡下手術を行うことがあります。腫瘍の破裂をきたさないようにすることが重要です。GISTの手術では他の肉腫の手術と同様に、以下のことが重要になります。

  1. 偽被膜の損傷を起こさない安全なマージンを確保し肉眼的切除断端陰性を得ること
  2. 臓器機能温存を考慮した部分切除を推奨
  3. 予防的もしくは系統的リンパ節郭清は不要
  4. 術前のイマチニブ(分子標的薬)治療を行う場合は組織学的にGISTであることを確認後に治療を行い、1カ月前後での早期にイマチニブ有効性の確認が必要

 手術後に病理組織検査結果より再発しやすさに応じた分類を行います。完全切除した後の推定再発率でGISTを分類したものがリスク分類です。再発高リスクと判定された場合は、再発予防目的にイマチニブ治療を行います。

 内科治療

 GISTの成因としてc-kit遺伝子異常が発見され、異常なKITチロシンキナーゼ(c-kit遺伝子からできるタンパク質)を阻害するイマチニブが導入され、非常に高い治療効果を示しました。その後、イマチニブが効かなくなった場合には、スニチニブが、スニチニブが効かないGISTにはレゴラフェニブが導入され、GIST治療は近年大きく変わってきました。従来、長期生存がのぞめなかった疾患ですが、これらの薬剤の開発により、半数を超える方が5年を超える延命が可能となっています。「GIST診療ガイドライン」に基づいた標準治療の実施が基本です。最も重要なことは、現状の内科治療では再発や転移したGISTを完全に治すこと(根治)は難しく、生活の質をなるべく維持しながら、少しでも長く病状をコントロールすることが治療の目標となります。そのために効果がある薬剤を、副作用をうまくコントロールしながらできるだけ休まず内服し、可能な限り長く効かせて治療を継続することが重要になります。GISTで使用されるイマチニブ、スニチニブ、レゴラフェニブなどの分子標的治療薬の副作用は、血液毒性、消化器毒性・肝毒性などの従来の抗がん剤でしばしばみられる副作用だけでなく、皮膚毒性、循環器毒性、内分泌・代謝に関わる毒性など多岐にわたります。そのため、いろいろな職種の医療従事者から構成されるチーム医療が重要であるものの、GIST診療の経験の多い専門機関が少ないのが現状です。

 最近では、これらの分子標的治療薬の効果とGISTの遺伝子異常との関係が明らかにされ、遺伝子診断に基づいた個別化医療も行われるようになっています。さらに、ガイドラインで記載されているように、イマチニブやスニチニブ、レゴラフェニブの効果がなくなった場合には、新薬の臨床試験への参加が勧められる治療選択肢として記載されています。従って、GISTの薬物治療は、イマチニブ、スニチニブ、レゴラフェニブ、新薬治験が標準治療とも考えられます。

 

神経内分泌腫瘍(しんけいないぶんぴつしゅよう)

「国立研究開発法人国立がん研究センター 希少がんセンター」HPより出典   
 https://www.ncc.go.jp/jp/rcc/about/neuroendocrine_tumor/index.html

神経内分泌腫瘍とは

 神経内分泌腫瘍 (neuroendocrine tumor/neoplasm: NET/NEN)とは内分泌細胞に由来する腫瘍です。神経内分泌細胞はホルモンやペプチドを分泌する細胞のことで、全身に分布するため、腫瘍も全身の臓器に発生しますが、このうち、消化器に発生するものが約60%、肺や気管支に発生するものが約30%を占めます。消化器のなかでは特に膵臓、直腸に発生するものが最も多いとされています。

 NETは、1907年にドイツのOberndorfer先生が カルチノイド(Carcinoid)と命名しました。これは “がんもどき”の意味になります。他の悪性腫瘍と比べて、比較的おとなしい腫瘍という特徴をよく捉えたものではありましたが、臨床的には、遠隔転移を有する症例も少なくなく、誤った認識を与えるとの懸念から、2000年に世界保健機関(World Health Organization:WHO)により、消化器領域については、カルチノイドからNETという名称に変更され、カルチノイドという呼び方はされなくなりました。これで、消化器領域は臓器を問わず(胃腸や胆膵など)、NETに統一され、カルチノイドという名称は、NETによるホルモン産生症状(皮膚紅潮、下痢など)に対する病態に対してのみ「カルチノイド症候群」として使われるようになりました。

 しかし、肺、気管支領域においては膵消化管NETとは違い、細胞の形からカルチノイドと神経内分泌がん 2つに大きく分けられます。さらに、カルチノイドは定型カルチノイドと異型カルチノイドに、神経内分泌がんは小細胞癌と大細胞神経内分泌癌の4つに分けられています。

 神経内分泌腫瘍はまれな腫瘍ですが、その罹患率は、世界中で、年々増加傾向にあります。

 膵消化管神経内分泌腫瘍について、2005年、2010年に全国調査がなされて、5年間で人口10万人あたりの有病患者数は膵NETでは1.2倍に、消化管NETの患者数は、約1.8倍に増加しています。

 これは健診機会の増加や画像検査機器の進歩とともに、NETの認識が広がったことも大きく影響していると考えられ、今後も増加傾向が継続すると予想されます。

 

原発不明がん(げんぱつふめいがん)

「国立研究開発法人国立がん研究センター 希少がんセンター」HPより出典 
 https://www.ncc.go.jp/jp/rcc/about/primary_unknow_malignancies/index.html

 原発不明がんについて

 がんには、必ず最初に発生した臓器(原発巣)が存在するはずですので、検査によって、その原発巣がわかることがほとんどです。ところが、原発不明がんといって、十分な精密検査(画像診断 や病理診断 )でも原発巣がはっきりせず、転移病巣だけが判明するがんも存在します。原発不明がんには、病気の部位やがんの種類(組織型)が異なるさまざまな病態が含まれます。そのため、患者さんごとに病気の状態が異なり、個々の病態については患者さんの数が少ないまれながんといえます。しかし、原発不明がんと診断される方をすべてあわせると、成人固形がんの1%から5%を占めるとされており、患者さんの数は少なくありません。

 診断について

 がんの診断は、がん組織を採取して、病理検査 によって確定します。特に、臓器によって、通常発生しやすいがん組織が限定されるため、通常と異なるがん組織がある臓器に認められた場合には、転移巣であると判断されます。このため、がんが認められても、原発巣が明らかでない場合には、原発不明がんの可能性も考えて、さらなる診察や検査として腫瘍マーカーを含む血液生化学検査や尿検査、超音波(エコー)、胸部X線、胸腹部骨盤CTやMRIなどの画像検査 、必要に応じて乳房・婦人科・泌尿器科領域の診察や肛門付近の診察(直腸診)、内視鏡検査 (胃カメラや大腸カメラ)、FDG-PET/CT検査などを実施していきます。

細胞診・組織診(病理検査)

 原発が明らかな他のがんと同様に、原発不明がんであってもがんであることの確定診断のためには、病理検査(病理診断)が必要です。病理検査では、がん細胞や組織の形態を観察し、免疫染色と呼ばれる検査方法を用いてがん細胞に存在する特定のタンパク質の有無を検索することなどを通して、がん細胞がどこの臓器に由来するかについての情報を得るようにしています。

 細胞診とは、痰(たん)、尿、胸水、腹水などにがん細胞が含まれていないかどうかを顕微鏡で調べる検査です。局所麻酔を行いながら注射針ほどの太さの針で、体液や組織を採取して、がんかどうかの当たりをつけるのには有効な検査です。

 一方で、細胞診ではがんかどうか、さらにはどういったタイプのがんかの細分類はできることがありますが、診断には十分ではありません。より大きながん組織を採取(組織診)することで、発生臓器に特徴的な組織像やたんぱく質の有無を確認し、原発巣の推定を行います。

 この組織診を実施するために、腫瘍の一部を採取する方法を、生検と呼びます。生検には、外科的に一部切除する切除生検や、やや太めの針を用いて組織を採取する針生検などがあります。病気の部位によって、内視鏡を用いたり、超音波検査やCT検査などの画像検査 を行うことがあります。

原発巣のスクリーニング(原発精査)

 検査に進む前に、症状の発生から受診時点までの経過や、体の症状、これまでの病気の既往歴や家族の病気の既往歴などの問診、体の診察などから、原発巣の手がかりとなる情報を得ます。

 その後、腫瘍マーカーを含む血液検査や尿検査および全身のスクリーニング検査を実施します。がんが発生しうる臓器は頭頸部から骨盤まで幅広く存在するため、レントゲンやCTを用いた画像検査 を実施し、場合によっては内視鏡検査 や核医学検査(骨シンチグラフィーやPET/CT検査)などを行います。

 特に、頭や首(頭頸部)や肺が原発のがんを見つけるのに、FDG-PET/CT検査が有用であるとわかっています。

 腫瘍マーカーとは、腫瘍細胞から出てくる物質を血液で検出するものです。しかし、身体の中にがんがあっても高値を示さないこともありますし、逆にがんがなくても、高値になる場合があることも知られています。ただし、胚細胞腫瘍、甲状腺(こうじょうせん)がん、前立腺がん、卵巣がんという限られたがん種の検索には腫瘍マーカーも有用です。胚細胞腫瘍ではAFPやβ-hCG、前立腺がんではPSA、卵巣がんではCA125、甲状腺がんではTg(サイログロブリン)が対応する腫瘍マーカーになります。また、診断時に上がっている腫瘍マーカーについては、その後の治療の効果を判断するのに、参考となる場合があります。

 病理診断 や原発巣のスクリーニングで、原発巣のあるがんや特定の疾患を除外したうえで、十分な検査によっても原発巣や特定の疾患と診断ができない場合には原発不明がんの診断となります。

分類と治療について

 特定の治療方法をとる可能性のある原発不明がん

 原発不明がんと診断されるなかには、特徴的な病変の分布や組織型の組み合わせをもつ病態があり、特定の原発巣のあるがんと非常に近い病態である可能性が報告されています。その場合には、特定の原発巣のがんと同様の治療方法を行うことで、そのがんと同等の治療成績が得られることが分かっています。こういった、特定の治療方法が推奨される原発不明がんの例を、表に示します。

(例:女性でわきのリンパ節のみに腺がんが検出されている場合:乳がんと同様の治療を行うことを検討する。)と同様の治療を行うことを検討する)

表:特定の治療方法が推奨される原発不明がんの例

特定の治療が推奨される臨床的特徴

治療方法

腺癌、女性、腋窩リンパ節転移のみ

腋窩リンパ節転移陽性の乳癌に対する治療

漿液性腺癌、女性、癌性腹膜炎のみ

卵巣癌に対する治療

腺癌、男性、多発性の造骨性骨転移

血清中PSA高値(または免疫染色でPSA陽性)

転移性前立腺癌に対する治療

低・未分化癌、50歳以下の男性

縦隔・後腹膜リンパ節転移など体の正中線上に病変が分布

性腺外原発の胚細胞腫瘍に対する治療

扁平上皮癌、上・中頸部リンパ節転移のみ

頭頸部がんに対する治療

 

CK20+ CDX2+CK7-の腺癌 または分子生物学的特徴が大腸がんである

転移性大腸がんに準じた治療

低悪性度の神経内分泌腫瘍、骨や肝転移

神経内分泌腫瘍、神経内分泌癌の治療

限局するリンパ節転移のみ

局所療法(外科切除、放射線治療)を検討

 

特定の治療方法のない原発不明がん

 一方、大部分の原発不明がんでは、病変の分布と組織型の組み合わせが特徴的でなく、その場合には病態に応じた特定の治療方法はありません。原発不明がんの場合には、すでに進行して転移している病態と考えます。その場合、がんを手術で完全に取り去ることは困難であり、病気を根治させることが難しい病態であると考えます。そのため、病気の進行を遅くすることや、がんによる症状を和らげることが治療の目標となります。

 一般に悪性腫瘍は自律的に(他から影響を受けずに)成長して大きくなる性質があります。大きくなると、腫瘍が存在する部位に応じて症状が出現します。その結果として、体力や内臓の機能が低下します。内科的治療では、腫瘍の進行を抑えることや症状を軽減することを目標に治療していきます。腫瘍の進行を抑えるのは薬物療法が中心です。症状を軽減するのは広義の緩和ケアですが、病状に応じて症状緩和に最も効果的な方法(薬物療法や放射線治療も含む)が用いられます。薬物療法としての抗がん剤治療は、体に負担がかかる副作用があらわれるため、全身の状態や内臓の機能を考慮しながら適切に薬剤を選択することが重要です。原発不明がんの化学療法は、いまだに最適な薬剤が確立されていません。現在のところ、多く使われている薬剤として、シスプラチンやカルボプラチンというプラチナ系薬剤があり、いろいろな抗がん剤と組み合わせて治療が行われています。広く用いられている治療方法の代表として、カルボプラチンとパクリタキセルの併用療法があります。また、それ以外の薬剤の組み合わせについては、現在も臨床試験を行って検討を続けています。臨床試験については、担当医にお尋ねください。

 

国立がん研究センター希少がんセンター
https://www.ncc.go.jp/jp/rcc/index.html

国立がん研究センターがん対策情報サービス
山梨県立中央病院
https://hospdb.ganjoho.jp/kyoten/detail?hospital_id=A19006#page-jump

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