AYA世代とは、Adolescent and Young Adult(思春期・若年成人)の頭文字をとったもので、主に、思春期(15歳~)から30歳代までの世代を指しています。AYA世代は、多くの人にとって親から自立したり、生活の中心が家庭や学校から社会での活動に移行したりしていくなど、大きな転換期を迎える時期でもあります。このような時期にがんと診断されると、心身にさまざまな影響を受けることがあります。また、成人のがんに比べて情報が少なく見つけることが難しいなど、不安を抱く人も少なくありません。
AYA世代は、15歳から30歳代と対象が広く、年代によって状況が異なることから、15~19歳をA世代、20歳代以降をYA世代として分けることがあります。
日本では、毎年約2万人のAYA世代が、がんを発症すると推定されています。AYA世代でがんを発症する人は、1年間でがんを発症する人100人のうち2人程度です。年代別にみると、15~19歳が約900人、20歳代は約4,200人、30歳代は約16,300人です(2017年)。
AYA世代には、子どもから大人への移行期も含まれるため、小児で発症することが多いがんと成人で発症することが多いがんの両方の種類が存在します。そのため、AYA世代に多いがんの種類は、年代によって違いがあります。
15~19歳で発症することが多いがんは、小児期と同じように、白血病、生殖細胞から発生する胚はい細胞腫瘍・性腺せいせん腫瘍、リンパ腫、脳腫瘍、骨腫瘍などです。しかし、20~29歳では、胚細胞腫瘍・性腺腫瘍、甲状腺こうじょうせんがんが白血病よりも多く、30~39歳では、女性乳がん、子宮頸けいがん、大腸がんなど成人に多いがんが多くなります。
国立がん研究センターがん情報サービス「妊よう性」
https://ganjoho.jp/public/support/fertility/index.html
妊よう性は、女性にも男性にも関わることです。妊娠するためには卵子と精子が必要となり、卵巣、子宮、精巣などが重要な役割を果たしています。がんの治療では、それらの妊娠に関わる臓器にがんができた場合だけでなく、一見妊娠と関係のないような臓器にがんができた場合でも、生殖機能に影響してしまい、妊娠するための力が弱まったり、失われたりすることがあります。
がんの治療の進歩によって、多くの若い患者さんもがんを克服できるようになってきています。そして近年では、将来自分の子どもをもつ可能性を残すために、卵子や精子、受精卵を凍結保存する「妊よう性温存」という選択肢も加わってきました。まずは、がんの治療を受けることが大前提ですので、必ずしも希望通りにならない場合もありますが、将来子どもをもつことを望むのか、治療前に考えてみることも大切です。
将来子どもをもつことについて考えるためには、担当医に気持ちを伝え、「がんの治療によって妊よう性にどのような影響があるのか」や「がんの治療後の見通し」を確認する必要があります。その上で、妊よう性温存を検討する場合は、生殖医療を専門とする医師(産婦人科あるいは泌尿器科)の診察を受ける必要があります。
もし、説明される言葉が難しい場合は、理解できるまで質問をしましょう。何ができるのか、どのようなことになるのかを理解した上で、何を選択するのか、よく考えることが大切です。また、自分ひとりの問題ではないため、状況を理解してもらうためにも、患者さんとご家族やパートナーの方でお互いに話し合うことが大切です。
妊孕性温存療法を希望する方へは、妊孕性温存療法実施医療機関と連携を図ります。
主治医にお申し出いただくか、がん相談支援センターまでご連絡ください。
山梨県「がん患者妊孕性温存支援事業について」
https://www.pref.yamanashi.jp/kenko-zsn/ninyouseisien.html
山梨大学医学部付属病院 産婦人科
https://www.yamanashi-obgy.org/patient/45/
国立がん研究センターがん情報サービス「乳がん」
https://ganjoho.jp/public/cancer/breast/print.html
乳がんは乳腺の組織にできるがんで、多くは乳管から発生しますが、一部は乳腺小葉から発生します。男性にも発生することがあります。男性も、女性と同様に多くは乳管からがんが発生します。
乳がんは、乳房の周りのリンパ節や、遠くの臓器(骨、肺など)に転移することがあります。
なお、乳腺以外の乳房の組織から発生する腫瘍もあります。
乳がんの主な症状は、乳房のしこりです。ほかには、乳房にえくぼやただれができる、左右の乳房の形が非対照になる、乳頭から分泌物が出る、などがあります。
乳がんは自分で見つけることのできるがんの1つです。日頃から入浴や着替えのときなどに、自分の乳房を見たり触ったりして、セルフチェックを心がけましょう。ただし、セルフチェックでは見つけられないこともあるため、定期的に乳がん検診を受けることも重要です。
乳房のしこりは、乳腺症など、乳がん以外の原因によっても発生することがあります。気になる症状がある場合は早めに乳腺専門医を受診し、早期発見につなげましょう。
国立がん研究センターがん情報サービス「子宮頸がん」
https://ganjoho.jp/public/cancer/cervix_uteri/print.html
子宮がんは、子宮体部にできる「子宮体がん」と、子宮頸部にできる「子宮頸がん」に分類されます。
子宮頸がんは、子宮の入り口の子宮頸部と呼ばれる部分から発生します。子宮の入り口付近に発生することが多いので、婦人科の診察で観察や検査がしやすく、発見されやすいがんです。また、早期に発見すれば比較的治療しやすく予後のよいがんですが、進行すると治療が難しいことから、早期発見が極めて重要です。
子宮頸がんは、進行すると骨盤の中のリンパ節に転移したり、子宮を支えている靱帯を伝って広がったり、また血管やリンパ管を通って子宮から遠い臓器(肺など)に転移したりすることがあります。
子宮頸がんは、正常な状態からすぐがんになるのではなく、異形成といわれる、がんになる前の状態を何年か経てからがんになります。異形成の時期では症状がなく、おりものや出血、痛みもありません。
子宮頸がんが進行すると、月経中でないときや性交時に出血したり、濃い茶色や膿(うみ)のようなおりものが増えたり、水っぽいおりものや粘液が多く出てきたりすることがあります。さらに進むと下腹部や腰が痛んだり、尿や便に血が混じったりすることもあります。少しでも気になる症状があるときは、ためらわずに早めに婦人科を受診しましょう。
国立がん研究センターがん情報サービス「甲状腺がん」
https://ganjoho.jp/public/cancer/thyroid/print.html
甲状腺の一部に腫瘍ができるもの(結節性甲状腺腫)のうち、悪性の腫瘍を甲状腺がんといいます。
通常は、しこり(結節)以外の症状はほとんどありません。まれに、違和感、呼吸困難感、嗄声(させい:声のかすれ)、のみ込みにくさ、誤嚥(ごえん)、圧迫感、痛み、血痰(けったん)などの症状が出てくることがあります。
気になる症状がある場合には、耳鼻咽喉科や内分泌外科を受診しましょう。
がんと診断されて、病気や治療のこと、治療の副作用や後遺症、体や心への治療の影響など、気になることがあるのではないでしょうか。ほかにも、治療中や治療後の生活、家族や周りの人との関わり方、学校生活や社会生活、病気との向き合い方など、知りたいことが出てくるかもしれません。
さらにもっと詳しく知りたいと思ったときには、自分で情報を調べることもあるでしょう。しかし、情報を調べるときには注意も必要です。
がんに関する情報はたくさんありますが、すべてが正しいとは限りません。また、自分の状況に合った情報ではないこともあります。中には、患者や家族の不安につけこむような情報もあるので注意が必要です。SNSで発信された情報の場合も同様です。誤った情報に惑わされないためにも、信頼できる情報の探し方や情報を見極めるポイントを知っておくことが大切です。
「国立がん研究センターがん情報サービス」引用(https://ganjoho.jp/public/knowledge/about_aya.html)
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